原野の言霊

風が流れて木の葉が囁く。鳥たちが囀り虫が羽音を揺らす。そのすべてが言葉となって届く。本当の原野はそんなところだ。

氷上の戯れ―オジロワシ

2013年04月05日 08時00分00秒 | 自然/動植物

 

3月20日に塘路湖を訪れた。春の兆しはまだ見えず、湖面はまだ一面の氷。氷の上に雪が積もり銀世界となっていた。ふと見ると、黒い塊が点々と見える。どうやらオジロワシかオオワシが来ているらしい。数羽で遊んでいた。突きあったり、とび跳ねたり。望遠をいっぱいに伸ばして、姿を追った。この時はまだ気づかなかったが、家で拡大して分かった。オジロワシである。しかもまだ成鳥となっていない若鳥だった。二年か三年生くらいだろうか。餌を求めて湖にきたが、凍っていたために、遊ぶしかなかったようだ。間もなく彼らは北の地へ旅立つ。その準備運動でもあるのか。

 

冬の道東では頻繁に出会うオジロワシである。1970年に国の天然記念物に指定され、1993年には国内希少野生動物種に指定されている。主に冬鳥として知られているが、道東には留鳥となったオジロワシもいる。現在北海道で確認されているオジロワシは1700羽くらいとか。良く見かける割には少ない。オオワシとともに空を彩る野生の鳥の姿は、道東の冬の原風景になっている。

 

(オジロワシまでの距離、約1㎞)

オジロワシは年に一度、2個ほど卵を生む。35~40日ほどで孵化。さらに70~75日で飛翔できるようになり、さらに35~40日後に独立する。生後6~7年で成鳥羽に生え換わる。成鳥になる前と後ではかなり違う姿なのですぐ分かる。生まれた年の12月頃までは親と一緒だが、その後は単独行動となる。塘路湖で見かけた若鳥は兄弟とその仲間というところか。人間でいえば十代の若者同士で屯している様子を思わせる。オジロワシまでの距離は約1キロ弱。湖の中心付近では彼らは誰にも邪魔されず、完ぺきな自由を謳歌していた。

 

(左が幼鳥、右が成鳥のオジロワシ)


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2 コメント

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オジロ幼鳥・・・ (numapy)
2013-04-05 09:53:45
今年も阿寒ツルセンターには、幼鳥が来てました。
なんだかトビみたいで、(ただしデカサは違う)なんとなく
頼りないところが、日ハムの大谷君みたいでいいなぁ…と。
何しろ、あの精悍な顔つきをしてるのにカラスに追い回されますからね。そこがミスマッチングで可愛い!
そう言えば留鳥となったオジロ、巣はどこにあるんですかねぇ…一度見てみたい。
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野付と知床に、 (genyajin)
2013-04-05 13:06:29
留鳥となったオジロワシの巣は野付半島と知床半島にあることは確認されているそうです。ただ数が少ないのでなかなか見つけられないそうです。
野付半島では4月末ころまでオジロを見ることができますが、夏の間は森の中に隠れているようです。きっと子育てに一生懸命なのでは。連休ころに野付にでも出かけて様子を見てきたいと思ってます。
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