プルサーマル計画を憂慮する有志の会

原発問題に関して投稿します。

PM1.0

2013-03-18 10:41:48 | 日記
 北京では350μg/㎥のPM2.5が観測され、空は白く覆われていました。中国ではこうした大気汚染で。100万から200万人の死亡が推測されています。また6億人の国民に被害が及ぶといわれています。そのPM2.5は、朝鮮半島を越え、日本にも飛来、環境基準である35μg/㎥を超える日が、西日本だけでなく、関東圏でも観測され、健康への被害が懸念されています。また、PM2.5のみならず、黄砂とともに飛来する鉛などの重金属類、フライアッシュと言われる石炭由来の煤(すす)、二酸化硫黄や酸化塩などの化学物質、さらには今尚使用され続けているアスベストや(日本では既に使用禁止となっている)農薬、或いはダイオキシン類などの汚染物質が、(当然、日本由来のものもありますが)中国から偏西風に乗って運ばれてきているのです。

 しかし、(かつて光化学スモッグ等の大気汚染で多くの国民が被害を受けたにも拘らず)日本がP.M2.5の環境基準を設けたのは2009年(ちなみに米国は1997年)、この基準自体も非常に甘いとの指摘が出ています。環境省は先日、(米国が約65μg/㎥を「健康に悪影響がある」としているのを参考に)暫定の指針として70μg/㎥を外出自粛の基準としました。米国では、「心臓や肺に病気がある人、高齢者、子ども等影響を受けやすい人には約35μg/㎥を目安に、特に敏感な人は約15μg/㎥を超えた場合でも注意するよう」呼び掛けています。(引用は『朝日新聞』)

 米国の研究では、「長期曝露は、PM2.5の濃度が10μg/㎥増えるごとに、死亡率が数%から数十%増えるとされ、(放射線の被曝同様)短期曝露より(長期曝露の)影響が大きい」として、3月から注意喚起の基準を12μg/㎥に強化しています。また、黄砂とPM2.5が結びつくことで、NPAHという発癌物質の濃度が高くなり、さらに発癌性が強くなってしまうということです。さらにPM2.5は水分吸収能力が高く、花粉に付着すると、花粉の表面積は3~4倍に膨張し、ついには爆発してしまいます。PM1.0です。

 花粉は膨大な量のアレルゲンを含んでおり、この爆発によってこのPM1.0のアレルゲンが飛散し、肺胞から血液の中にまで入り込んでしまします。しかも、単体では体内に入り込みにくい重金属類や発癌物質なども、黄砂と結合すると体内へ取り込まれ易くなるとのことです。こうして取り込まれた汚染物質は、体内を循環しながら蓄積していきます。免疫力が低下し、(肺)癌が発生し易くなります。今のところ、外出を控えるぐらいしか自己防衛の手段はありませんが、室内にいてもPM2.5は入り込んできます。(PM0.06~0.01まで防げる)「DS2」という専用のマスクはあるそうですが・・・

P.S. 中国からのPM2.5は、工業化が進んだ1990年頃から飛来してきており、黄土高原から来るものが最も汚染物質が多く含まれているとのことです。屋久島では発癌性のある多環性芳香族(ダイオキシンの一種です)が観測され、岩手の湖からも、レアメタルの一種であるアンチモンやインジウムも検出されています。毒性があり、肺障害等を引き起こします。またエアロゾルと言われる浮遊物質も60年代の2~5倍となっているとのことで、(かつての日本もそうでしたが)工業化に伴う環境汚染と健康被害は、避けては通れない「利」を得る為の道のようです・・・

P.S.2 大気汚染による死亡の歴史は、産業革命後の1909年、イギリス、スコットランドで、石炭によるスモッグで1.063にんが死亡、1940年から50年にかけてロサンゼルスで数百人が死亡しています。ちなみに、その原因物質である窒素有機化合物が、千葉で検出されています。(その日のPM2.5は85μg)また、1960年代の川崎市では、空が茶色で魚が死ぬなど、現在の中国と変わらない環境汚染が日本各地にありました。しかも、中国には日本の企業が多く進出、工場を造っています。日本が投資し、中国からヨーロッパへ或いは日本へ逆輸入しています。この大気汚染の原因、或いは責任の一端は、日本(そして先進欧米諸国)自身にもあるようです・・・

P.S.3 PM2.5の排出を抑えるには、集塵機などを設置する方法があります。電気集塵機はこのPM2.5を99%カットできるとのことです。(でもこれは、フィルター交換など、ランニングコストを惜しまず使った場合のことでしょう。現実には、それこそ毎日換えなければならないくらい汚染が酷いですから、この数字は不可能です)費用は数億円から数十億。また排煙除去装置(やはり90%有害物質をカットできるとしてます)も数十億円掛かります。(中国政府も指導はしているようですが)上記のランニングコストも考えれば、設置できるのはごく一部の大企業だけです。豊富な石炭を、家庭から大企業まで使っている中国に、規制を求めても詮無いことですし、膨大な量の放射性物質を、空へ海へと撒き散らした日本が、要求できる立場にはありません。いずれにしても、工業化や経済発展の陰で、多くの人命が失われてきた、そして今後も失われていく(原発もそうですが)潮流、その構造が変わることは(残念ながら)ないということのようです・・・

by「プルサーマル計画を憂慮する有志の会」 (平成25年3月18日)