のり巻き のりのり

飾り巻き寿司や料理、己書、読書など日々のあれこれを書いています



空屋に咲く花

2016年06月05日 | つれづれ日記
久しぶりに実家に立ち寄った。市街地にあるのだが空屋である。
駐車スペースに車を入れた。

その後ろに物置、鍵はかかっていない。
父が使っていた自転車、ストーブ、昼食の宅配で届いた発泡スチロールの箱など生活の片鱗がそのまま残っている。

物置小屋の前は庭のスペース。そこに咲くアジサイの花。父が植えたものだ。
もう何年も住人がいないのに、毎年見事な花を咲かせる。


私は毎年アジサイに会いに来る。
今日も「きれいに咲いたね、お父さん」と思いながら近寄った。

よく見ると、2本花がハサミで切られた痕跡がある。相続している義弟が切ったとは思えない。
お向かいの郵便局の人か、お隣の人が切ったのかもしれない。

あまりにきれいに咲いているので、遠慮がちにそっと切って飾ったのだろう。
そんな様子がなんとなくうかがわれた。

父はご近所さんからとても慕われ、いつもいろいろな方が声をかけてくださっていた。
父の人柄を知っている人が、父を偲び、アジサイの花を切っていったのなら「花盗人」とは言うまい。

結構なことである。そうであると信じている。