落ち込みそうになった時、自分の人生を振り返って慰められるいくつかの不思議な出来事がある。
まず最初の出来事は、20代始めの頃。アメリカにプチ留学していた私は、いろいろな導きがあって教会に通い始めた。英語で聖書を読んでもぴんとこなかった私に、母は三浦綾子さんの新約と旧約聖書入門の本を送ってくれた。本を読んで、謎が解けたように感動の連続だった私は、三浦綾子さんに思い切ってお礼の手紙を出した。病状に付しておられたのにもかかわらず、三浦綾子さんは返事を下さって、しばらくの間手紙を交換させていただいた。
さらに、その当時、通っていた教会の日本語堪能なアメリカ人女性の人にこのことを話すと、彼女は三浦綾子さんに著書「海嶺」の英語訳を頼まれていたと語る。引越しが重なって、連絡が途絶えてしまったとのこと。このことを三浦綾子さんに伝えると本当に喜んでくださった。留学生の私を通して、二人の間の連絡が再び開通したとは不思議なこと。
これを偶然の出会いと考える人もいるかもしれないが、本当にそうなのだろうか。この広い世界の中で、人と人が短い生涯の中でタイミングよく出会うのはどれくらいの確立で起こるかと思うと、人知を超える働きを感じざるを得ない。