一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

アメリカの世界戦略について その4

2005-01-24 20:04:03 | 中東問題
まずは今日の2つの記事から。

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20050122i114.htm
ブッシュ米大統領は22日放送のラジオ演説で、20日の就任演説で提唱した「自由を拡大し、圧政を終わらせる」構想の主な対象が「拡大中東地域」であることを明らかにした。
大統領はラジオ演説で、米国の安全保障が海外の国々での自由実現にかかっているとの認識を改めて示した上で、「拡大中東地域で自由と希望、民主主義を促進し、テロの素地となる絶望や無力感、怒りを打ち砕こう」と述べた。
就任演説では、人々の自由を阻害している「圧政」がどの国・地域を指すのか、具体的な言及はなかった。この日のラジオ演説は、ブッシュ政権が、30日に国民議会選挙の行われるイラクを含む中東地域での自由・民主化実現を、優先課題にすえていることを示した形だ。(読売)

やはり、石油支配による覇権を考えているブッシュの頭の中にあるのは、中東ということだろう。


http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2300A%2023012005&g=G1&d=20050123
【バーレーン=加賀谷和樹】イラン外務省のアセフィ報道官は23日、2期目が始動した米ブッシュ政権のイラン敵視姿勢に関し「米国の軍事攻撃の可能性は低いと思うが、仮に攻撃されても、我が国には十分な備えがあり怖くはない」と述べ、核開発問題などで米国に譲歩する考えのないことを明らかにした。

 テヘランでの記者会見で語った。20日のブッシュ米大統領就任式後にイラン政府高官が対米問題で公式に声明を出したのは初めて。

 報道官は仮想敵国イスラエルの働きかけで米国が軍事攻撃に踏み切る公算を排除せず、「国際機関がもっと関心を払うべきだ」と、国連などに米国の制御を求めた。

 米国はライス次期国務長官が18日の議会公聴会でイランなど6カ国を「専制の前線」と非難。チェイニー副大統領も20日の米テレビでイランを「潜在的な問題地域のトップ」と指摘した。ブッシュ大統領も20日の就任演説で「世界の専制政治の終えんが目標」と強調した。 (20:00) (日経)

今後、イランを巡る情勢は、緊迫感を高めていくことだろう。

本題に戻って、一方、アメリカにとっても、一旦、力で問題解決する方法を選んでしまった以上、それをひたすら続けるしかなく、結果としてアメリカの国力にネガティブなインパクトを与える可能性がある。

戦争が経済にもたらす影響は色々な側面があるだろう。戦争に伴う膨大な軍事費支出は、軍事物資の発注を通して、国内経済の発展のけん引役となるため、アメリカが高成長を続けていることは、驚くには当たらない。その副作用は膨大な財政赤字であり、戦争による戦利品で、国家財政を立て直せない限り、サステイナブルな経済促進策にはなりえない。戦争による戦利品とはいうまでもなく、中東の石油による利権であり、これをいかにアメリカにもたらすかが、イラク戦争の最大の狙いであったといえるだろう。

戦後復興という名目で、イラクの石油から上がる収入を米国企業をはじめとして、占領政策に加担した日本などの同盟国の企業に分け与えることで、経済の発展に促進剤とするというブッシュの狙いは一面では当たっているだろう。ただ一方で、直接米国の国家の予算にイラクの石油収入を計上することは困難であり(在イラク米軍の経費負担などで間接的には出来ても)、非常に大きな規模に達している米国の双子の赤字への懸念が高まる中で、今のアメリカ流の新植民地主義がサステイナブルであるかどうかの、まさに瀬戸際に立っているといえる。

そういう意味で、ブッシュのイラク政策は、父親が果たせなかった(果たさなかった)フセイン失権という点だけでなく、アメリカにとって父親とでもいうべきイギリスがかつて世界的な規模で展開し、最終的に国家としての没落を招いた植民地主義についても、新しい形で挑戦しているという点で、二重の意味で父親の肩を追い越そうとしているとも言える。

アメリカの世界戦略について その3

2005-01-24 00:00:00 | 中東問題
ただ、チェイニー米副大統領が言うように、アメリカが次の標的をイランに定めた場合には、中東により複雑なパワーバランスがもたらされる。ブッシュは、フセインとその支持者たちを排除するために、結果的にイラクではシーア派と組むことになった。私は詳細は知らないが、イラクの選挙のために、100万人単位でシーア派の人間をイラクに送り込んだと言われるシーア派イランは、おそらくイラクのシーア派と非常に密接な協力関係にあると思われる(イスラム教の中で非主流の少数勢力であるシーア派同士で、分裂している余裕はないだろう)。また、シーア派内には、反米で自らの命を絶ってまで米国と戦おうとしたサドル師などの反米強硬派もおり、米国が鉾先をイランに向けた時に、30日の選挙後に成立するであろうシーア派イラク政権の動きは大変注目される。アメリカから見れば、シーア派イラク政権はアメリカの力によって、その地位を得る事が出来た、自らの傀儡政権であり、どうとでも操れる飼い犬という意識でいるかもしれないが、仇敵であるスンニ派でなく、自らの身内であるイランのシーア派を米国が攻撃しようとする時に、米国に協力姿勢をとるのか、大変厳しい選択となるだろう。