令和2年12月11日(金)
二兎を追い続けた人生
先日、物理学者で俳人の有馬朗人さんが亡くなられ、
各界からその業績を称え、惜しむ声が相次いでいる。
私のブログで拙いメッセエージをお伝えしたが、、、
今朝(11日)の中日新聞朝刊コラム「中日春秋」に
有馬朗人さんへ賛辞を贈る記述が在ったので紹介する。
「私の人生は自転車操業」(有馬朗人)
天から才能を授かっ人の思い覚悟を表している様な句
がある。
二兎を追ふほかなし酷寒の水を飲み
物理学者で俳人の有馬朗人さんである。
「朗人くんは出句しておいて、隣室で卓上計算機を
ガラガラ廻していた」。師であり科学者でもあった、
俳人の山口青邨は、驚きを込めて有馬青年の東大学生
時代を述懐しているという。若い頃から全力で二兎
を追い、いずれの世界でも一流になった人である。
有馬さんの訃報が先日届いた。 90歳だった。
浜松一中時代に父が他界し、その後働きながら学ぶ
苦労の日々が始まる。(努力して自転車を漕いでい
るうちは倒れない。私の人生は自転車操業)と著書
にある。精一杯の努力で、倒れなかったのだと。
物理学の「有馬ヤッケローの理論」はノーベル賞級
という。
俳句では最も権威のある「蛇笏賞」を、一昨年受賞
した。若い頃、ノーベル物理学者の朝永振一郎氏に
かけられたという言葉を大切にしてきた。
「若いうちにいい夢を見ておきなさい。小さな夢を
見るだけだと、小さなことで一生終わる。出来るだ
け大きな夢を見なさい。」
政治家になり文部大臣を務めたが、若い人にいい夢
を見せたいという思いは、いくつかの兎を追う力だ
ったようだ。若者への科学の普及や、俳句の国際化
も自らの仕事にしてきた。全力でペタルを漕いで、
遥か遠くまで走り続けて人である。
(中日新聞朝刊コラム:中日春秋より引用した。)
先年、中国政府から、経済や文化の発展に貢献した
外国人に贈られる「国家友諠賞」を受賞された。
今日の1句(俳人の名句)
寒牡丹夕影まとふこと迅し 有馬 朗人