ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『CODA』を観て

2022年04月05日 | 2020年代映画(外国)
『コーダ あいのうた』(シアン・ヘダー監督、2021年)がアカデミー賞の作品賞を受賞したためか、手頃な時間帯の上映になったので観てきた。

幼い頃から家族の耳となったルビーは家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。
新学期、合唱クラブに入部したルビーの歌の才能に気づいた顧問の先生は、都会の名門音楽大学の受験を強く勧めるが、
ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられずにいた。
家業の方が大事だと反対する両親に、ルビーは自分の夢よりも家族の助けを続けることを決意するが・・・
(映画.comより)

マサチューセッツ州の港町に住む女子高生のルビー。
貧しい漁師のロッシ家は、ルビー以外の父フランクと母ジャッキー、それに兄レオが聴覚障害。

ルビーは新学期を迎え、一目で好きになったマイルズが入ろうとするコーラス部へ自分も入部する。
その後、歌の才能がルビーにあると見抜いた教師は、発表会に向けマイルズとデュエットを組ませる。
そして教師は、マイルズも目指すボストンの音楽大学への進学をルビーにも勧める。

片や、仲買の暴利によって利益が出ないために不満を募らせる漁師たちの船に、政府の監視員が同行することになった。
フランクとレオは、監視員が船に同行することになった日、ルビーの都合によって、通訳なしで漁に出る。
漁の最中、沿岸警備隊から船の停止を命じられたが、親子は耳が聞こえないためにわからなかった。
後日、漁を行おうとすれば健聴者を乗船させること、そして反則金を支払うことを命じられたフランクは悩む。

漁業を糧としている一家の生活は、まともに賄われない。
そんな状態の中で、ルビーは家族のために対人的な通訳者として今後もやっていきたいが、歌のために音楽大学へも進みたい。
そのジレンマが随所に深く滲み出る。

私は、障害を持った人との関係や病気の話の作品はどちらかと言うと避ける傾向にある。
それは、障害や病気の人を扱いながら、同情だけを誘おうとする涙頂戴的な商業主義が多分にあるから。
もっともそんな作品ばかりのはずはなく、それは判っていてもやはり遠ざかる。
今作品もまず題名からして観る気がせず、今回、アカデミー賞絡みだから一応は、と期待もせずに観た。

しかし、正直言って無条件で感動してしまった。
作品自体の出来の良さは言うまでもなく、何と言っても、ルビー役のエミリア・ジョーンズの素晴らしいこと。そして、歌が無茶苦茶うまいこと。
そればかりか、すべての出演者が役に溶けいっていて自然体なこと。本当に脱帽した。

これを機に、母親役のマーリー・マトソンがオスカーを取った『愛は静けさの中に』(1986年)や、
この作品元のフランス映画『エール!』(2014年)もいずれ観てみたいと思った。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『ベルファスト』を観て | トップ | 『夜』を観て »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

2020年代映画(外国)」カテゴリの最新記事