「インセプション」を観た

　「インセプション」、観てきました。面白かったです。主演はレオナルド・ディカプリオです。カオがあんまり好きじゃないのでどうかなあと思ってましたが、気になりませんでした。理由は、脚本の緻密さにあると思います。
　「人の夢の世界にまで入り込み、他人のアイデアを盗むという高度な技術を持つ企業スパイ」とそのチームが、他人にアイディアを植え付けるという「ほぼ不可能に近い仕事」に挑む映画です。
　「夢の世界」が舞台ということで、現実にはありえない映像が次々と繰り出されるのも魅力ですが、飛行機の中の「現実」→土砂降りの大都会でのカーチェイスの「夢」→無重力のホテルの「夢」→険しい雪の山中の病院の「夢」→記憶の中のホテルの「夢」→荒涼たる海岸の「夢」と、複雑な夢の世界が交錯して、「キック」と呼ばれる覚醒の瞬間に向かって収束していきます。
　主人公コブと、その亡くなった妻モルのエピソードが切ないですね。映画の中で、まるでアヘン窟のような部屋で「夢」の世界に浸っている老人たちが出てきました。「彼らにとっては、夢の中こそが現実なのだ」という台詞とともに。本当に生きるとは、現実とは、どういうことなんだろうと考えさせられました。
　それにしても、何て複雑な仕掛けなんでしょう。映像でしか表現できない世界のように思いました。