スウェーデンの今

スウェーデンに15年暮らし現在はストックホルム商科大学・欧州日本研究所で研究員

オバマ大統領のスウェーデン公式訪問 (9月4日・5日) 続き

2013-09-05 02:23:59 | スウェーデン・その他の政治
オバマ大統領を載せたAir Force Oneは、4日午前10時に予定通りアーランダ国際空港に着陸。オバマ大統領はあらかじめ準備されたキャデラックに乗り込み、すぐさま首相官邸に向かった。ストックホルム市内は今日の日中はバスがほとんど運休した上に、混乱があらかじめ分かっていたので一般車両も市内への乗り入れを避けたためか、非常に静かで休日のような雰囲気だった。


午後3時前から始まったオバマ大統領とラインフェルト首相による合同記者会見では、シリア問題とNSAによる盗聴スキャンダルに焦点が集まった。ラインフェルト首相は、スウェーデンの立場として、アメリカが国連の決議なしに軍事行動を起こすことには反対であると主張。先日、現地入りした国連の調査団がサンプルを持ち帰っており、その分析が現在続けられているため、その結果を待った上で、国連を通じた解決策を探るべきだ、と続けた。

ラインフェルト首相のこの声明は、スウェーデンの立場を明確にしたという点では良かったと思う。しかし、その立場をアメリカに対して積極的に強調するというよりは、「スウェーデンは小国であるから国連を通じた解決の道しか選べない」という消極的なニュアンスを交えてしまったのは、非常にまずかったと思う。大国であるアメリカにはもっと別の道もあり、それを選ぶことは仕方ない、と認めているとも解釈できるからだ。

実際、ラインフェルト首相は「大国であるアメリカが、今シリアに対して行動を起こさなければならないと焦っているのは理解できる」(大意)と発言している。これでは、国連決議を待たず単独行動を取ろうとしているアメリカを擁護していると理解されても無理はない。


その後、オバマ大統領は市内にあるシナゴーグを訪れ、第二次世界大戦中にハンガリーで多数のユダヤ人を救ったスウェーデン人外交官ラオル・ヴァッレンベリを追悼。実際彼のおかげでスウェーデンの庇護旅券を手に入れ、一命を取り留めたユダヤ人の生存者と面会した。

その次の訪問先は、スウェーデンの環境技術の視察をすることになっている王立工科大学(KTH)。その途上の大統領一行をStrandvaganにて撮影した。



重厚なリムジンが2台。うち1台目のリムジンにオバマが乗っていた。30台もの車輌。頑強で重そうな車が多かった。おまけに最後は救急車。これが現代版の「大名行列」だ。



米大統領の訪問というとAir Force Oneが話題になるが、それ以外にも多数の輸送機がリムジンや護衛の専用車両、随行員、コック、医者、燃料、物資を運ぶ。上のイラストにあるように、Air Force Oneと同型のボーイング747が他のスタッフを運ぶほか、C-17が人員輸送のためのブラックホーク(ヘリコプター)を輸送し、C-141がリムジンなどの車両や物資を輸送する。ちなみに、ブラックホークは大統領が搭乗している時はホワイトホークに名を変えるとか。

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