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高機能自閉症の息子-大学に入って

2016-09-22 11:28:42 | 自閉症アメリカ教育事情

息子が大学に入って、1年と1か月が経過した。

困難を親子ともに経験しながらも、少しずつ成長していく様子が感じられるこの1年だった。

同じような子どもさんをもつ親御さんや、青年の自閉症者の療育や指導にあたっている人の少しでも参考になるために、まとめて書いてみる。

困難

1.自閉症の併存障害である不安症、うつ、ADHDの問題への対処。息子の場合は、薬物療法を始めることにした。大学生活は特にクラブ活動、バイトなどと並行しながら学業生活を行うことから、いかに空き時間に集中して宿題やテスト勉強をするかが成功のカギとなる。高校時代にはADHDの薬がなくてもやっていけたが、大学に入り息子の行動や様子から、処方してもらうことにする。しかし薬の副作用で体重が激減し食欲が全くなくなった時期もあり、どの薬をどれくらい処方してもらったらよいのかが難しい。認知(行動)療法などもオプションとしてあるが、今のところいいカウンセラーを見つけるのが難しいので保留。

2.実行機能(遂行機能)ー 時間管理、身辺整理にわたって、自分の生活をモニターしていける能力。息子の場合はよく物をなくし、医者などのアポイントメントなど忘れ、遅刻寸前で出かけることが多い。実行機能に関する親向けのハンドブックを購入し、息子の生活のルーティンを定め、それに従ったかどうかで賞罰(うまく守った場合はお小遣い、守らない場合は罰金)を与えることにする。お金の賞罰は本来なら望ましくない動機付けの方法だが、息子が一番動機づけられるのはお金に関することなのでやってみる。たとえば、髭剃りは週に2度(水曜日と土曜日)、朝必ずシャワーをし、朝食をとることなど。いまだに身についているとは言えないので、やり方にまだ問題があるのかもしれない。

成長の姿

1.学業で目覚ましい成果を遂げ、1年目はストレートAの成績。工学部に所属し、Aをとるのが難しい授業も多いので、まれにみる成績だといわれる。しかし、その成果の陰には、大学で受ける合理的な配慮がある。高校までの学校生活でもそうであったが、試験の時間を長くしてもらう(遂行機能の困難さ、不安症などが原因で時間が長く必要)配慮を受けている。

2.バイトやインターンシップに応募し、採用される。ここ3か月ほどの間に飲食店のバイト、大学での数学家庭教師(tutoring)のバイトに採用される。またUPSのインターンシップ(他州)にも採用され、これはお給料も月額4000ドルもらえる非常によい条件つきだったが、今まだ独り立ちしてインターンシップができるほど成長していないので保留にする。こういう風にアメリカの大学では、夏休みや学期などを通してインターンシップで実社会経験をすることが多い。それにしても、社会的コミュニケーションに困難を抱えている息子が、自閉症であることを開示せずに採用してもらえたことに成長を感じる。

3.クラブ活動などに積極的に参加。大学の社交クラブFraternity に入会し、活動や集まりに参加。ディズニーの塗り絵を塗ってくるとか、20年前のコインを100個集めてくる、など無理難題をこなすことでInitiationとなるようだが、結局面白くないのでやめてしまう。現在は大学のビジネスのソーシャルネットワーキングクラブに入会。これは楽しいらしい。

4.ボランティア活動に参加。これはむらがあるが、妹と一緒にアニマルシェルターで掃除や犬の散歩をしたり、教会でカメラや音響調整などのアシスタントを毎週行う。チャリティーの精神というよりも、むしろ自分の履歴書のボランティア欄に書く活動を増やしたいという理由だが、いい社会勉強。

 

 

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