このところ、VW(フォルクス・ワーゲン)の ディーゼル車が違法デバイス(ディフィード)を搭載して大量のNOxをバラ撒いていたという 「事件」 に、世界中が大騒ぎになっている。
ある程度の予想はできたものの、あの VW でもやってたのかと呆気にとられていた。
そもそも、昔から エンジンの浄化装置ってのは 規制とすり抜けの 「いたちごっこ」です。
無対策な場合、より悪質な排気となっていたガソリンエンジンは、「三元触媒」 の登場によって劇的に クリーン な 「イメージ」 となった。
が、この 「三元触媒」 ってやつは、ある程度の高温にならないと化学反応が起こらない。
そのため、「ガス検」 に 新型車 や、並行輸入車 を持ち込んで 「認可」 を得る際、十分にエンジンを暖機して持ち込むなんてのは今も昔も 「あたりまえ」。
このため、長時間の駐車後に冷えたエンジンを回した直後(コールド・スタート)はほとんど 「垂れ流し」 です。
よくガソリン車が、長時間のアイドリング(温度低下) や ガレージ内で 「一酸化炭素中毒」 で死者を出すのも、こうした要因が小さくないと私は見ています。
ディーゼルエンジンの場合、先の 「NOx 総量削減法」 で国(とメーカー)の横暴な対応に刃向った一人として、その原理的な難しさは もしかすると普通の人よりは僅かに実感できてるかもしれない(でないかも)。
あっちを立てると、こっちが立たず と、有害物質の対策は物凄くハードルが高い。
それをある程度 感じていたからか、圧縮比 という視点で 根本的に見直すという大胆な挑戦をした マツダ のSKYACTIVE-D に敬意にもにた好感を得た。
既存概念では、「後処理装置」 無しのディーゼルエンジンは不可能だと自分も考えていたのだから。
とはいえ、「三元触媒」 が使えないディーゼルは やはりガソリンエンジンに比べて 不利な要素が多い。
ガソリン燃料を精製する 副産物的な 軽油 の有効活用と考えると、多少(多少ね)のリスクを追っても ディーゼルエンジンの普及は必要と考えます。
一昔の黒煙モクモクをもう一度、などとは毛頭思いません。
できるだけ、無害で環境に配慮した形で実用化してもらいたいのです。
そんな願いも、某新聞にあった 2011 年の いすゞ 「フォワード」 四車種の 「ディフィート・デバイス」 事件を知り、落胆…。
試験値は正常でも、条件で3倍の NOx を出していたという…。
東京都が指摘したのに対し、いすゞは結果的に ソフトウェアの改修 と 機器の改善 をしたようだが、あくまで 「不正ではない」 と押し切ったようです。
最終的に、この事件は VW のような信用問題にはならず 「うやむや」 になっている。
乗用車ではなく、トラックの話しとはいえ 国内のメーカーがこうした不正を実際に行っていた(バレていた)というのは正直、怒りすら感じる。
と同時に、どれだけ沢山のメーカーがこうした 「不正行為」 を行っているのかと考えると 情けなくなってくる。
昔、パソコン通信(Nifty)仲間が、転職で某トラックメーカーに行った。
当時問題視されてたディーゼルエンジンの NOx に対し、二段階カム 等のアイディアで改善を進めるメーカーの力になりたいと気合いの入ってた彼。
そうした人の努力が少なからず反映されてると、心のどこかで信じていたんですね。
今や 「世界の目」 が、ディーゼルエンジン へ 不信で向けられてる。
VWが発端で、グループの アウディ からも続々と 違法車 が出てきてる。
個々のメーカーではなく、「ディーゼルエンジン」 そのものの 信頼回復を考えた時、思い浮かぶのは 全現行車種の徹底した状況把握です。
今や ガソリンエンジン より 高いハードルとなってるディーゼルエンジン。
これも 「個人的」 におもうのですが、規制に届かなかったエンジンをはぶくのではなく、より高い税金(環境税とか)を課すとかのペナルティー販売をする対応ってのも、考えてみる必要がある気がします。
要は、日本のエコカー減税の 逆の見方(減らすのではなく、負担を増やす)ですね。
そりゃクリーンな方が良いに決まってますが、僅かに届かなかっただけで 「不適合」 として販売できないより良いと思うのです。
その課税分を、より高品質な燃料開発に向けたりできれば、結果的に恩恵に繋がる事もあるでしょう。
部分部分で騒ぐ既存の見方ではなく、トータルでどうかという議論ってのが今後は重要なのかもしれませんね。
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