令和5年1月29日(日)
春を待つ : 待 春
寒さも峠を越し、近ずく春を心待ちにすること。
わけても暗くて鬱陶しい冬を耐えてきた雪国の人々の春を待つ
気持ちには切実なもので、冬の最中に春を待っている心である。
住む風土によりその心持ちには強弱や濃淡の差があり、雪深い
寒風の吹きすさぶ土地の人々は切実であろう。
気象条件に恵まれた土地の人々もそれなりに春を待つ心はある。
この時期になると流れ来る童謡「春よ来い」は、そんな思いを
こめた心に残る歌、、、、。
シンガーソングライターとして、また作詞作曲も手掛けられる
合田道人さんの著書:「童謡の風景」の中に、「春よ来い」の
解説がある。
【春よ来い、みいちゃんに親近感。心温もる童謡だ。
本当に早く暖かい「春よ来い」と思わずにいられなくなる。
「じょじょ」(草履)、「おんも」(外)、「はよ」(早く)
など幼児語を並べ、それ迄になかった「みいちゃん」という
固有名詞が子供たちに親近感を持たせ、大人たちもほほ笑み
ながら聞くことが出来る歌として歌い継がれてきた。
この「みいちゃん」のモデルは、歌の作詞者の相馬御風の長
女の文子だといわれる。 この歌が仏教雑誌の「金の鳥」に
発表されたのが、1923年(大正12年)のことだから、
文子は二歳。 ちょうど歩き始めた、、、頃と合致する。
そしてもう一点、♪ 赤い鼻緒のじょじょ、、、、、はいた
「みいちゃん」は、窓から外を見ながら「早く外に出たいと
♪待っている、、、」のだ。
待つということは、つまり「みいちゃん」が住んでいる場所
が雪国だからだろう。相馬はこの時期、ふるさと新潟県の糸
魚川に帰住している。
新潟の代名詞は「雪国」。そんなところからもこの歌は相馬
とその娘を歌ったものだといわれるのだ。
そろそろまた、春がやって来る。
(合田道人著:童謡の風景より、引用しました。)
「春よ来い」 : 童謡
作詞 : 相馬 御風、作曲 : 弘田 龍太郎
はるよこい はやくこい
あるきはじめた みいちゃんが
赤いはなおの じょじょはいて
おんもに出たいと まっている
はるよこい はやっこい
おうちのまえの ももの木の
つぼみもみんな ふくらんで
はよさきたいと まっている
今日の1句
春を待つそのときの色未だみせず ヤギ爺