詩を書いた

　　　　　　　　　　不公平

子供のころ、お爺さんになったら、どうしてるかなあ？
って思うことがあった。

働かずにのんびりと、御茶を飲みながら、孫たちと遊んで死までの
残りの時間を過ごす。

これくらいは子供心にも予想できた。

それがどうだ。

マイホームのローンが80歳まで続く、50歳過ぎの爺が毎日、
自転車で立ちこぎをして坂を上る。

朝誰よりも早起きして、自分の朝飯、弁当を作る。

10も20歳も年下に見下され、文句言われ、忍んで、しのいで・・・・。

定年後、どう生活したら良いか？全く策もない。

何かの拍子に自分が人殺しになるんじゃあないかと、常に思っている。

人を憎んで時代を憎んで、自分の人生を悔いて、
常に心は泣いているか怒っている。

自分が躁鬱病のような気がしてくる。自分が自殺するように
気がしてならない。

そんな人間になるなんて、全く予期しないことだ。

それ以上に心が痛むことがある。

こんな時代に生み出してしまった子供たちが不憫でならない。

何が悪いんだ　俺が悪いのか　嫌違う

たとえ俺がどんなに偉くても　金持ちでも　

今の俺と同じ気持ちの奴らは無数にいるんだ

不公平が行けない　不公平を作った奴らが悪いんだ

この道選んで二十年　埃にまみれて二十年

鉛のような手のひらは　カミさんも固くて痛いと言っていた

俺は建築現場で働く職人だ　

一日一万七千円　残業代もボーナスも

退職金も出やしない

一人前の技術者と言われ　国家試験も受かった

親方と呼ばれ　あてにされる　しかし

明日の飯もままならねえ　いまだに安アパート住まいだ

交通費も　携帯電話代も　国民年金も税金も

全て含まれて　月に三十五万円だ

遠い現場なら朝5時に出勤で帰りは9時過ぎだ

愚痴も出る　当たり前だ　それなら辞めろ

公務員が羨ましいなら　なれば良いだろうと　人は言う

おかしいじゃあねえか　同じ人間でこんなに働いても

どん底の貧乏で　かたや会社の課長さん週休二日で

飲む打つ買うの　大盤振る舞い　こんな差別ないだろう

学校じゃあ　大切なことは教えない

職業の給料　困った時の回避　勉強できないやつの生き方

強い奴に勝つ方法　金持ちになる方法

女にもてる方法　勉強を好きになる方法　

そして一番肝心なこと　人はみんな不公平だと言うこと

平等なんてないってこと

そんな大事なこと　誰も教えてくれなかった