今日の社内連絡(ブログver)

sundayとかオリジナルテンポとかの作・演出家ウォーリー木下のつれづれなるままのもろもろ。

今年の夏を振り返るシリーズ②

2015-10-05 | Weblog
キューバと日本は国交が結ばれていないから、直接はいることはできない。赤羽橋のキューバ大使館でツーリストカードをゲットして、カナダの航空会社でトロントを経由してハバナに入る。
実際にハバナは、今まで行ったどの街とも違っていた。建物はぼろぼろで、まるで戦後の復興中といった様子だけど、いたるところにピカピカのアメ車が走っていて人々は陽気に踊っている。貧しいのだろうけど、乞食や物乞い、子供たちのお土産売りもぽん引きもいない。ホテルはお湯もなかなか出ないし、インターネットはまったくアクセスできない(これに関してはあとでわかるのだけど、ものすごい高いのだ)。インフラということで言えば発展途上国なのだろうけど、アジアのそれとは全く違って、国民性として「これでずっときたのだからこれでいいでしょ」ていう大らかな達観、もしくは矜持があるような気がする。それは大国には屈しないというゲバラ的スピリットなのかもしれない。一回の旅行ではそこまではわからない。ともかくハバナを毎日のように散歩して、ビールとモヒートを交互に飲み、音楽を聴いたり踊ったりしたりして過ごした。この形の楽園はもしかしたら消えていってしまうのかもしれない。
楽しい思い出だけではない。おそらく楽園の熱にあたって、ボーとしてたのだろう。ちょっとした詐欺にあった。やはり当たり前だけどそういう人はいるのだ。カップルで声をかけてきて、ライブに誘われ、のこのこついていったらぼったくりの店でおそらく店ぐるみなんだろう、1杯2000円くらいのモヒートを飲まされた(それ自体はたいした額じゃないんだけど・・)。ライブもやってたし、それはそれで素晴らしい演奏だったのだけど、すぐに席を立って外に飛び出した。自分のガードが下がっていたことを激しく悔やんだ。いい人そうに感じたことと、実際はそうでなかったことのギャップにしばらくぼんやり考えたが、もう一度ガードをあげるための良い勉強になった。
そんなこともありつつだけど、ハバナはうろうろするにはちょうど良い大きさで、裏通りなんかに入っても自分がどこにいるかよくわかる。いしいさんが言ってたように、裏通りなんかで座っているとクラクションのリズムに適当な相づちのような歌が割り込んできて、不思議なグルーヴができあがり、そして霧のように消えていく。そのあとには犬と猫がいるだけだ。なにかそうやって今思い出して見ると架空の街感が半端なく本当に行ってきたのかどうか怪しくなってきた。足下の砂のざらっとした感触だけは残っている。

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