空港ターミナルの平面形態(5)

2009年10月29日 19時21分26秒 | 研究論文

空港ターミナルの平面形態(4) の続き。最終回です。

第6章
前回最後に示したトレースデータ一覧を、“分類化”いわゆる“タイポロジー”して、その特性を把握します。本来であればカタチを数値化して分類せねば意味がないのですが、今回は見た目で7つにタイポロジーしました。

 ①直線タイプ
フィンガーや分離ピアの一部がおもに分類されるタイプで、直線的に伸びるエアサイドターミナルが特徴的。直線的に搭乗口が並んでいるため、搭乗口を確認しやすい利点があります。日本では関西空港や中部国際空港がこれに該当します。

 ②曲線タイプ
世界視野で見ると僅少な形態です。このタイプは、駐車場からランドサイドへの距離が均等なメリットがある一方で、デザイン的には左右対称が多いです。新千歳空港は同じ形態の国際ターミナルをとなりに建設中です。

 ③図形タイプ
上空から見ると図形っぽくなっているのがこれに分類されます。このタイプは図形で言う“辺”が多いため発着便数が多く、比較的最近に開港し増築を視野に入れている空港がこれに該当します。クアラルンプール国際空港も「X」字のターミナルを南西に増築中です。

 ④放射タイプ
道路や新交通システムでもって複数のターミナルが円を描くように配置された形態の空港がこのタイプ。各ターミナルはおもにフィンガーで構成され、全体で見ると放射型のように見えます。9個中7個がアメリカで、もちろん日本にはありません。

 ⑤不定形単純タイプ
土地形状を優先で造ったと思われる単純な形態を持つターミナルが分類されます。また、増改築を行なった形跡も容易に確認できます。世界的にはこのタイプの空港が一番多く分類されました。福岡空港も国内・国際で別々のデザインコンセプトゆえにこれに分類されます。

 ⑥不定形複雑タイプ
不定形でありながらも立地条件やターミナルの繰り返される増改築の様子が明白なタイプ。面積に対して周長が長いのも特徴である。また、図中のヒースロー空港周辺は複雑なターミナルビルの影響で常に渋滞しており環境劣悪化も問題になっているそうです。

 ⑦特例タイプ
このタイプはあらかじめ利用者数、発着便数を見込んで、さらにデザインも意匠的に造られた“完了形”な空港が該当します。ジャカルタとキングハーリドは王族専用のターミナルも兼ねた凝ったデザインの空港。北京国際空港はオリンピックのために造られた世界最大の空港です。


 ←世界75空港、各地域の平面形態の割合
現状では、世界では不定形の空港が実に多いですね。放射タイプを不定形とするのなら、世界の空港はカタチがごちゃごちゃしているのが半分、図形っぽいのが半分といったところでしょうか。
地域別で見ると放射タイプは北アメリカがほとんどで、不定形、図形タイプはほぼ全世界で見られるということです。また、曲線タイプはアジアにしかないことも、ある意味おもしろい発見かもしれません。


第7章
さて、以上のことを踏まえて各統計と形態との関連性を検証します。
ここでは利用者数と発着便数と平面形態をお見せいたします。

 ←利用者数・発着便数における平面形態の割合
利用者ベスト30の空港だと、放射タイプ27%、図形タイプ23%、複雑タイプ20%と続きます。検証の観点では、それぞれ全く違う特徴があっても割合はほとんど変わらないのでカタチと利用者数の関連性はとりわけないと言っても良いのかもしれません。発着便数もほぼ同様の結果で、こちらもカタチと発着便数の関連性はあまりないのでしょう。もちろんこの結果は見た目での結論で、実際はいろいろな問題もあるのだと思います。

本研究では開港年での平面形態も調査しています。1925年頃は全体の半分近くが(現在のところ)不定形ですが、1985年以降になると不定形の空港はほとんど造られていません。まぁ、当然のことを示したまでです。
また、統計の人気空港ベスト10に平面形態をあてはめてみると約6割が直線や図形タイプであることもわかりました。予想通り、カタチが明瞭な方が利用者も使いやすいのですね。


第8章
まとめますと、古い空港はカタチがごちゃごちゃしてる反面、最近の空港は図形的であったりデザインに凝っていたりと完了形に近いカタチをしています。それでも特にカタチによって利用者が少なかったり発着便数が多かったりという得意不得意はないことがわかりました。はい、大きいことはそれだけです…。

これらを数値で完ぺきに分類できれば、それこそわが研究室のテーマであり、すばらしき卒業研究になるのでしょうが、まぁそれはこの研究に興味を持った後輩たちが頑張って引き継いでくれることでしょう(笑)

参考文献(詳細略)
・関西空港調査会発行『エアポートハンドブック2007』
・ネット上の各種統計
・日本建築学会大学学術講演梗概集
・国際図学会論文
・先輩方の論文など

※最後までご覧いただきありがとうございました。


空港ターミナルの平面形態(4)

2009年10月28日 18時58分24秒 | 研究論文

空港ターミナルの平面形態(3) の続きです。

第5章
前章では世界75空港の現状を調査したわけですが、この章では全空港を同方位、同縮尺という条件でもって視覚的解釈で見比べていきます。ブログでは方法論を詳説します。

5-1 調査方法
5-1-1 トレース方法

全空港に対しトレースという作業を行ないます。
同方位にするため方位が固定されているグーグルマップの衛星写真を使い、各空港を適宜サイズ調整して画面をコピーします。それをPhotoshopなどの画像ソフトで取り込み、切り抜き、ペイントしてカタチを抽出させます。


この作業が続く…

5-1-2 縮尺の合わせ方
これは簡単そうで実に厄介です。
同-1では衛星写真を適宜拡大縮小させてベストな位置でトレースしています。ですから、それらを並べても同縮尺でないのは当然です。では基準になる縮尺を決めて、とお思いになるでしょうが、ここが落とし穴です。グーグルマップの左下にある縮尺バー、実は「200m」と表示されていても見る場所によって長さが微妙に違うのです!!(例えば、関西空港と新千歳空港では画面で2~3mm違います) 一定高度の衛星から撮影しても地球の起伏や撮影角度でこうなるらしいです。それにしても、恐るべき技術だと思いませんか?笑

それではどうするかと言うと、各空港をトレースする際に縮尺をメモして、パソコンの単位である「ピクセル」に換算します。要するに、1ピクセルが何メートルか調べます。こうしますと、関西空港は1px=1.96m、新千歳空港は1px=1.65mになります。最終的に一番範囲が大きい空港にあわせて拡大させてあげれば、同縮尺になるというわけです。


BNEが基準となり、それにあわせて拡大(見た目的には縮小)させる

5-1-3 面積・周長の求め方
我々はフォトショでやったのですが、ベクターの方が的確です。フォトショでは「ヒストグラム」でピクセル数を使って計算します。先ほどの1px=何mを単純に1px=何㎡として求めます。周長は割愛します。

5-2 データシート
こうして、世界の75空港を取りまとめたものが↓になります。


クリックすると拡大画像をご覧いただけます

さあ、この研究もクライマックスです。(しょぼいですな…)
次章では、このカタチをグループ分けし、それぞれの特徴を探ります。本来、この分類はすでに確立されている形態の数値化(周長、面積、求心率などを応用した算出方法)で行なうべきところですが、時間も差し迫っていたことから見た目で分類します…。


空港ターミナルの平面形態(3)

2009年10月27日 18時14分23秒 | 研究論文

空港ターミナルの平面形態(2)の続きです。

第4章
この章では世界75空港を3人で分担してリサーチしました。グーグルアースを使い駐機方式の見極め、空港の公式サイトで動線方式を確認し、全空港のデータシートを作成しました。国際空港ゆえに公式HPはあるものの、親切にマップがある空港もあれば、内容が意味不明な空港もあり、そもそも基本的に英語で書かれているので時間がかかる作業でしたね。

ここで全部の空港を紹介しても仕方ないので、前回記述した“駐機方式”にそれぞれ該当する空港を1個ずつご紹介し、全世界ではどのような形態の空港が多いのかまとめていきます。

 フロンタル ・・・ ミュンヘン国際空港(MUC)/ドイツ
■写真の上側のターミナルがフロンタルです。見た目はフィンガーですが、内部は一般客エリアと乗客エリアが平行して収まっています。

 フィンガー ・・・ 関西国際空港(KIX)/日本
■日本の空港は図形的なものが多く、中部国際空港もフィンガーです。中央の巨大ターミナルで乗客を改札して、フィンガー部分は乗客しか入ることはできないのがこのタイプの特徴です。

 サテライト ・・・ オーランド国際空港(MCO)/アメリカ
■サテライトは旅客ターミナルとエアサイドターミナルが離れているのが特徴です。成田空港の第2ターミナルもサテライト方式で、両間は新交通システムなどで結ばれています。

 ピア・サテライト ・・・ バンクーバー国際空港(YVR)/カナダ
■サテライトはエアサイドターミナルが離れていますが、こちらはそこまでも通路でつながっていて搭乗口があるタイプです。フィンガーを増改築した際に登場するカタチと言ってもよいでしょう。

 変形フロンタル ・・・ 東京国際空港(HND)/日本
■フロンタルの拡大版ともいうべきものが変形フロンタルです。カタチを変形することによって駐機数を増やしています。こちらもターミナルの内部に乗客・非常客エリアが納まっています。

 オープンエプロン ・・・ モントリオール国際空港(YMX)/カナダ
■旅客ターミナルと飛行機まで建築物でつながっていないものがオープンエプロンです。日本の小さな空港は基本的にこの駐機方式ですよね。

 分離ピア ・・・ アトランタ国際空港(ATL)/アメリカ
■これは巨大空港によく見られるタイプで、旅客ターミナルのほかに、もはや独立したエアサイドターミナルが複数あって、それらは地下鉄などで結ばれています。アトランタ国際空港は世界で一番利用者・発着便数が多い空港です。

 リニア ・・・ マイアミ国際空港(MIA)/アメリカ
■分離方式のリニアはターミナル内部が会社などによって独立しています。ですので、ターミナル内では右左と自由に移動できないように作られています。その典型例はマイアミ国際空港です。

こうしてみると、世界にはいろんなカタチの空港ターミナルがあるのがわかります。逆に言えば、日本は変わり栄えのない意味のない空港が多すぎるのかもしれませんが…。
さて、もちろんながらすべての空港をこれにあてはめるのは困難で、2つのタイプが組み合わさっているものもありました。また、マップがなくてターミナル内がよくわからず見た目のみで判断しているものもあります。こうして…
75個の主要空港の駐機方式をまとめた結果は左のようになりました。→


上記では触れなかった動線方式と、上の表を円グラフにまとめてみました。
 ←世界75空港(95のターミナルビル)の動線方式・駐機方式
■動線方式は大半が2層方式でした。この2層方式は、出発と到着の階がそれぞれ異なっているため、混雑させにくいメリットがあります。
一方、駐機方式はフィンガーがかなりのウエイトを占めています。空港全体の視野で考えると、滑走路に平行してターミナルを造りますから、こういう結果になったと解釈できます。

 ←動線、駐機方式における利用者数上位30位の空港が占める割合
■動線方式はやはり多層方式の割合が大きいですが、2層方式の空港も多いことがわかります。
駐機方式は利用者数が多い空港ゆえに、サテライトや分離ピアの割合が大きくなっていることがわかります。

 ←地域別における動線、駐機方式の割合
■動線方式としては、多層方式はアジアに多いことがわかります。また、アメリカは多種多様な空港形態がありながら、ほとんどが2層方式を取り入れている。
一方の駐機方式は、フィンガーは全世界で採用されているということと、分離ピアは先進国の地域での採用が目立つ。アフリカはオープンエプロンの割合が高いですね。

ここまでを夏休み前半くらいで終えて、先生に見せると一言。

「これ、普通に考えれば当たり前だよね?」

まさにその通り…。冷静すぎる先生は、いやはや、やはり教授だなーと実感。
ということで、次章はこれら空港を視覚的に“カタチ”として捉えて、研究を進めます。駐機方式のところでお見せした空港は方位、縮尺は全部バラバラですから、今度はこれらすべて同条件にして取りまとめていく必要があります。要するに、ここでようやくこの研究のスタート地点に立ったということになります。


空港ターミナルの平面形態(2)

2009年10月26日 19時49分21秒 | 研究論文

空港ターミナルの平面形態(1) からの続きです。

2-5 旅客の動線方式
空港に行くと、出発や到着のエリアで階段を上ったり下りたりする場合があります。ランドサイドからエアサイドまでの間を利用者がどのような動きをとるか、次のように定義されています。

1層方式/旅客の乗降をワンレベルで行なう。
1.5層方式/ランドサイド、エアサイドをそれぞれ1層、2層とし、旅客の流れを立体的にする方式。
2層方式/ランドサイド・エアサイドともに2層とし、出発・到着の流れを立体的にする方式。
多層方式/2層方式をさらに機能分離した方式。上記以外はすべてこれにあてはまる。


2-6 航空機の駐機方式
旅客の歩行距離を可能な限り短縮することがターミナルビル設計の一番大きなテーマですが、一方で駐機数をいかに最大限確保できるかも工夫されています。現在のところ、世界の大半の空港は下記のいずれかに分類されるといいます。

【集中方式】フロンタル/フィンガー/サテライト/ピア・サテライト/変形フロンタル/分離ピア/オープンエプロン

【分離方式】リニア

下図はエアポートハンドブックを参考に修正したもので、ピンク色はパッセンジャーエリアを示しています。


2-7 空港名の表記
羽田空港=東京国際空港のように、空港にはさまざまな呼び方がありますよね。世界には1万以上の空港があり、もちろん同じ名前の空港もあるのです。そこで、全世界共通の表記が用いられ、確実に区別されています。それをIATAコードと言います。IATAコードとは、国際航空運送協会(International Air Transport Association)が定めたもので、アルファベット3文字で表されます。ちなみに、羽田空港は「HND」、成田空港は「NRT」です。


第3章
前置きは2章までで、ここからが研究っぽくなってきます。
まずは世界の空港がどのような動線方式で作られているのか、また、どのような駐機方式で作られているのか分析します。ですが、1万個以上の空港を調べるのはさすがに不可能です。そこで、世界の主要な空港を統計などで選出し、それらを分析することにしました。

3-1 各種統計
さて、我々が使用した統計を下記に列挙します。

・利用者数、発着便数、貨物取扱各ベスト30
 Airports Council International(ACI)のデータから

・世界の主要空港の面積
 エアポートハンドブック2007(関西空港調査会 ※休刊)から

・空港へのアクセス時間【鉄道/タクシー/バス】
 JALの機内誌であるSKYWARD 2008年3月号に掲載されたデータから

・WORLD AIRPORT AWARDS
 スカイトラックス(SKYTRAX)社の統計データから

・世界の空港の効率/非効率性ランキング
 アメリカ経済誌『フォーブス』が調査し発表したものから

統計情報はURL先の情報でご確認ください。


3-2 調査空港の選出
以上の統計から下記の条件で選出します。

・利用者数・発着便数ベスト30の空港
・空港の面積が2000ha以上
・都市部からのアクセス時間が30分以内
・WORLD AIRPORT AWARDSからベスト10、ベスト3
・世界の空港の非効率な空港

以上で選出すると37空港が該当しました。それらを地域別に分けてみると、北アメリカが15個を超える一方で、発展途上な地域は1~3個になってしまいます。また、現状だと日本は東京(HND)と福岡(FUK)だけになります(福岡空港が選出された理由は、都市部から空港へのアクセスが早いから)。やはり成田や関西が入ってくれないと調査する意味もないので、日本は営業時間やホテルの有無などを考慮して、新千歳(CTS)、成田(NRT)、中部(NGO)、関西(KIX)を追加。選出数が少ない地域は、その地域内での利用者数などを見込んで追加し、あわせて75空港を選出しました。

下図が選出した75個の空港一覧です。気になるコードはぜひ検索を!笑

次章はこれら75個の空港を「Google Earth」でそれぞれ検索し、データシートを作成していく作業になります。その際、それぞれどんな動線方式か、駐機方式かなどを検証します。
次回は、そのうちの一部と、75個の空港を調査した結果を発表したいと思います。


空港ターミナルの平面形態(1)

2009年10月23日 22時42分28秒 | 研究論文

ここ最近は卒論のシーズンですね…。
せっかく何日も夜を徹して書き上げた論文も、提出後は研究室のロッカーでホコリに埋もれる運命にあると思うとなんだかやる意味があるのかと疑問に思ってしまいます。この世の中、ほとんどすべてのことがすでに研究分析、そして解明されていますから、学生が1年やら数ヶ月やらで手を出したところで、新しい発見など滅多に起こりえません。とはいえ、せっかく何ヶ月もかけて研究したのですから、ちょっぴり小ブログでもご紹介したいと思い立ったのです。本論とは別進行で数回に分けて結論に至る流れにしていく予定です。

第1章 序章
さて、我々3人のグループは「空港ターミナルの平面形態の多様性に関する研究」と題して研究を進めてきました。世界視野で空港の“カタチ”を見ると、要するに上空から見ると、実におもしろいのです(!?)。我々の研究室ではすでにペデストリアンデッキ(新宿駅や上野駅など地上階通路のこと)の形態分析の研究が行なわれているのですが、この空港研究も“カタチ”を分析するものとして同じ方向性になります。ですが、空港はペデとはそもそも設計意図が違いますから、我々は根本的な空港の機能から考えたいと思います。


第2章 空港の概要
2-1 空港の施設と機能
空港の施設は、大きく分けて5つの分野に分けられます。
(1) 基本施設
飛行機に関する施設で、滑走路、着陸帯、誘導路などがこれにあてはまる。
(2) 航空保安施設
航空無線施設や航空灯火、管制施設、気象観測施設など、飛行機の運航に関わる施設。
(3) 機能施設
運営のための諸施設で、航空を管理する施設や旅客/貨物取扱の施設、航空機整備施設などが含まれる。
(4) 利便施設
空港ターミナルと結ばれる交通機関や道路、駐車場施設や、空港ターミナル内にある物販店などの施設。
(5) 保守管理施設
排水施設や消防施設などである。

空港の施設は、船、鉄道以上に安全に対して当然シビアであり、空港にはあらゆる機能が備わっていることが伺えますね。

2-2 ターミナルビルの施設と機能

ターミナルビルの施設に的を絞ってみると、
(1) 旅客関係 …航空券発売や搭乗手続きなど
(2) 手荷物関係 …出発手荷物検査、荷物引渡し
(3) CIQ関係 …税関、防疫検査など
(4) 旅客サービス関係 …物販、飲食など
(5) 案内・情報関係 … フライトスケジュール
(6) 運行関係 …航空・気象情報の授受
(7) 空港管理関係 …ビル維持管理
(8) その他 …見学者施設

と、まぁ、実にいろいろあります。空港の中にはこれらはうまく詰まっているということになります。

2-3 ターミナルビルのコンセプト
ターミナルビルは、航空機の発達、輸送量の拡大にともない、さまざまなコンセプトが提案されてきました。いずれのコンセプトも巨大なスケールである航空機に対し、ヒューマンスケールとのスケールバランスを図る目的で提案されています。スポット数を増加すると旅客は歩行距離が長くなりますが、そういったデメリットを打開すべく駐機方式に工夫が加えられ、現在のようなカタチに至っているのです。大規模空港だと新交通システムも導入されていますが、おおまかどの空港も旅客の移動距離が主眼で設計されています。

2-4 ターミナルビルの運営方式
多くの方があまり意識しないと思われますが、ターミナルビルは集中方式と分離方式(リニア方式)に分けられているようです。
・集中方式
旅客、手荷物の処理、そのほか取扱をはじめ、ターミナル機能を単一ターミナルに集約して運営する方式
・分離方式(リニア方式)
同一空港内に各々独立した機能をもつターミナルを分散して設置する方式で、その運営形態としては、航空会社、路線別、国内・国際別、出発・到着別がある。


さて、今日は中途半端にここまでです。なお、参考文献は最後に記しますのでご了承ください。次回は、空港内の動線、駐機方式などについて記述します。