政治の季節【稗史(はいし)倭人伝】

稗史とは通俗的な歴史書等をいいます。
現在進行形の歴史を低い視点から見つめます。

行政訴訟 この不公平なもの……諫早湾控訴決定に思う

2008-07-11 07:49:45 | 自民党
諫早干拓・国が開門調査へ、福岡高裁に控訴も決定 (YOMIURI ONLINE 7/10)

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡る訴訟で国に堤防の排水門の開放を命じた佐賀地裁判決について、鳩山法相と若林農相は10日、最終調整を行い、国として福岡高裁に控訴することを決める一方、開門調査についても実施する方針を固めた。

若林農相が同日午後、福田首相と会い、政府としての最終判断を仰ぐ。

「控訴しないで」 諫早湾原告らが農水省に要望書 (産経ニュース  7/3)

同訴訟では、漁業者らが有明海の漁業不振などは堤防閉め切りが原因として、国側を提訴。6月27日に佐賀地裁が、堤防閉め切りと湾内の環境変化、漁業被害との因果関係を認め、開門を命じる1審判決を出した。原告らは国側に対して、この判決に控訴せず、開門へ協議に応じるよう求めた。


この漁民の切実な要望に対して国は控訴をするらしい。
何のために?


政府・官僚の誤りを認めないために。
政府・官僚の無謬を証明するためだけに。


そもそも一審判決が下りたならば、行政側は控訴してはいけない。
どうしても控訴したければ、政治家あるいは役人が個人の費用でやりなさい。
行政と個人の争いでは個人側が絶対的に不利なのだ。
行政側は訴訟の費用の心配がない。
時間の心配もない。裁判に費やされる時間は仕事の時間。給料はもらえる。
個人は仕事の合間に裁判にかかる。その時間の収入の保証はない。長く掛かれば生活出来なくなる。年もとる。
行政訴訟は一般に最終決定までにとてつもない時間がかかるのが通例だ。
そもそもこの一連の訴訟は2001年に始まる。それがこの一審判決が出るまでにほぼ7年かかっている。これが控訴審、さらに上告審と続き、最終審判がでるまでにはあと何年かかるか見当もつかない。
原告側の生活条件は悪化していく一方、被告側には何の痛みもない。裁判に出向くのも仕事の内。担当者は次々と変わっていく。何年かかろうと痛くもかゆくもない。


こんな裁判が公平な裁判といえるか!
国民が払った税金をつかって行政が国民と戦う。


行政と私人の訴訟では行政は控訴・上告をしてはいけない。どうしても上級審に持ち込みたければ担当者・責任者が私費でやれ。
次の担当者への引き継ぎも禁止。あくまでも個人の立場で争え。
それでやっと公平な裁判に近づく。

一審判決がどうみても不合理と思えることがあるかも知れない。
そこで行政側にも救済措置を認める。
国会の承認を条件として上訴を認めることとする。
国会が休会中などの理由で承認が間に合わない場合は、開会後の最優先事項として決議を行い、非承認ならば即時に訴訟を取り下げる。


これくらいのことを取り決めなければ、役人の裁判引き延ばしはなくならない。



今からでも暫定税率廃止!                                           

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