ポケットの中で映画を温めて

今までに観た昔の映画を振り返ったり、最近の映画の感想も。欲張って本や音楽、その他も。

マルセル・カルネ・9~『枯葉 ~夜の門~』

2018年06月22日 | 戦後40年代映画(外国)
『枯葉 ~夜の門~』(マルセル・カルネ監督、1946年)を観た。

1945年2月、解放後の冬のパリ。

ディエゴは、レジスタンス仲間だったレイモンの死を伝えるために、彼のアパルトマンを訪ねる。
驚くことに、そこへ当のレイモンが帰ってくる。
実は、銃殺寸前だったレイモンは九死に一生を得て、今では鉄道の操車場で働いていた。

再会を喜ぶディエゴが、レイモンの家族とレストランで食事を楽しんでいると、レジスタンスの仲間からは評判の悪いギーが、人を連れて羽振りよく食事に来る。
そこへ、ひとりの紳士が店に入って来、一杯ひっかけて行く。
ふと、ディエゴが外を見ると、止まっている高級車の中に目を見張る女性が座っていて・・・

ディエゴは、高級車に乗るマルーを見そめる。
このマルーは、実はアパルトマンの家主セネシャルの娘で、英雄面づらでみんなから疎んじられているギーは、弟であるとの設定。

夫ジョルジュと不仲であるマルーは、昔の思い出が詰まった家の倉庫でディエゴと偶然に出会う。
この場面の情景は、成り行きとして恋愛感情が絡んでくるが、映画作りとしてはどうしても文学的雰囲気で終始する。
だから、その雰囲気はとてもよくっても、どうしてもリアリティに欠けたまま物語が進む。

レイモンに対する密告者であったことが暴かれそうになり逃げようとするギー。
それを知ってしまったディエゴとマルー。
夜の運河沿いを彷徨うギー。
マルーを探しにやってきたジョルジュと知り合ったギーは、ジョルジュに銃を渡す。

ディエゴと一緒にいるマルーに逆上したジョルジュは、銃の引き金を引く。
と、話の筋はクライマックスに向かうが、やはり内容的には甘いまま大詰めを迎える。

この作品が、どうしても文学的なイメージを拭えないのは、要所要所に現われる謎の、自称“運命”の男。
この運命の男に、登場人物の成り行きが方向づけられていたりする。
なので、言わんとすることは解釈できても、作品としての感動は残念ながら生まれない。

そう言うこともあってか、この作品の最大の魅力は、例のジョセフ・コスマの“枯葉”の曲となってくる。
そして、ディエゴ役の若きイヴ・モンタンの主演と考えればとても貴重な作品だったりする。

ディエゴがレイモンの家族とレストランで食事をしている場面の“枯葉”(YouTubeより)


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