まずは今日の2つの記事から。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050122i114.htm
ブッシュ米大統領は22日放送のラジオ演説で、20日の就任演説で提唱した「自由を拡大し、圧政を終わらせる」構想の主な対象が「拡大中東地域」であることを明らかにした。
大統領はラジオ演説で、米国の安全保障が海外の国々での自由実現にかかっているとの認識を改めて示した上で、「拡大中東地域で自由と希望、民主主義を促進し、テロの素地となる絶望や無力感、怒りを打ち砕こう」と述べた。
就任演説では、人々の自由を阻害している「圧政」がどの国・地域を指すのか、具体的な言及はなかった。この日のラジオ演説は、ブッシュ政権が、30日に国民議会選挙の行われるイラクを含む中東地域での自由・民主化実現を、優先課題にすえていることを示した形だ。(読売)
やはり、石油支配による覇権を考えているブッシュの頭の中にあるのは、中東ということだろう。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2300A%2023012005&g=G1&d=20050123
【バーレーン=加賀谷和樹】イラン外務省のアセフィ報道官は23日、2期目が始動した米ブッシュ政権のイラン敵視姿勢に関し「米国の軍事攻撃の可能性は低いと思うが、仮に攻撃されても、我が国には十分な備えがあり怖くはない」と述べ、核開発問題などで米国に譲歩する考えのないことを明らかにした。
テヘランでの記者会見で語った。20日のブッシュ米大統領就任式後にイラン政府高官が対米問題で公式に声明を出したのは初めて。
報道官は仮想敵国イスラエルの働きかけで米国が軍事攻撃に踏み切る公算を排除せず、「国際機関がもっと関心を払うべきだ」と、国連などに米国の制御を求めた。
米国はライス次期国務長官が18日の議会公聴会でイランなど6カ国を「専制の前線」と非難。チェイニー副大統領も20日の米テレビでイランを「潜在的な問題地域のトップ」と指摘した。ブッシュ大統領も20日の就任演説で「世界の専制政治の終えんが目標」と強調した。 (20:00) (日経)
今後、イランを巡る情勢は、緊迫感を高めていくことだろう。
本題に戻って、一方、アメリカにとっても、一旦、力で問題解決する方法を選んでしまった以上、それをひたすら続けるしかなく、結果としてアメリカの国力にネガティブなインパクトを与える可能性がある。
戦争が経済にもたらす影響は色々な側面があるだろう。戦争に伴う膨大な軍事費支出は、軍事物資の発注を通して、国内経済の発展のけん引役となるため、アメリカが高成長を続けていることは、驚くには当たらない。その副作用は膨大な財政赤字であり、戦争による戦利品で、国家財政を立て直せない限り、サステイナブルな経済促進策にはなりえない。戦争による戦利品とはいうまでもなく、中東の石油による利権であり、これをいかにアメリカにもたらすかが、イラク戦争の最大の狙いであったといえるだろう。
戦後復興という名目で、イラクの石油から上がる収入を米国企業をはじめとして、占領政策に加担した日本などの同盟国の企業に分け与えることで、経済の発展に促進剤とするというブッシュの狙いは一面では当たっているだろう。ただ一方で、直接米国の国家の予算にイラクの石油収入を計上することは困難であり(在イラク米軍の経費負担などで間接的には出来ても)、非常に大きな規模に達している米国の双子の赤字への懸念が高まる中で、今のアメリカ流の新植民地主義がサステイナブルであるかどうかの、まさに瀬戸際に立っているといえる。
そういう意味で、ブッシュのイラク政策は、父親が果たせなかった(果たさなかった)フセイン失権という点だけでなく、アメリカにとって父親とでもいうべきイギリスがかつて世界的な規模で展開し、最終的に国家としての没落を招いた植民地主義についても、新しい形で挑戦しているという点で、二重の意味で父親の肩を追い越そうとしているとも言える。
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050122i114.htm
ブッシュ米大統領は22日放送のラジオ演説で、20日の就任演説で提唱した「自由を拡大し、圧政を終わらせる」構想の主な対象が「拡大中東地域」であることを明らかにした。
大統領はラジオ演説で、米国の安全保障が海外の国々での自由実現にかかっているとの認識を改めて示した上で、「拡大中東地域で自由と希望、民主主義を促進し、テロの素地となる絶望や無力感、怒りを打ち砕こう」と述べた。
就任演説では、人々の自由を阻害している「圧政」がどの国・地域を指すのか、具体的な言及はなかった。この日のラジオ演説は、ブッシュ政権が、30日に国民議会選挙の行われるイラクを含む中東地域での自由・民主化実現を、優先課題にすえていることを示した形だ。(読売)
やはり、石油支配による覇権を考えているブッシュの頭の中にあるのは、中東ということだろう。
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2300A%2023012005&g=G1&d=20050123
【バーレーン=加賀谷和樹】イラン外務省のアセフィ報道官は23日、2期目が始動した米ブッシュ政権のイラン敵視姿勢に関し「米国の軍事攻撃の可能性は低いと思うが、仮に攻撃されても、我が国には十分な備えがあり怖くはない」と述べ、核開発問題などで米国に譲歩する考えのないことを明らかにした。
テヘランでの記者会見で語った。20日のブッシュ米大統領就任式後にイラン政府高官が対米問題で公式に声明を出したのは初めて。
報道官は仮想敵国イスラエルの働きかけで米国が軍事攻撃に踏み切る公算を排除せず、「国際機関がもっと関心を払うべきだ」と、国連などに米国の制御を求めた。
米国はライス次期国務長官が18日の議会公聴会でイランなど6カ国を「専制の前線」と非難。チェイニー副大統領も20日の米テレビでイランを「潜在的な問題地域のトップ」と指摘した。ブッシュ大統領も20日の就任演説で「世界の専制政治の終えんが目標」と強調した。 (20:00) (日経)
今後、イランを巡る情勢は、緊迫感を高めていくことだろう。
本題に戻って、一方、アメリカにとっても、一旦、力で問題解決する方法を選んでしまった以上、それをひたすら続けるしかなく、結果としてアメリカの国力にネガティブなインパクトを与える可能性がある。
戦争が経済にもたらす影響は色々な側面があるだろう。戦争に伴う膨大な軍事費支出は、軍事物資の発注を通して、国内経済の発展のけん引役となるため、アメリカが高成長を続けていることは、驚くには当たらない。その副作用は膨大な財政赤字であり、戦争による戦利品で、国家財政を立て直せない限り、サステイナブルな経済促進策にはなりえない。戦争による戦利品とはいうまでもなく、中東の石油による利権であり、これをいかにアメリカにもたらすかが、イラク戦争の最大の狙いであったといえるだろう。
戦後復興という名目で、イラクの石油から上がる収入を米国企業をはじめとして、占領政策に加担した日本などの同盟国の企業に分け与えることで、経済の発展に促進剤とするというブッシュの狙いは一面では当たっているだろう。ただ一方で、直接米国の国家の予算にイラクの石油収入を計上することは困難であり(在イラク米軍の経費負担などで間接的には出来ても)、非常に大きな規模に達している米国の双子の赤字への懸念が高まる中で、今のアメリカ流の新植民地主義がサステイナブルであるかどうかの、まさに瀬戸際に立っているといえる。
そういう意味で、ブッシュのイラク政策は、父親が果たせなかった(果たさなかった)フセイン失権という点だけでなく、アメリカにとって父親とでもいうべきイギリスがかつて世界的な規模で展開し、最終的に国家としての没落を招いた植民地主義についても、新しい形で挑戦しているという点で、二重の意味で父親の肩を追い越そうとしているとも言える。
これほどグローバル化すれば世界を自由化しなければ
自国の安全は無いでしょう。放置すれば解決すると
いう問題はない。
コメントありがとうございます。
仰るとおり、世界のグローバル化というのが、問題の根底にあるんでしょうね。世界のどこで起こることも、他の国にとっても重要な問題足りえる。
ただ、アメリカの安全保障のために、アメリカの意向に従わない潜在敵国は全て武力で制圧する、というのは、最終的には武力で世界を制覇する、ということに繋がる発想ではないでしょうか。別にアメリカの植民地として、アメリカ領にするわけではないけど、アメリカにとって害の無い政権をうち立て、アメリカの利権もしっかりと守ってもらう。見方によっては、形を変えた植民地主義ともいえるのかな、と。更に言うと、私は、そういうアメリカの方針のモデルになったのは、日本のケースだと思っています。事実上の軍事占領を続けながら、経済重視の政府、アメリカに追随する外交政策など、アメリカにとっては優等生ですよね。その点、米国の言う事をいつもそのまま鵜呑みにしないドイツは、アメリカにとってはもっとやりにくい相手かもしれません。
一方で、私は人類が一つの政府に収斂することが、一概に間違っているとは思いません。順次書きたいと思っていますが、人類は世界国家というのが必要かもしれないし、今までの歴史を見ると、より統一された世界というのは必然のようにも見えるので。
ただ、今のように、武力において強い国がエゴイスティックに弱い国を制圧する、というやり方は限界があるし、真の世界の覇者がやることではないな、とも感じています。
是非、色々とご意見ください。
おそらくそれ以外の選択は無いと思います。
ですから現時点でアメリカが世界政府を目指す
のは正当だしこれがもっとも混乱が少ないと
思います。話し合いで世界政府ができないのは
北朝鮮、中国、イラクを見れば明らかであり
強権による世界政府の樹立しかないと思う。
大分前の記事ですが、なかなか面白かったのでコメントさせて頂きます。
確かに今の米国は世界政府、と言いますとちょっと違う気もしますが、世界を一極支配するという意味では近いものを目指していると見て間違いないです。
やはり米国を変えたのは9.11、あの日でしょうね。
米軍のイラク攻撃も一極支配を形成、維持していくためには必要不可欠なものだったのでしょう。
中東の石油を押さえ、潜在的なアドバンテージを確保。
イラク攻撃、その後の親米政権樹立により、反米感情根強い中東諸国もドミノ式に親米にならざるをえない。
軍需産業だ石油メジャーだと言われてますが、それらはあくまで副産物だと思います。
こうして、アメリカ一極支配はより強固なものとなり、まさに世界の警察となる・・・はずでした。
確かにそれがうまくいった国もあります。
パキスタンや中央アジアは見事に戦略にはまったと言えます。
しかし、そんな都合良くいくはずがなかった。
結局、中東親米化の足掛かりとなるはずのイラクは混迷を深め、そこで生まれた隙、そしてオイルマネーがイランをあそこまでも強硬姿勢にしてしまった。
アメリカがイラン問題で折れることは無いと思います。
イランとアメリカの関係や核拡散、イスラエル、イランの思想及び政治体制・・・そして超大国のプライドにかけて。
イラン問題でアメリカが武力行使まで行った場合、はうまくいけば一極支配をより強くしてくれるでしょうが、失敗する可能性もなきにしもあらずです。
そうなれば、worldさんのおっしゃるような「中途半端な強権による解決はより大きな混乱を世界にもたらしうる」ことは十分有り得ると考えています。
日本はイランへIAEA決議を呑むよう働きかけるorアメリカを抑える、ぐらいして欲しいものですが、無理でしょうね。