今日の社内連絡(ブログver)

sundayとかオリジナルテンポとかの作・演出家ウォーリー木下のつれづれなるままのもろもろ。

素浪人ワルツ

2008-04-29 | Weblog
素浪人ワルツのことを毎日考えてる。
江戸時代のことを想像しようとする。

うん、無理。

ヨーロッパに行くと中世の町並みがそのまま残っている(保存されたり改築されて今もきちんと空気を吸って吐いている)場所が多いから、まあ知らないとはいえ、そうか昔はこうだったのね、とほんわかと想像するのは難くない。
江戸時代の生活は、時代劇か太秦村か博物館に行くしか、まあ知ることはできない。ああバーチャル。ていうかもはや昭和の風景ですら映画の世界だし。もちろんそういうものって虚構だ。誰かの虚構の世界を借りて、江戸時代です、て言うのはなんかみっともないので、まあがんばって自分の持ち物の中で江戸時代を探り出している。

話はそれるが、
「昔に戻ろう」的な発想って、ある部分においては見苦しいと思う。
日本はもっと画期的にどんどん町並みを破壊してがんがん未来都市を造っていく方が向いてるんじゃないだろうか、と思ったりする。アトムの世界のような。
で、だからといって、日本人の日本人性のようなものが破壊されるかと言ったら、そういうのは案外しぶとく残っていくと思う。抽出された原液のように。
それを大和魂というのかもしれない。

ParkStyle「素浪人ワルツ」
2008/6/20(金)- 22(日)
20日19:30 21日14:00/18:00 22日14:00/18:00
前売2,500円 当日3,000円[整理番号付き自由席/座布団]
2008/4/19(土)発売開始
作・演出/ウォーリー木下(sunday)
出演/いいむろなおき ザッハトルテ 安元美帆子(sunday)

詳細は→www.hephall.com
PVはこちら→SLOW-NIN WALTZ

アムステルダムのダースベイダー

2008-04-26 | Weblog
今回の旅行で印象に残ってることのひとつ。

アムステルダムの中心にダム広場というのがある。
曇り空。僕はベンチに座ってパンにハムとチーズを挟んでハイネケンで流し込んでいた。まだ朝の10時だけど、べつにいいのだ。
するとダム広場にダースベイダーがいた。ただ何もしないでミカン箱のような台の上に立っていた。
最初は気づかなかった。しかしあれはどう見てもダースベイダーだ。
何が起こるのだろう? ダースベイダーの大道芸なんて見たことないから、わくわくした。しかし、10分、20分、30分、なにも起こらない。
時たま、ダースベイダーのマスクをとって、とっちゃうのかよ!マスクの中を点検し(何が気になるんだ)また被る。なにもしない。フォースを出すわけでもなく、ジャグリングをするわけでもなく。
午前中だったので、観光客もそれほどいない。
ダム広場には僕とダースベイダー、それから鳩。鐘の音も時たま無情に響く。不思議な時間が流れる。

ようやく観光客の一行がやってきて、ダースベイダーを写真に撮る。すると、観光客は、足下のバケツにコインを入れる。なるほど。撮影→投げ銭。
んー。いいのだろうか、こんな簡単なことで。なにせ、やつは本物のダースベイダーではないのだ。みんなだまされるな。
僕の心の声が伝わったのか、観光客も馬鹿ではない、一瞥して去っていく人が大半だ。
イスラム教の女子グループが近づいていく。一緒に写真を撮ってくれませんか、と。イスラム女子は例の黒い衣装を着ている。目だけ出して。ダースベイダーの周りできゃぴきゃぴした黒い頭巾の女の子。もはやどっちがどっちなのかよくわからない。

しばらくすると、ダム広場に新たな展開が生じる。

ダースベイダーのすぐ近くに、新キャラがやってきたのだ。それは全身緑色のラメで覆われたド派手な男だ。手には三つ叉の槍を持っている。米米クラブのジェームス小野田のコスプレを想像してもらえればわかるだろうか。どうもモチーフは、神話に出てくるアポロンのようだ。
ダースベイダーと同じように、ミカン箱に立ち、写真を撮ったものに金を要求する。
なぜアポロン? あまりの唐突な世界観の変化に僕は度肝を抜かれる。アポロンとダースベイダー。もしかしたら2人は友達で、これからようやくなにかのショーが始まるのかもしれない。

もちろん、始まらない。二人とも、なにもしない。微妙な距離を保ち立っている。

写真を撮った観光客に、投げ銭を要求するだけだ。しかしいかんせん、アポロンは派手だ。ダースベイダーは有名かもしれないが、存在感では負けている。日が昇るにつれ、観光客が集まりだし、アポロンの方に人が集まってくる。
こうなってくると、僕としてはダースベイダーを応援したくなる。1時間も前からそこにいるのだ。新参者に食わす飯はない。
ついに僕も立ち上がり、桜としてダースベイダーの近くに行って、注意が集まるようにしてみる。ダースベイダーはやる気がないのか、マスクが蒸れるのか、すぐにマスクをとる。普通のオランダ人のおっさんの顔がそのたびに現れる。それだけはやめてほしい。マスクを取って点検している間は、注意がこないように僕も離れる。なんだかもう面倒くさい。

さらにこのあと、グラディエイターが現れ、ダム広場は、ますます混沌を深めていく。

この旅で、僕はいくつもの芝居を見たのだけど、うーん、案外この3人のこのなにもしないというショーが、一番記憶に残っている。

ラーメン屋で婚約者

2008-04-25 | Weblog
昼から打ち合わせ梯子。夕方、あまりの空腹に一人ラーメン屋に飛び込む。先客は1組。20代の男2人に女1人。男ののっぽのほうと女は、どうやら婚約者。で、のっぽが幼なじみの男に婚約者を紹介するという席。ラーメン屋で。まあそれはいい。とにかく2人の男、声がでかい。小学生時代に同じソフトボール部にいた、そのときの思い出話で盛り上がる。全部聞こえてくる。かなり詳しくなる。
婚約者の女の子は、もちろんついていけない。「ごめんなよくわからん話で」「うんうん、私、幼なじみっていないから、楽しいよ」。
すると友人がこう言う「今日から君も僕たちの幼なじみになるんやで」
なんかぐっとくる台詞だったが、冷静に考えると意味はよくわからない。

夜、安元さんと差し向かいで身体の話や建築の話をする。同じ劇団に10年以上一緒にいたけど、はじめてかもしれない。彼女曰く「建築とダンスは似ているような気がする」。これもいい台詞なんだけど、説明するには千文字必要。

旅の話は、また落ち着いたら書く。

きこく

2008-04-21 | Weblog
長旅から帰国。最終日手前に携帯をなくすわ、風邪はひくわ、ついには成田空港では、出てきたスーツケースがボコボコになってて笑った。よくぞここまでっていうくらいの凹み方で、取っ手とかはブラーンとしてました。いやあ楽しいですね旅は。今回は知り合いに誘われてオランダとデンマークに演劇祭を見に行ってたのですが、途中途中は一人でぶらりと道を失って、そんで携帯も失って、ほかにも何か失ったような気がするが気にしない。書きたいことは山ほどあるのですが、まだ風邪もしんどいので、落ち着いたら。えーと、ユトレヒトというオランダの田舎町が良かったです。マヨネーズをかけて食べるポテトが美味しかった。演劇は(30本は見たかな)・・どれも(好き嫌いはおいといて)素朴な気がしました。

四月雑記

2008-04-03 | Weblog
片付けるものは片付けて。
○コーネリアスのライブへ。シンクロナイズドしてました。音を楽しむ、音楽。音を楽にするのも音楽。いくつか安直だなと思うものの、いったいどうやったらそんなにシンクロナイズドするのかしらんと不思議なことも次々と。見終わったあとは、身体が生まれたての子やぎのようになる。
○人と会い話をする聞く。自分の考えがしわくちゃのホオズキのようなものだとしたら、そこに息を吹き込まれて、パンパンに張ったような、そんな時間。
○エイプリルフールはひとつも嘘をつけずに終わった。高校生の頃まではこの日は必ず嘘をついていた。どれだけ人を騙すかに命をかけていた時代。嘘をつくことが今は仕事の一つだったりするので(暗喩として)、興味がなくなったのだろうか。
「百年後の博物館」アーカイブができてましたね。展覧会を終えての対談も。小説のプレゼントもやってます。たしかに紙で読むとまた違う。
○初めてのカットモデル。不安げなハサミの震えが共同作業。ふたりで乗り越えたあの濃密な時間。
○sundayの新作のために資料を読む。カントの言葉に震える。
○タイトルにひかれて読んだエイミー・ベンダーの短編集。ここ数年に読んだ小説の中では、ダントツに面白かった。唇がない人とかお婆ちゃんを生んだお母さんの話とか、燃えるスカートの少女とか。「百年の孤独」を読んだときを思い出す。大海原を小舟に乗って突き進む感じ。
○ガソリンの価格の話よりも、高知のマジシャンが密室で殺されたニュースが気になる。
○自分が薄っぺらい人間であることをなんとか隠しながら生きているわけだけど、そのことで労力を使うよりも、もっと厳密に薄っぺらさを見つめることの方が何十倍も大事だ、とつくづく思う。そういう意味では体裁の整った「美しい」デザインされたモノに今は興味がない。もっと野趣あふれる天然の岩のようなモノを作りたい。僕にできるのだろうか。
○明日からアムステルダム。何の準備もできてない。