やんまの気まぐれ・一句拝借!

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枯螳螂この世に未練ある如く​ 大串章

2019年12月28日 | 俳句
大串 章
​枯螳螂この世に未練ある如く​

螳螂が生き残って枯てた色を帯びている。まるでこの世に未練がある如き顔付きである。都市近郊に住む我が身の回りにも原っぱが散在していて螳螂や蜻蛉や蝶々などが四季を楽しませてくれる。希に冬蒲公英や冬の蝶などにもお目にかかれる。そんな中でも螳螂は存在感が強い種族である。晩冬の日射しにかろうじて身を晒し生きながらえていたりする。うらぶれた姿に我が自画像が重なってくる。:俳誌「角川・俳句(2020年1月号)所載
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枯蟷螂ななめ半分ほどが枯れ​ 望月清彦

2019年12月28日 | 俳句
望月清彦
​枯蟷螂ななめ半分ほどが枯れ

草木も枯れれば螳螂も枯れる。俳句の言葉は面白い。この螳螂くん斜め半分が枯れてきた。我が身の上も斯くの如しか。まだまだ心に疼くものが残っている。青春とは心の有り様と誰かが呟く。真半分ではなく斜め半分という枯れ方にどこか歪な現実がある。原罪も余罪も我が身の内に有り。枯れて行く肉体と夢見る魂と半々の日々が流れて行く。:朝日新聞「朝日俳壇(2019年12月8日)」所載
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