ここ最近は卒論のシーズンですね…。
せっかく何日も夜を徹して書き上げた論文も、提出後は研究室のロッカーでホコリに埋もれる運命にあると思うとなんだかやる意味があるのかと疑問に思ってしまいます。この世の中、ほとんどすべてのことがすでに研究分析、そして解明されていますから、学生が1年やら数ヶ月やらで手を出したところで、新しい発見など滅多に起こりえません。とはいえ、せっかく何ヶ月もかけて研究したのですから、ちょっぴり小ブログでもご紹介したいと思い立ったのです。本論とは別進行で数回に分けて結論に至る流れにしていく予定です。
第1章 序章
さて、我々3人のグループは「空港ターミナルの平面形態の多様性に関する研究」と題して研究を進めてきました。世界視野で空港の“カタチ”を見ると、要するに上空から見ると、実におもしろいのです(!?)。我々の研究室ではすでにペデストリアンデッキ(新宿駅や上野駅など地上階通路のこと)の形態分析の研究が行なわれているのですが、この空港研究も“カタチ”を分析するものとして同じ方向性になります。ですが、空港はペデとはそもそも設計意図が違いますから、我々は根本的な空港の機能から考えたいと思います。
第2章 空港の概要
2-1 空港の施設と機能
空港の施設は、大きく分けて5つの分野に分けられます。
(1) 基本施設
飛行機に関する施設で、滑走路、着陸帯、誘導路などがこれにあてはまる。
(2) 航空保安施設
航空無線施設や航空灯火、管制施設、気象観測施設など、飛行機の運航に関わる施設。
(3) 機能施設
運営のための諸施設で、航空を管理する施設や旅客/貨物取扱の施設、航空機整備施設などが含まれる。
(4) 利便施設
空港ターミナルと結ばれる交通機関や道路、駐車場施設や、空港ターミナル内にある物販店などの施設。
(5) 保守管理施設
排水施設や消防施設などである。
空港の施設は、船、鉄道以上に安全に対して当然シビアであり、空港にはあらゆる機能が備わっていることが伺えますね。
2-2 ターミナルビルの施設と機能
ターミナルビルの施設に的を絞ってみると、
(1) 旅客関係 …航空券発売や搭乗手続きなど
(2) 手荷物関係 …出発手荷物検査、荷物引渡し
(3) CIQ関係 …税関、防疫検査など
(4) 旅客サービス関係 …物販、飲食など
(5) 案内・情報関係 … フライトスケジュール
(6) 運行関係 …航空・気象情報の授受
(7) 空港管理関係 …ビル維持管理
(8) その他 …見学者施設
と、まぁ、実にいろいろあります。空港の中にはこれらはうまく詰まっているということになります。
2-3 ターミナルビルのコンセプト
ターミナルビルは、航空機の発達、輸送量の拡大にともない、さまざまなコンセプトが提案されてきました。いずれのコンセプトも巨大なスケールである航空機に対し、ヒューマンスケールとのスケールバランスを図る目的で提案されています。スポット数を増加すると旅客は歩行距離が長くなりますが、そういったデメリットを打開すべく駐機方式に工夫が加えられ、現在のようなカタチに至っているのです。大規模空港だと新交通システムも導入されていますが、おおまかどの空港も旅客の移動距離が主眼で設計されています。
2-4 ターミナルビルの運営方式
多くの方があまり意識しないと思われますが、ターミナルビルは集中方式と分離方式(リニア方式)に分けられているようです。
・集中方式
旅客、手荷物の処理、そのほか取扱をはじめ、ターミナル機能を単一ターミナルに集約して運営する方式
・分離方式(リニア方式)
同一空港内に各々独立した機能をもつターミナルを分散して設置する方式で、その運営形態としては、航空会社、路線別、国内・国際別、出発・到着別がある。
さて、今日は中途半端にここまでです。なお、参考文献は最後に記しますのでご了承ください。次回は、空港内の動線、駐機方式などについて記述します。