のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



神無月

2018年10月06日 | 読書
旧暦の10月は神無月です。
正しくは旧暦なので一ヶ月後ですが、今では、新暦の10月も和言葉として神無月を使うようになってきたそうです。

諸説あるとのことですが、全国の神様が出雲に集まるので、在郷の神様が不在になる月といわれています。
神様たちは何をしてるかっていうと、来年の天候や作物の出来、その他種々の縁結びを話し合っておられるとか。

そんな10月、またもやの台風。山陰地方もかすめていきました。
大勢の神様が集まって、台風から日本列島を守ることも話し合ってほしいものです。

我が家では山の神(私)が不在の時はのびのびできるのでいいと言っている者が1名おります。

さて、神無月にぴったりなお話です。
宮部みゆき「神無月」はいかがでしょうか。

文庫版だと「幻色江戸ごよみ」の中に入っている短編です。



居酒屋のあるじと岡っ引きとの会話で進められていきます。

毎年神無月に限って押し込み盗賊に金銭を盗まれる事件が起こる。
もう8年も神無月だけである。

しかも金額はさほど多額ではない。
岡っ引きはどうしても盗人の正体がつかめない。

居酒屋では、煮こごりと納豆汁を食べながら岡っ引きが、推論を展開していく。

探偵ものでミステリー調ですが、江戸庶民の暮らしの息づかいが感じられて、引き込まれます。
一人で神無月だけに押し込み強盗をする男の思いが切ない。

本でも読んだのですが、今日は朗読を聞きました。
臨場感たっぷりでなかなかいいです。

NHKライブラリーでは、最近亡くなった大杉漣さんの朗読版があるそうです。
10月、江戸時代にタイムスリップして、宮部ワールド「神無月」を読んでみませんか。