キキ便り

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アドバイザーの退官

2018-03-22 22:10:58 | 博士課程で学んで

先週、大学院の博士課程でお世話になった恩師、A教授の退官パーティが行われた。

直前まで学科長を務めていたが、授業や管理職から解放され、これからは好きな研究のみに打ち込めることを楽しみにしている様子が、伝わってくる。68歳である。

A教授は、コーネル大学・大学院出身。生態学システム理論の創始者、ブロンフェンブレンナーのもとで学んだことから、後の研究も生態学システム理論を活用したものが多い。ブロンフェンブレンナー氏と同じく、ロシアとのつながりが深く、A教授は、米国とソビエトの育児や幼児教育比較研究を行った経験がある。そういう背景があることから、私の日米比較研究も手厚く指導してくださった。またブロンフェンブレンナーと同様、ヘッドスタートプログラムにも積極的に関わり、その縦断的データーを私も使用させてもらったことがある。

私は、退官パーティーに参加することはできなかったが、パーティーの様子を写真で見せてもらった。私が院生の頃と全く変わらない外見で、むしろ生き生きして見える。研究室で見せてくださった笑顔は、今も昔も変わらない。退官の節目に、来月はご主人(心理学教授)と一緒に、中国に行くそうだ。初めて聞いた話だが、A教授のお母さん(ロシアの血筋)は中国で育ち、ご主人と中国で巡り合ったらしい。その二人のルーツを探るために、中国への旅行を決めたらしい。

それにしても、私がお世話になった教授陣たちは、写真を見る限り、全く年齢の衰えは感じない。むしろ、さらなるオーラ―を感じさせる存在感がある。私が所属させていただいた学部は、全米乳幼児教育協会会長、米国家族関係学会会長, ジャーナルの編集長などそうそうたるメンバーが揃っており、教え子たちも全米に散らばり、活躍している人たちが多い。

卒業してからあまり進歩のない私を、恩師のA教授は心配に思っているかもしれないが、長い目で暖かく見守って下さるような気がしている。「あなたのことを思いながら、今日あなたの送ってくれたお茶を飲んだのよ」とカードに書いてくださった。私が退官のお祝いに送ったLupiciaの日本製の紅茶である。カードは、シカゴの美術館で見つけた日本の屏風の絵であり、その心遣いが嬉しい。

これで終わりではなく、これからも長く関係が続いていく、こういう恩師とのつながりが嬉しい。

(写真は恩師が送ってくださったカード)

 

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