ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

『ブーベの恋人』を再度観て

2019年09月04日 | 1960年代映画(外国)
『ブーベの恋人』(ルイジ・コメンチーニ監督、1963年)を観た。

1944年、連合国軍が北上するイタリアの田舎町。
若い女マーラの家に、戦死したマーラの兄と共にパルチザンとして戦った青年ブーベが訪れる。
マーラのことを聞いていたブーベは、彼女にパラシュートの絹布をプレゼントする。

ブーベがまた訪ねてくるのを願うマーラだったが、彼からの手紙の文面には愛の言葉がしたためてない。
しかし父親は、その後訪れたブーベと、勝手にマーラを彼の婚約者に決めてしまっていた。
怒るマーラだったが、もともとはブーベを秘かに愛していたこともあり・・・

ジョージ・チャキリスとクラウディア・カルディナーレの甘く切ない恋愛物語。

封切り当時、劇場で観たこの作品は、どうも甘ったるすぎる恋愛物だなとの印象で、そんな記憶を引きずってきた。
だから、そんなに観ようとは思っていなかったが、無料配信サービスがあったので今回観てみた。

そしたら、勝ち気な所もあるマーラ役のクラウディア・カルディナーレが初々しくてとても良く、自然とのめり込んでしまった。
前回から50年以上も経てば、やはり背景はすっかり忘れてしまっていたが、イタリアの戦中末期の状況がはっきりわかり、作りもしっかりしている。
それでもって、殺人を犯したブーベが国外逃亡する段のマーラとの別れ。
それに被さる例のテーマ曲。

「ブーベの恋人 、La ragazza di Bube」サウンドトラック (YouTubeより)


ブーベから何の連絡もないマーラは、田舎にも居づらくなり、町に出て一人暮らしを始める。
そして、女友達の計らいで誠実な男ステファノと知り合う。
ステファノは上手くいかない彼女がいるが、徐々にマーラに惹かれていく。
マーラは一途にブーベを想っているが、淋しさの中でステファノに対して心が揺れ動く。
そんな中、マーラのもとに、ブーベが国境付近で捕まったと連絡がはいる。
そして、裁判。

今思うと、若い頃は、どちらかと言えば物事に対して斜に構えるところがあって、だから、このような恋愛作品には素直に反応しなかった可能性がある。
でも現在は、これはいい映画だなぁとつくづく感じる。
特に、ファースト・シーンの列車の中でのマーラの独白による回想がラスト・シーンと繋がっていて、
何気なかった最初のシーンが、ラストのマーラの心情を知ることによって、愛の深々としたその重みが強く突き刺さってくる。

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