ドーナツ畑の風に吹かれて

おかわり自由のコーヒーを飲みながら、廻る季節をながめて、おもったこと。

掬う一言。

2006-06-16 01:11:45 | 日記
 昨日、わたしが今の店に配属になる一日前に入ったバイトの人に、「なんか疲れてない?」と言われた。1コ上と年が近く、店に入った日も近いその人のことを、わたしはひそかに「心の同期」として頼りにしていたのだけど、その人からそんなこと言われてちょっと嬉しかった。
 彼は一年前に一度、某カフェに就職して、お店で唯一の社員としてアルバイト教育とかしていたらしい。だから新入社員として配属されてきたわたくしの様子に、思うところがあったようだ。「だって、この店の社員さんはみんななんというか……クールじゃない? で、新入社員は仕事ができないのが当たり前みたいな扱いされてるから、かわいそうだなーと思って見てたんだよ」とその人は言う。まあ、アルバイトさんに対してあからさまに弱音を吐くのもあれなので、「そうなんですよねー。今雑誌担当だけど、日曜日とか仕事ないから店内うろうろしてるしかなくてー」と笑い混じりに言ってみた。そしたら、「そうだよね、大丈夫かなって思って見てた。これじゃあ自信なくしちゃうよねぇ。社員教育がうまくないんじゃないかってちょっと思った」

 なんだ、この人。神か。

 と、一瞬ポカーンとなった。
 そもそも新しい環境に慣れるのは苦手だから、入店から二ヶ月経った今も微妙に社員さんにはなじめず、アルバイトさんとは仕事が違ってそんなにたくさん接点のないわたしが、唯一気軽にしゃべれるのはこの人で、この人とだけは冗談言い合ったりとか、なんというか普通にしゃべれるのでとてもありがたいと思っていたんだけれども、それも彼なりに気を使ってくれてたらしい。「だって、仕事は楽しくなきゃだめってのが僕の考えだから」

 神、か?

 まったく彼の察しの通りというか、なんというかで、本当にびっくりしちゃったよ。わたしなんかよりこの人がうちの会社の社員になったほうがよいのではないか? ないか? 
 疲れてたのは単に翌日15日発売の雑誌が多くて準備が大変だったとか、そういう物理的な理由もあったんだけど。正直昨日はやばかった。折れそうだった。ぽきっと。そういう気分の時にはささいなミスを連発してしまうし、そんな自分にまた自己嫌悪が重なって、ポキポキになりそうになる。そんな折れそうな心を、救ってもらった気がした。わたしの今の状況を、ちょっとかわいそうだなと思ってみてくれている人がいるというだけで、なんか一人ぼっちじゃない気持ちで、非常に楽チンになったよ。今までは、つらいと感じる自分がおかしいのかな、とおもってしまっていたから。
 「心の同期」から、「心の先輩」になった。むしろ「心の兄さん」。
 どうも、なにかあると周りが全部正しくて自分が全部間違ってるんだと思い、どうにかして周りに完璧に合わせてなじまなければならないと自分で自分を追い詰めて結果的に身動き取れなくなるという悪癖があるのだけど、もう少し物事を客観的に見れるようになったほうがいいんだろうな。だからといって周りのせいにするのは絶対によくないけど。そのバランス感覚というか、なんというか。外の誰かに一言かけてもらわないと目がひらけないなんて、まったく手間のかかる自分だ。

 自己嫌悪という言葉を久しぶりに使った気がするな。おもえば最近それの連続だった。