ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

ジュリアン・デュヴィヴィエ・14~『神々の王国』

2019年03月19日 | 戦後40年代映画(外国)
『神々の王国』(ジュリアン・デュヴィヴィエ監督、1949年)を観た。

女子専用で石造建物のオート・メール観察所に、一人の少女が連れて来られる。
この17歳のマリア・ランベールは、空襲で母親を亡くし父親も行方不明のために孤児院育ちだった。
色々な所で仕事をし、たまたまいかがわしい店で働いていた時に一斉検挙があり、補導されてここに送られてきた。

マリアから事情を聞いていたバルダン所長が、突然その場で、心臓発作で亡くなってしまう。
後任の所長となったシャンブラスは、開放的な方針だったバルダンと違って、収容者の規律を厳しくする。
早速シャンブラスは、今来たばかりのマリアを城壁の牢に入れ、自分の面目を保とうとする。

牢から出て大部屋に入って行ったマリアを、収容されている少女たちが迎え入れる。
興味を持つみんなは、マリアの話に耳をそばだてた。

マリアには愛している電気工のピエールがいて・・・

マリアが入所した日に、真面目にやれば半年で家に帰れると教えられることも含め、
当時のフランスの観察所(日本語字幕による)は社会復帰が目的ということから、イメージは今の少年院に近いか。

ピエールは電気工事に行った先の町で偶然に、脱走している入所者マルゴと会い、伝言のメモを渡す。
“マリア愛している・・・”と。
そして、返事を待つ。
でも返事は来ず、ピエールはマルゴから教えてもらった見取り図を頼りに観察所に忍び込む。

物語は、所長がシャンブラスに代わったための入所者の少女たちの反抗と、何かにつけ少女たちの気持ちに寄り添うゲランド婦人。
それらに絡んでの、マリアとピエールの一途な想いによる脱出劇。

クリスマスの日。
所長シャンブラスとは何かとトラブルがあるが、ミサで合唱団として歌う少女たちとその席に参加する少女たち。
教会の外は、川の決壊による洪水。
そのチャンスを利用して逃げるピエールとマリア。

本物の洪水した場面の実写をからませ二人が逃げる。
このラスト近くの場面を見て、十代にこの作品を観たと記憶にはしていたが、ない記憶の中から蘇る明確なシーンがあった。
それは、逃げている二人が橋の窪みに隠れ、その上を力強く走る列車の場面。
50年以上消えている記憶が、そのシーンを見て蘇る不思議を我ながら驚く。
やはり、デュヴィヴィエの威力は私にとって凄いものがあると感じる。

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