原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

パンデミックの危機目前に

2014年02月14日 09時00分00秒 | 自然/動植物

 

意外にテレビなどのメディアはあまり報じないのだが、今年に入ってから中国と韓国では鳥インフルエンザの感染が急増。特に深刻なのは中国での感染。この冬だけで175人の感染が分かり、36人が死亡(2月7日現在)している。中国当局は人から人への感染は見られなく、パンデミック(世界的流行)の恐れはないと発表。だが昨年春の発症以来、すでに感染者は300人を超し、死亡は60人余り。人と鳥との濃い接触や家族の看病などの関係から感染だけとして、人を介するパンデミックにはならないと言う中国。この言い分は本当に正しいのか、中国当局の発表だけに疑問が付きまとう。

 

今さら言うまでもないが、中国当局のデータというのはまったく信用ならない。数字の操作などは日常茶飯事だからだ。自分たちの都合のよいように変更する。JR東日本のデータ改ざんなどの比ではない。当然、WHOが厳しくチェックするものだと思うのだが、すでに前にも指摘したように、この機関のトップには香港出身の中国人が座っている。なぜかここでブロックされてしまう。もちろん中国は国の恥になるので懸命に汚染の拡大には努力しているのであろう。しかし、中国の市場、とりわけ生きのものを扱う商売には闇の組織があり、当局の手の届かないところで生きた鳥がどんどん取引されている。現在、鳥インフルエンザに感染して死者が出ているのはこういう層の人たちなのである。実態の把握などできるわけがない。感染は発表の三倍くらいという予想は容易にできる。

この鳥インフルエンザの怖いところは、インフルエンザそのものがどんどん変異していくことだ。人から人への感染は今のところ無いと言っても、いつ人から人へ感染するインフルエンザに変異するのか分からない不気味さがある。冬は人が罹るインフルエンザも蔓延する。この人インフルエンザと鳥インフルエンザが合体する可能性もある。実際中国では両方に罹って死亡した少年もいる。人への感染は大丈夫という保証など全くない。

中国の鳥インフルエンザはH7N9型であるが、すでにH10N8型という新種もこの冬中国で見つかっている。インフル菌は確実に変異進化しているのだ。

 

中国という国はどうも他人の迷惑をあまり考えない国らしい。鳥インフルエンザは単に中国国内だけの問題ではない。渡り鳥に感染すれば世界中に広がる。この恐ろしさをどれほど理解しているのだろうか。自分たちが隠ぺいすれば済むという話ではないのだが。WHOの責任は極めて大きいはずだ。もっとも、北京から起きたPM2.5についても同じことが言える。ほとんど解決の兆しが見えてない。そうしているうちにPM0.5まで登場した。中国で多くの死者が生まれ、この汚染の風は近隣諸国に広がりつつある。日本も当然その渦の中だ。これに対して中国政府からの謝罪が近隣諸国に発せられた事などない。改善の工夫も見られない。どういう国なのかと疑問に思うのは当たり前ではないだろうか。今年は北京で国際会議が開かれるということだが、こんな状態でもやれるのだろうか、他人ごとながら心配になる。ソチオリンピックの開会式で、中国選手団が行進を渋滞させ顰蹙をかった光景を思い出す。国際社会ではやはり、困った国にみえる。

 

韓国の鳥インフルエンザも気になる。こちらはH5N8型で中国のとは違う。だがカモやアヒルへの感染が広がっている。報道では明らかに初期の防疫に失敗したらしい。このインフルエンザはまだ人への感染はないとのことだが、日本との距離が近く渡り鳥への感染が危険視されている。実際、2011年には韓国で発症したすぐ後、宮崎県の汚染が発覚。大量の鶏の処分が行われた。韓国からの伝染であった。野鳥が多い道東には気にかかる報道なのだ。

 

渡り鳥が汚染されると、これを防ぐことは至難。とにかく早期発見がすべてになる。日本はまさに警戒段階のレベルを最高にあげる必要がある。監視官の仕事がまたまた増える冬だ。

 

先日の報道では、来年の1月末に釧路で「渡り鳥国際会議」が開催されることが決定した。国境を超える水鳥を保護する国際ネットワークの会議で東アジア・オーストラリア地域の15カ国が参加する。中国やロシアも参加する。2006年から毎年開かれている会議であり、日本で開催されるのは来年の釧路が初めて。鳥インフルエンザについても討議される。中国はこれまでに正確な病気の把握と対策を発表できるように努力してもらいたい。たぶん無理だと思うのだが、期待するしかない。


最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
ハクチョウ… (numapy)
2014-02-14 09:47:30
最近阿寒にわたってくるハクチョウが増えてるようです。
これが、皮肉なことにタンチョウの給餌と関係してるようです。
当然、鳥インフルが脅威となる。ここ2年は大丈夫だったようですが、
いやはや、野生動物同士だと、どうにもなりませんね。
それにしても中国という国は、どうやっても不気味な国です。
もともと、そういう素地の国だったんでしょうか?
確かに、治世者が変わると歴史を全部書き換えるというお国柄ではありますよね。
返信する
生息地の変化 (原野人)
2014-02-15 10:56:56
塘路湖やシラルトロ湖の周辺では毎年のようにオジロを見ることができたのですが、昨年あたりから姿を見かけなくなりました。やはり生態系の変化の一つかもしれません。餌を得る方法にも変化があるのかも。近くにはアオサギのコロニーもあるのですが、年々その数が減少しているようにも見えます。地球は確かに変化しているようですね。鳥インフルエンザは地球の自然が人間たちに発している警告のように感じています。
返信する

コメントを投稿