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キキ便り

アメリカ便り、教員・研究者生活、シンプルライフ、自閉症児子育てなど

高機能自閉症息子の一人暮らし

2018-02-19 13:46:47 | 自閉症アメリカ教育事情

息子が親元を離れて、一人暮らしをし、1か月経過。

途中、はっきりとした根拠もなく「自分はガンではないか」という妄想にとらわれ、精神的に不安定な時期もあったが、医者の検診でその可能性を否定されたことで、落ち着いた。息子の場合、妄想や強いこだわりは、突然前触れもなく起こるため、事前に対処するのは難しい。

それ以外は、初めての一人暮らしは快調な様子。

  • Instant Potを購入し、ポットローストなど自分で大量に作る。
  • 日曜日の午後は、洗濯日。アパートの地下のコインランドリーを使用。
  • 週に2回、ジムで運動。
  • 2週間に1度、同僚と飲みに行く。
  • 日曜日は迎えにきてもらえる時は教会に通い、週に1度、大学生のクリスチャンの集まりにも参加。
  • Kombucha(コンブチャ)作りは、しばらく放っておいたため、コンブチャの菌が乾燥してしまったらしいが、今水に戻して、生き返らないかと試しているらしい。
先日上司とミーティングがあり、会議の最中居眠りが多いことを注意されたらしい。新米の身分で会議中に眠るなんて信じられないが、「眠くなったら立ちます」という解決策を提示して、納得してもらえたとか。それだけではなく、ペットボトルの水か緑茶を持参し、眠くなったら飲み物で気分転換しては?と提案してみる。

 

 

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自家製、紅茶キノコを作る大学生の息子

2018-01-15 21:49:01 | 自閉症アメリカ教育事情

今度また詳しく書くが、自閉症の息子の一人暮らしが始まった。

9か月のインターンの仕事は、ウィスコンシン州。

テキサスからウィスコンシン州への1月の引っ越しは、どうなるかと思ったが、無事に終える。

なんと引っ越しの朝は、零下20℃という極端な寒さだった。手袋をしていても、しもやけになりそうなくらいだった。

息子の会社は月曜日から木曜日は朝7時半、金曜日は7時半に始まるため、毎日早起きをしてアパートから会社に徒歩で通う。徒歩10分の距離である。

しかし最初の二日はオリエンテーションがあり、支社の方に行かなければならず、30分に1本しかこないバスを乗り継いで行ったらしい。朝6時の出発である。

朝が早いため、仕事が終わるのは、午後の3時半または3時であり、就寝まで7時間くらいの自由時間があるのが嬉しいとか。

仕事を終えて家に帰ってからは、バスに乗ってスーパーまで買い出しに行ったり(これも30分に一本しかこない)、料理を作ったり、ゲームやネットをしながら過ごしているらしい。

先週は私が引っ越しの時に作って冷凍した料理を食べて過ごしたらしいが、金曜日には初めてカレーライスを作り(指を包丁で切ったらしいけど)、ル―を1箱作って作ったのに、お腹がすいていたのか、その日のうち半分食べてしまったらしい。

今日の午後は、我が家で健康のために毎週作っている発行飲料である紅茶キノコを夫に教えてもらいながら、作る。紅茶キノコの素はアマゾンで購入できるので、息子にプレゼント。

今どきの大学生で、自炊するだけでなく、紅茶キノコを自分で作ろうと思うところが、我が息子ながらナカナカやるじゃないかと誇りに思ったりする。

家で使っている紅茶キノコはこれです。

https://www.amazon.com/gp/product/B009ZW8RP4/ref=oh_aui_detailpage_o08_s00?ie=UTF8&psc=1

 

 

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自閉症の開示と就職

2017-11-11 21:21:08 | 自閉症アメリカ教育事情

息子のインターンシップがなかなか決まらず、親子ともに不安な日を送る。去年の春から少しずつ応募してきたので、就職活動は1年半くらい続いてきたのではないだろうか。

息子の場合、履歴書は、何度も就職関係のアドバイザーに添削してもらっていることもあり、ほぼ完ぺき。息子自身完ぺき症のこともあり、成績は1科目を除いて全てA、複数の奨学金や賞をもらい、部活やボランティア、リサーチアシスタントなども経験しているので、履歴書を見る限りはかなり上位のランクに食い込むのではないかと思う。

それでも内定をもらえないのは、どうも面接がネックになっているらしい。息子の電話面接を横で聞いているだけで、冷や汗が出る。

  • 早口でもぞもぞとしゃべる
  • 声のトーンが暗く、笑いなどは殆どない。ネクラの印象を相手に与える。
  • 面接の答えを記憶しているので、相手の質問の受け答えというより、機械的な話し方。
  • 相手とラポートを形成するのが難しい。

母親として、具体的に例を挙げながら数か月にわたって指導してきたが、成果は見られない。自閉症者に普通のコミュニケーションを指導するのは、時間と忍耐が必要。息子はクラスの中で自分だけが内定をもらっていないのではないかと心配になり、夜も眠れないようになる。

私が未だに英語の発音でRとLが区別できないように、自閉症の息子の頭脳は、私たちが当たり前にできることができない、ということを思い悲しくなる。そこで、私が学会発表などの時に夫にネィテブのスピーチを録音してもらい、それを聞きながら自分でリピートし、イントネーションやリズムなどを学ぶ、という方法を息子にもやらせることにした。

夫にインタビューの受け答えを録音してもらい、息子はそれをイヤホンで聞きながら、自分で繰り返す。それでも自分のスピ―チ-の癖はなかなか取れなかったが、少しゆっくり話すことができるようになったかと思う。

また自閉症の開示について、スクリプトを作成することにした。その中では、「自分は自閉症であるが、xxxという長所もある。障害ということで人とのかかわりが難しい場面もあるが、集中して作業することは得意であり、またチームでのプロジェクトを豊富に経験してきた」というような内容である。

その成果があり、ウィスコンシン州の自動車・軍事関連企業の2次面接では自分の自閉症を開示し、面接者はそのことを非常に暖かく受け止めてくれ、面接の最後には「君はこの会社にふさわしい人材だと思う。君と握手できる日がくることを楽しみにしているよ」と言われたそうだ。そのことを息子から聞いた時、私は嬉し泣きで息子を抱きしめたくらいだ。

その1週間後、この企業からインターンシップの内定の連絡が来た。今度は夫の嬉し泣きだった。自閉症者の就職活動というバリアをどうにか親子で乗り越えることができ、本当に嬉しかった。

お給料もしっかりもらえ、引っ越し手当もつく、という優遇で息子も嬉しそう。インターンシップはこの冬の1月から来年の8月まで。大学を休学して行うインターンシップであるが、やっと目的を達成することができたことは息子にとってはかけがえのない喜びだ。しかし、息子が独り立ちするためには、まだまだ数多くの乗り越えなければならない壁もある。そのことは次のブログで。

 

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就職活動-自閉症の息子の場合

2017-10-05 16:36:34 | 自閉症アメリカ教育事情

アメリカでは、就職活動の大きな一因としてインターンシップ制度がある。(詳しくはこの記事を参照。http://toyokeizai.net/articles/-/15683?page=3)

息子も大学一年生の時より、インターンシップ探しに苦労してきた。一年生の時には奇跡的にも、すぐ応募した会社(大手の郵便会社)から採用の声がかかったが、それ以来は応募しても、面接の声がかかることは殆どなかった。しかし卒業まであと1年という秒読みなので、最近では宿題よりもインターンシップ探しに追われている息子。ちなみにこの郵便会社はラスベガスにある会社だったので、身の回りのことがまだ苦手な息子には一人暮らしにはまだ早いと思い、断るように親として指導。

インターンシップ探しとその準備は、本人だけでなく、親の時間もかなり取られてしまう。息子が自閉症であることも関わっていると思うが、社会人として機能するためには、まだまだ乗り越えていかなければならないハードルがある。

1.面接の時の身なり。髪の毛を整える、髭剃りなど基本的なことも、無頓着なので、一つひとつ具体的に指導しなければならない。スーツ上下もデパートに連れて行き購入。ネクタイの結び方、シャツがズボンの脇から出ていないか、ズボンのポケットに携帯電話やお財布を入れてコロコロしていないかなど、チェックを入れる。こういう時に役に立つのは全身鏡だが、それでも自分の姿がおかしいかどうかについて、本人は把握できていないようなので、指導が必要。

2.時間の管理。自閉症者は、Executive function (実行機能)に困難をきたす場合が多いため、前もってどの作業にどれだけ時間が必要かなどを見積もることが難しい。そのため事前の準備の時間を少なく見積もり、大慌てで面接に出かけることが多い。またモノもなくしやすく、出かける寸前に、財布がない、靴が見当たらないなど、パニックになってしまうことが多い。親としてはストレスだが、ともかくいつかは一人立ちできるように、一つずつ忍耐強く教えていくことが必要。また失敗から学ぶことも多いため、時には干渉しないことも必要。しかし息子の場合は, 失敗が不安やうつにつながってしまう場合もあるため、介入が必要。

3.ネットワークづくり。私の友人などで企業に勤めている人に連絡をし、息子を紹介してくれるようにお願いする。中には、Linkedinなどで500名以上のネットワークを持つ友人などもいるので、どうにかつながりができないこともない。しかしつながるだけでなく、実際に面接にこぎつけるまでにはやはり時間がかかるため、複数の友人に同時にコンタクトしている。しかし私自身もアメリカの企業で就職した経験がないため、全て未知数。

4.面接の練習台になる。息子は大学の就職サポートなどをうまく利用し、面接や履歴書の書き方などを指導してもらっているが、やはり直前の就職の練習は、親の私たちが相手になる。特に自閉症者にとっては、アイコンタクトが難しいので、そのことも意識化するように(相手の目ではなく鼻のあたりを見るように、など)指導。

昨日は石油や軍事などを扱っているヒューストンを拠点としている大手会社、ハリバートンとの1次面接だった。日本にも支社があるらしく、世界各国で事業を広げている会社だ。予定は30分の面接だったが、20分で切り上げられてしまったこと、1つ目の質問を終えたところで録音テープがストップされたこと、難しい質問に答えられずにパニックになってしまったこと、これらのことでかなり落ち込んで帰ってきた息子だったが、全ての経験が糧になると信じている。「自閉症者」であることを開示した方がいい、と私は言い聞かせているが、本人はいまいち踏み出せないようだ。

その前の日はコンサルティング会社のアクセンチュアだっただろうか。この会社も日本に事務所があるらしい。直接の面接ではなく、オンラインで自分の面接を録画し、送るところが今どきの面接。

息子の能力を評価してくれる会社に出会えるように願っている。

 

 

 

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高機能自閉症の息子-大学に入って

2016-09-22 11:28:42 | 自閉症アメリカ教育事情

息子が大学に入って、1年と1か月が経過した。

困難を親子ともに経験しながらも、少しずつ成長していく様子が感じられるこの1年だった。

同じような子どもさんをもつ親御さんや、青年の自閉症者の療育や指導にあたっている人の少しでも参考になるために、まとめて書いてみる。

困難

1.自閉症の併存障害である不安症、うつ、ADHDの問題への対処。息子の場合は、薬物療法を始めることにした。大学生活は特にクラブ活動、バイトなどと並行しながら学業生活を行うことから、いかに空き時間に集中して宿題やテスト勉強をするかが成功のカギとなる。高校時代にはADHDの薬がなくてもやっていけたが、大学に入り息子の行動や様子から、処方してもらうことにする。しかし薬の副作用で体重が激減し食欲が全くなくなった時期もあり、どの薬をどれくらい処方してもらったらよいのかが難しい。認知(行動)療法などもオプションとしてあるが、今のところいいカウンセラーを見つけるのが難しいので保留。

2.実行機能(遂行機能)ー 時間管理、身辺整理にわたって、自分の生活をモニターしていける能力。息子の場合はよく物をなくし、医者などのアポイントメントなど忘れ、遅刻寸前で出かけることが多い。実行機能に関する親向けのハンドブックを購入し、息子の生活のルーティンを定め、それに従ったかどうかで賞罰(うまく守った場合はお小遣い、守らない場合は罰金)を与えることにする。お金の賞罰は本来なら望ましくない動機付けの方法だが、息子が一番動機づけられるのはお金に関することなのでやってみる。たとえば、髭剃りは週に2度(水曜日と土曜日)、朝必ずシャワーをし、朝食をとることなど。いまだに身についているとは言えないので、やり方にまだ問題があるのかもしれない。

成長の姿

1.学業で目覚ましい成果を遂げ、1年目はストレートAの成績。工学部に所属し、Aをとるのが難しい授業も多いので、まれにみる成績だといわれる。しかし、その成果の陰には、大学で受ける合理的な配慮がある。高校までの学校生活でもそうであったが、試験の時間を長くしてもらう(遂行機能の困難さ、不安症などが原因で時間が長く必要)配慮を受けている。

2.バイトやインターンシップに応募し、採用される。ここ3か月ほどの間に飲食店のバイト、大学での数学家庭教師(tutoring)のバイトに採用される。またUPSのインターンシップ(他州)にも採用され、これはお給料も月額4000ドルもらえる非常によい条件つきだったが、今まだ独り立ちしてインターンシップができるほど成長していないので保留にする。こういう風にアメリカの大学では、夏休みや学期などを通してインターンシップで実社会経験をすることが多い。それにしても、社会的コミュニケーションに困難を抱えている息子が、自閉症であることを開示せずに採用してもらえたことに成長を感じる。

3.クラブ活動などに積極的に参加。大学の社交クラブFraternity に入会し、活動や集まりに参加。ディズニーの塗り絵を塗ってくるとか、20年前のコインを100個集めてくる、など無理難題をこなすことでInitiationとなるようだが、結局面白くないのでやめてしまう。現在は大学のビジネスのソーシャルネットワーキングクラブに入会。これは楽しいらしい。

4.ボランティア活動に参加。これはむらがあるが、妹と一緒にアニマルシェルターで掃除や犬の散歩をしたり、教会でカメラや音響調整などのアシスタントを毎週行う。チャリティーの精神というよりも、むしろ自分の履歴書のボランティア欄に書く活動を増やしたいという理由だが、いい社会勉強。

 

 

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ADHDの薬の副作用

2016-04-23 15:09:18 | 自閉症アメリカ教育事情

1か月前より、息子にADHDの薬を処方することにした。

ADHDの症状はあまりひどくなく、むしろ抗うつや不安障害の方が心配だったが、大学に入ってから、授業などについていくためには薬の助けが必要ではないかという結論に達する。

初日はものすごい効き目で、息子は集中的に宿題に取り組むことができたが、その次の日からは効き目がやや減少。しかし薬があることで、勉強が随分進むようになった。

しかしこの薬の副作用として、食欲が抑えられることがあるらしく、ただでさえ細い息子のBMIは16.8まで落ちてしまう。

もともとあまりお腹がすくこともなく、間食をすることが殆どないため、食欲がなくなると、輪をかけてエネルギーや栄養の摂取量が落ちる。

プラス、ベジタリアンの娘を抱えていることもあり、肉や魚の代わりに豆腐や豆類という日も週に2回。

薬を変えるか、息子にもっと食べてもらうか、

親としての悩みはつきない。

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自閉症:ありのままに生きる

2016-03-29 22:06:35 | 自閉症アメリカ教育事情

面白そうな本を見つけました。研究用に購入したのですが、一般の読者の人たちにも読みやすいように書かれています。

「文化人類学者であり、自閉症の娘の父親でもある著者が、世界を巡り国境や文化を超えて
自閉症に真正面から取り組んだ。「流行」とも思われるような有病率の変化に着目しながら
自閉症の歴史的な変遷を探り、また、娘や各国の親たちとのエピソードを交えつつ、
グローバルな視点で文化が自閉症の定義や解釈にいかに影響するかを考察する。
情熱的な語り口と冷静な分析が読者をひきつけ、自閉症に対するより深い理解と関心を呼び起こす」

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アメリカの最新の調査では、45人に1人が自閉症

2015-11-19 12:11:35 | 自閉症アメリカ教育事情

世界最大の自閉症啓発団体Autism Speaksの最も最近の記事によると、政府によって行われた親を対象とした調査の中では、自閉症児(3-17歳)の割合が、アメリカでは45人に1人。

これは、最新のアメリカ疾病管理予防センター(CDC)の報告、68人に1人に取って代わるものではないが、実際はこの数値を上回っているのではないかとの見解。https://www.autismspeaks.org/blog/2015/11/16/behind-science-new-1-45-autism-prevalence-survey

日本の隣の国、韓国などでは38人に1人らしい。自閉症と診断される子どもが増えるにつれ、その対策が国レベルでますます必要になってくる。

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こういう記事を読みながら、茨木県の教育委員の長谷川氏のコメント、「意識改革しないと。技術で(障害の有無が)わかれば一番いい。生まれてきてからじゃ本当に大変」「茨城県では減らしていける方向になったらいい」を新聞で読み、どきっとした。

民族浄化(ジェノサイド)という考えで行われた、ヒットラーのユダヤ人の虐殺・障害者への殺戮をふと思い出す。

命に対する感性が基本的に異なるのかもしれない。少子化の日本の中で障害者も含めたダイバーシティー(多様性)に対するオープンな意識がなかったら、ますます人口は減少するのではないかと思う。

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息子、第一希望の大学に合格

2015-03-31 11:06:00 | 自閉症アメリカ教育事情

先週、息子が嬉しい顔で帰宅する。

第一希望のテキサス州立大学オースティン校に合格したというメールが届いたらしい。

第一希望の工学部では補欠合格だったが、その他の学部を選択するならば入学を許可するということだった。

前にもブログに書いたが、テキサス州の事情を少し説明すると、教育の機会を公平に与えるためにそれぞれの高校の上位10%(テキサス州立大学オースティン校の場合7、8%)が希望する州立の大学へ自動入学できる仕組みになっている。ところが息子が以前在籍していた高校(才能教育プログラム、Academy of Science & Technologyのキャンパスになっている高校)や、現在在籍しているマグネットや国際バカロレアプログラムのある高校などでは、この上位7,8%に入るのがなかなか難しい。というのは、学区の優秀な学生がそのプログラムに在籍するために別の高校から入学してくることになり(マグネットプログラム)、上位ランキングに位置するのが難しくなる。今息子が在籍している高校は、非常に多様性をもつ学校で、生徒間の学力のレベルに大きな差がある。マグネットプログラムの生徒が約40%、それ以外の60%生徒は居住地区により在籍している高校生。また在籍生徒の70%がマイノリティ(少数民族)。50%が貧困家庭の子どもたち。しかしマグネットプログラムに在籍する子どもの多くは、地元の大学や医大関係に勤めている教職員で、いわゆる教育熱心な家庭の子どもたち。そのような環境で息子が合格できたのは、大学共通試験のスコア(ACT)と高校の成績の平均得点(GPA)が高く、さらには自分の自閉症を振り返ってのエッセイがあったからなのかもしれない。

詳しいエッセイの内容はまた別の機会に紹介するが、一部を紹介すると、小学校の時に州の標準テスト(合格しなければ次の学年に進めない)で他のクラスメートより劣った成績であることを知りショックを受けたことがきっかけで、自分の人生はこうあってはいけない、自分を変えなければならないと努力することに決意したという経緯が書かれている。

Through my dedication and hard work to do well in school, I was able to change from failing state tests in elementary school to being at the top of my class senior year of high school.  When I was in elementary school, I struggled with learning and doing subjects that other people can normally good.  In fact I remembered coming home on the bus and looking at my state testing scores and seeing that I got 2’s (out of 4) while my other friends got 3’s and 4’s. I felt like I was inferior to my classmates.  I then realized I couldn’t spend the rest of my life below normal and I need to work hard to change myself.   Indeed a few years later in middle school, I was making straight A’s and had exemplary state testing scores.

社会・感情面でも、自分の精神面の幼さや社交性のなさに気づき、そうではなく努力して自分を変えていかなければならないと、勇気を持って努力した結果、今では自分が自閉症であることを殆ど回りの人が気づかないまでに成長したということがさらに書かれている。自閉症は治らないものであり、今でも精神的に落ち込んだり、社会性の面ではぎこちないことはあっても、成熟した大人として成長していっている自分を認め、これからの人生を前向きに希望を持って歩んでいきたいという意思が息子のエッセイから伝わってくる。

日本では米国南部の大学はあまり知られていないが、テキサス州立大学オースティン校はいわゆるパブリックアイビー大学であり、テキサス州だけでなく州外から学生が入学してくる。昨年息子と娘は大学を見学し、キャンパスと洒落た大学町であるオースティンが随分気に入ったようだが、とりあえず息子は地元の大学からスタートする予定で、本人も納得。

息子は、18歳の今日まで何度かIQテストを受けてきたが、知能指数が決して高いわけではなく平均あるいは平均よりやや上。家庭教師がいたわけでもなく、塾や特別スクールに通ったわけではなく、自分で問題集を解き、宿題をまじめにコツコツやってきただけの高校生活だった。3歳で10語足らずしか語彙がなく、5歳までおむつをしていた息子の幼少期を考えると、ずいぶん成長したものだと親としては感動する。まさに努力をすれば報われるということが、本人だけではなく親としても実感できる嬉しいニュースだった。

 

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息子の二番目のアルバイト

2015-02-16 23:00:33 | 自閉症アメリカ教育事情

高機能自閉症の息子の2番目のバイトが決まった。

日本食レストランの皿洗い。

日本食レストランのオーナーの友人が声をかけてくださったのだが、皿洗いだけでなく、お客様の食べた食器を下げたり、春巻きを揚げたりなどの調理もさせてもらっているらしい。

大変そうなのがレストランのトイレ掃除だが、今のところは不満もなく、こなしているらしい。

かわいい子には旅をさせよ?

私が高校の時は、レストランの皿洗いやトイレ掃除どころか、家の仕事も殆ど手伝っていなかった。

そう思うと、息子はお金のためといえ、偉いなぁと親ばかになる。

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アルバイトは自立への一歩で大いに啓蒙したいが、高機能自閉症の息子にとって特に指導が必要なのが時間管理。

複数のスケジュールが入ると、パニックになり不安症状。

できるだけストレスを軽減するために、全ての予定は自分のiphoneのカレンダーに記入するように言い聞かせる。それだけじゃなく、前日に予定のreminderができるようにも設定。

医者のアポイントメント、学校のスケジュール、バイトの予定、そして音楽のコンクールなどの部活動は全て予定に入れる。私にもinviteとして知らせて欲しいところだが、私のAndroidとの互換性はないらしい。

息子の次のステップは、皿洗いだけじゃなく、ウェイターになって接待することだが、果たしてつとまるのだろうか。

 

 

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息子の大学受験

2014-11-22 20:53:16 | 自閉症アメリカ教育事情

来年の5月に高校を卒業する予定の息子。

普通の親ならば、子どもの大学受験のためにあれこれ準備を手伝うはずだが、引越しと自分の仕事の忙しさで、ほとんど関与せずにどうにかなるだろうと思ってきた。

しかし地元の大学の締め切りまであと1週間と知り、やっぱりこれではすまないと、オンライン願書に目を通すことにした。

以前参加した大学受験のための保護者オリエンテーションによると、自分の実力に見合った大学、それより上のレベルの目指したい夢の大学、確実に合格できそうな安全圏の大学、と最低3つは受けるらしい。

しかし息子の場合、自閉症を抱えているためにまだ親もとから自立するのは難しいということで(本人も承知の上で)、地元の大学を含めた2校のみを受けることにした。

息子の場合、リーダーシップ、アカデミックの上でとりたてた業績があるわけではないが、大学共通試験のACTの9月の成績では、トップ98%タイル。このACTスコアの結果から見ると、全米各地からリクルート目的で送られてくるパンフレットなどでは、奨学金をもらえそうな大学も多い。しかしエッセイや推薦書、そして高校の成績の平均(GPA)など、総合して評価されるとどうなるのか、私たちも検討がつかない。

このプロセスの中で、息子を大いにほめてあげたいと思ったのが、自分の自閉症について書いたエッセイだった。自分が自閉症をどのように克服し(完全に治るわけではないが)、今日に至ったのかを洞察深く描いている。自分が自閉症であるという状況に甘んじることなく、どうやって自分を変革させていったのか、息子の語りは感慨深いものがあった。

その後は、12月にもう一度ACTを受験し、2月には地元の大学のHonors Program(優等学位プログラム)にも願書を送るというのが今のところの予定。

 

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鉄拳の振り子にショックを受けた息子

2014-10-29 23:19:28 | 自閉症アメリカ教育事情

引越しして3ヶ月。

精神的にずいぶん落ち着いていた息子だったが、2日前よりうつになり、食欲もなし、涙を流し続け、気持ちの抑制ができない状態。

この引き金になったのが、なんと息子が妹に教えてもらって視聴したYoutubeのビデオの「振り子」。

https://www.youtube.com/watch?v=O26qmkHYrZs

視聴した人たちから、感動して涙するといったようなコメントが寄せられているが、息子にとっては、まず私たちがいつか死んでしまうということにショックを覚え、さらに生きることにどんな意味があるのかと、自答し、さまざまな疑問が押し寄せてパニックになってしまったらしい。クリスチャンの私たちは、この人生がおしまいなのではないという認識があるので、死に対する受け止め方が違うが、息子は半分受け入れながらも疑いは強く残る。

親の私たちと対話しても、納得のいく答えが返ってこないので、Crisis Hotline(いのちの電話)に自分で電話をかけ相談するが、やはりもやもやは消えないらしい。2日間連続して、苦しみ続けた後、この町で評判のいいカウンセラーに面談の予約を入れ、息子は1時間半カウンセリングを受ける。

二人の対話を聞きながら、このカウンセラーのアドバイスの深さに感動したが、それにも負けず18歳の息子の考えの深さにも驚かされる。自閉症を抱えていることで、感性が普通の人と異なるゆえに苦しみも深いが、悩みに押しつぶされてしまうのではなく、成熟した考えを持つ青年として成長して欲しいと祈りつつ。

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ボク、自閉症の顔しているの?

2014-06-22 23:25:32 | 自閉症アメリカ教育事情

1週間の教会のユースキャンプから帰ってきた息子が、「こんなこと聞いたらいいのかわからないけど」と次のようなことを尋ねてくる。

自分が自閉症の顔をしているかどうか気になるらしい。

自閉症でも特に高機能の場合は、その障害は他から非常に見えにくいということを説明し、顔つきではまったく違いがないということを伝えると少しほっとした様子。

周りの友達は、自閉症のことを知っているのかと聞くと、まだ言いたくないらしい。阻害されてしまうのではと不安らしい。

将来、本当に親しい友人が出来たら、打ち明けようと思う、と心の中を明かしてくる。

このエピソードを回想すると、息子がなんだか不憫になってほろりときてしまいそうだったが、息子が心のうちを打ち明けることが出来る友人と出会えるようにと祈るばかり。

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自閉症の子育てと睡眠

2014-06-16 20:50:58 | 自閉症アメリカ教育事情

自閉症児を持つ母親にインタビューしていると、睡眠不足、慢性疲労、エクスサイズする時間がない、などの話をよく聞く。

先日インタビューした人は、子どもが生まれてから睡眠時間は平均3時間。やることが多いだけでなく、自閉症の子どものこと、将来のことがいろいろ心配で眠れないらしい。

私自身、3時間とまでいかないが、睡眠時間はここ数年極端に少なくなってしまった。高機能自閉症の息子が不安症状と軽いうつと診断されていることから、宿題がたまったり、テストの時期には、ストレスで不眠になることが多い。眠れないといらいらする息子をなだめながら、つい口げんかになり、そういう息子が声のボリュームを制御できないため眠っている下の娘を起こしてしまう。娘と息子は口げんかになり、家の中はストレス飽和状態。その息子に対応しつつ、自分のたまっている仕事と家事をこなし、夜中にごろごろ甘えてくるネコに起こされる。6時間以上連続して寝るような日は、殆どなくなってしまった。

しかし自分がこういう経験をしているからこそ、同じような境遇の母親たちの気持ち、痛み、ストレスがよく理解できる。インタビューしながら、思わず泣き出してしまう母親たちの涙を目にしながら、自分もつい涙ぐんでしまうこともある。

こういう母親たちの苦労を少しでも社会に理解してもらいたいという思いがあるので、研究を行っていても充実感がある。

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娘のボランティア2日目

2014-06-11 21:35:22 | 自閉症アメリカ教育事情

二日目の今日は、緊張も解けたせいか、たくさんの子どもたちと接したり、担任の先生とも打ち解けたみたいで楽しかったらしい。

家に帰ってからもクラスの子の話ばかり。

私自身、大学時代に参加した教育や保育実習を思い出す。子どもたちとの触れ合いがとっても新鮮で、子どもに好かれることが嬉しかったそういう気分を今の15歳の娘が味わっているのだと思うと感慨深い。

娘の自閉症学校のボランティアはうまくいっているのはいいが、私の車の運転がともかく大変。ヒューストンはラッシュ時間帯ではなくても、交通事故などで交通渋滞が多い。娘をボランティア先まで送ってから自分の職場に向かい4時間仕事してからまた娘を迎えにいく。仕事をしている時間が4時間。通勤合計時間が3時間。娘を乗せているので交通事故にあわないようにと特に気をつけながら車を運転するのも疲れる。ついこの前も玉突き衝突にあったばかりなので、それも意識にあるからなのかもしれない。

まあ娘が喜んでボランティアに行ってくれるのは、運転のしがいがあるというもの。

 

 

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