目覚めると絢爛な中世風の建築物が並ぶ中に、車の排気ガスと騒音が混じった、いわゆるヨーロッパの都会が現れた。
コシチェと比べればだいぶ栄えてるが、イタリアの観光都市のような「イケイケ感」はない。おしとやかというか、言葉を選ばなければ、どことなく暗い表情がする(これは僕の私感です)。僕自身はブダペストは2度目なのだけど、いくつかの印象は変わったけども、その「どことなく陰鬱な気持ちを抱えたままやっている」感じは、変わらない印象として残った。変わったことは、人と接してわかったことによる。まず、道に迷ったときの人の親切さよ。そして人の輪のつながりを大事にするオープンさ。友達の友達はみな友達。それと僕が出会った人たちは芸術関係だったので、アートへの真摯な取り組みは印象に残った。
これらを総合的に鑑みて、今の所の僕のブダペストは、ヨーロッパの名古屋なんじゃないだろうか。名古屋に関して僕の印象は「どことなく暗い」「でも人はわざわざ店を出て道順を説明してくれる」「そしてシャイ」という、まさにブダペストではないか。まあそんなこと言われてもブダペストの人も名古屋の人も困るだろうけど。
まず車はホステルへ向かう。しかし降ろされたホステルはどうも違う。写真はあってるがホテルマンと話をしてもかみあわない。どうやら直前で別のアコモに変わったようだ。急遽歩いて移動。その前に僕と武吉で劇場の位置を確認しに行く。地図を片手に初めての場所を歩く。15分の場所を1時間かけて見つける。みんなのところに戻り、ようやくホステルに移動。荷物を運びながらの移動はしんどい。石畳の上をスーツケースを転がしてるとヨーロッパを感じるというのも因果な商売だ。ブダペストのホステルは、現在建築中、いわゆるunder construction。僕らが初めての客らしい。建築中なのに客を取ってしまうのもどうなのか、と思うが、ヒッピーたちがヒッピーたちのための巣窟を作ってるようでとても気に入った。ここに架空のビーチを作ろうとしているのかもしれない(タイランド!ディカプリオ!)。そこでは夜な夜なドレッドヘアーの人たちが違法な葉っぱを吸いながらレゲエのカラオケを歌っている。レゲエのカラオケってあるんだ。
今回のブダペストは、真ん中ではない場所をいろいろ教えてもらった感じだ。劇場というか公演をしたアートスペースのMüsziにしてもビーチのホステルにしてもヒッピーのたまり場的な様相だった。混沌とした人たちがいて、混沌とした音楽が流れ、アルコールと煙草が混じった世界があった。
僕が20代の若者ならすぐさま住んでたと思う。そのくらい粗野な魅力があふれていた。
宿について落ち着いたあとは、劇場に再び。今回のハンガリー公演を実現してくれたオルガさんと、このMüsziのプロデューサーのアンドレアさんと打ち合わせ。まずはスペース全体を案内してくれる。ちょうどこの日は「こどもの日」で、子供たちがたくさんいて、段ボールでロボットを作ってたり(今回の旅は段ボールがテーマ。スロバキアではフランスの段ボールアートの人とも出会った)、パックマンなどの懐かしいゲームが置いてあったり、いろいろな遊びがやってる。そこはワンフロアまるまるが迷路のように入り組んでいて(なんせまだリフォーム途中)、突然演劇のリハーサルをしていたり、園芸場が出てきたり、今流行のコワーキングスペースもあったりと、いるだけでわくわくするような場所。もちろんカフェもあって、卓球台なんかもある。
僕たちの公演場所もその一角のなんていうか、フリースペース、がらんとして空間があって「さあお好きなようにどうぞ」と言う感じ。分かる人には分かる言い方をすれば扇町ミュージアムスクエアみたいな形状です。
しばらくみんなでこうじゃないああじゃないなどと話して、そういう風にホームメイドな作り方ができるのも「Shut up,Play!!」の魅力、最終的に舞台と客席の取り方だけ決める。(そういえば扇町ミュージアムスクエアでオリテンは誕生したんだけど、そのときの舞台の取り方とそっくりになりました。原点回帰な公演になりそう!)
そのあとは取材があって、それも終わればしばらく自由行動。夜の9時に再びMüsziに。そこでスイスからきた実験音楽の二人組がライブをするというので見にいく。開演前にソファで音響の竹下君とビールを飲んでたら、ドレッドの男性が喋りかけてきたので会話をしていると、その人は今からあるライブの出演者で、ついこの間も大阪のなんとかっていうライブハウス(失念)でもライブをしてきたらしい。竹下君は一時期いわゆる「ノイズミュージック」にはまってた時期があり、わりと詳しいことを言ってた。
ライブ自体、とても興味深い、ある種、ばかばかしさと深遠さが混じり合ったパフォーマンスで、現実と夢の中を行ったり来たりする40分間だった。楽器もいわゆる既成のものはほとんど使っておらず、台所にあるものだけでやってたり、ドラムのフロアの下にスピーカーを仕込んで膜を振動させて持続音を作ったり、まあなんていうか、愉快で心地よい実験音楽。オリテンと共通するところもあり。
ライブ後は、テクニカルのチーフと僕と舞台監督の武吉と音響竹下とでもろもろ確認、コシチェの反省もいかして、実際にものを見せてもらったりする。夜中までかかり、晩飯を食べてないことに気づき、レストランを探すも見つからず、最終的にヨーロッパではどこでも見かけるケバブの店へ。
プライスダウンしてたチキンとライスと野菜の盛り合わせ。大盛りで750ホリント。およそ250円。ホテルでユースト準備をしてくれてたきよとお兄ちゃんにお土産にギロスピタを2つテイクアウト。その日は帰ってバタン。シビウと違ってブダペストはメンバーと相部屋。誰とでもすぐに寝れる(やらしい意味ではなく)。
翌日は朝起きて車でスロベニアのリュビュアナへ。昨年の共同製作「オーディション・フォー・ライフ」のメンバーに会いに!第2の故郷と呼んでもいい。(この話は今回のツアーとは関係ないと言えば関係ないので割愛します)
コシチェと比べればだいぶ栄えてるが、イタリアの観光都市のような「イケイケ感」はない。おしとやかというか、言葉を選ばなければ、どことなく暗い表情がする(これは僕の私感です)。僕自身はブダペストは2度目なのだけど、いくつかの印象は変わったけども、その「どことなく陰鬱な気持ちを抱えたままやっている」感じは、変わらない印象として残った。変わったことは、人と接してわかったことによる。まず、道に迷ったときの人の親切さよ。そして人の輪のつながりを大事にするオープンさ。友達の友達はみな友達。それと僕が出会った人たちは芸術関係だったので、アートへの真摯な取り組みは印象に残った。
これらを総合的に鑑みて、今の所の僕のブダペストは、ヨーロッパの名古屋なんじゃないだろうか。名古屋に関して僕の印象は「どことなく暗い」「でも人はわざわざ店を出て道順を説明してくれる」「そしてシャイ」という、まさにブダペストではないか。まあそんなこと言われてもブダペストの人も名古屋の人も困るだろうけど。
まず車はホステルへ向かう。しかし降ろされたホステルはどうも違う。写真はあってるがホテルマンと話をしてもかみあわない。どうやら直前で別のアコモに変わったようだ。急遽歩いて移動。その前に僕と武吉で劇場の位置を確認しに行く。地図を片手に初めての場所を歩く。15分の場所を1時間かけて見つける。みんなのところに戻り、ようやくホステルに移動。荷物を運びながらの移動はしんどい。石畳の上をスーツケースを転がしてるとヨーロッパを感じるというのも因果な商売だ。ブダペストのホステルは、現在建築中、いわゆるunder construction。僕らが初めての客らしい。建築中なのに客を取ってしまうのもどうなのか、と思うが、ヒッピーたちがヒッピーたちのための巣窟を作ってるようでとても気に入った。ここに架空のビーチを作ろうとしているのかもしれない(タイランド!ディカプリオ!)。そこでは夜な夜なドレッドヘアーの人たちが違法な葉っぱを吸いながらレゲエのカラオケを歌っている。レゲエのカラオケってあるんだ。
今回のブダペストは、真ん中ではない場所をいろいろ教えてもらった感じだ。劇場というか公演をしたアートスペースのMüsziにしてもビーチのホステルにしてもヒッピーのたまり場的な様相だった。混沌とした人たちがいて、混沌とした音楽が流れ、アルコールと煙草が混じった世界があった。
僕が20代の若者ならすぐさま住んでたと思う。そのくらい粗野な魅力があふれていた。
宿について落ち着いたあとは、劇場に再び。今回のハンガリー公演を実現してくれたオルガさんと、このMüsziのプロデューサーのアンドレアさんと打ち合わせ。まずはスペース全体を案内してくれる。ちょうどこの日は「こどもの日」で、子供たちがたくさんいて、段ボールでロボットを作ってたり(今回の旅は段ボールがテーマ。スロバキアではフランスの段ボールアートの人とも出会った)、パックマンなどの懐かしいゲームが置いてあったり、いろいろな遊びがやってる。そこはワンフロアまるまるが迷路のように入り組んでいて(なんせまだリフォーム途中)、突然演劇のリハーサルをしていたり、園芸場が出てきたり、今流行のコワーキングスペースもあったりと、いるだけでわくわくするような場所。もちろんカフェもあって、卓球台なんかもある。
僕たちの公演場所もその一角のなんていうか、フリースペース、がらんとして空間があって「さあお好きなようにどうぞ」と言う感じ。分かる人には分かる言い方をすれば扇町ミュージアムスクエアみたいな形状です。
しばらくみんなでこうじゃないああじゃないなどと話して、そういう風にホームメイドな作り方ができるのも「Shut up,Play!!」の魅力、最終的に舞台と客席の取り方だけ決める。(そういえば扇町ミュージアムスクエアでオリテンは誕生したんだけど、そのときの舞台の取り方とそっくりになりました。原点回帰な公演になりそう!)
そのあとは取材があって、それも終わればしばらく自由行動。夜の9時に再びMüsziに。そこでスイスからきた実験音楽の二人組がライブをするというので見にいく。開演前にソファで音響の竹下君とビールを飲んでたら、ドレッドの男性が喋りかけてきたので会話をしていると、その人は今からあるライブの出演者で、ついこの間も大阪のなんとかっていうライブハウス(失念)でもライブをしてきたらしい。竹下君は一時期いわゆる「ノイズミュージック」にはまってた時期があり、わりと詳しいことを言ってた。
ライブ自体、とても興味深い、ある種、ばかばかしさと深遠さが混じり合ったパフォーマンスで、現実と夢の中を行ったり来たりする40分間だった。楽器もいわゆる既成のものはほとんど使っておらず、台所にあるものだけでやってたり、ドラムのフロアの下にスピーカーを仕込んで膜を振動させて持続音を作ったり、まあなんていうか、愉快で心地よい実験音楽。オリテンと共通するところもあり。
ライブ後は、テクニカルのチーフと僕と舞台監督の武吉と音響竹下とでもろもろ確認、コシチェの反省もいかして、実際にものを見せてもらったりする。夜中までかかり、晩飯を食べてないことに気づき、レストランを探すも見つからず、最終的にヨーロッパではどこでも見かけるケバブの店へ。
プライスダウンしてたチキンとライスと野菜の盛り合わせ。大盛りで750ホリント。およそ250円。ホテルでユースト準備をしてくれてたきよとお兄ちゃんにお土産にギロスピタを2つテイクアウト。その日は帰ってバタン。シビウと違ってブダペストはメンバーと相部屋。誰とでもすぐに寝れる(やらしい意味ではなく)。
翌日は朝起きて車でスロベニアのリュビュアナへ。昨年の共同製作「オーディション・フォー・ライフ」のメンバーに会いに!第2の故郷と呼んでもいい。(この話は今回のツアーとは関係ないと言えば関係ないので割愛します)