一緒に世界の将来について考えよう

世界の将来について、一緒に考えていくブログ
-2006年から大恐慌の到来を予想
-6年半ぶりに投稿

アメリカの世界戦略について その2

2005-01-22 21:45:18 | 中東問題
新聞によると、旧ソ連ベラルーシのルカシェンコ大統領は21日、安全保障会議を開き、米ブッシュ大統領の就任演説に対して「石油のにおいがする血まみれた自由は誰にも必要ない」と語り厳しく反発した。同国はライス米新国務長官が18日の議会証言で「専制の前線」の一国と名指ししたばかりで、北朝鮮やイランなどとともに米国の介入対象になったことを懸念し「国益を守るため効率的な対応策を練る」と強調したという。ブッシュの一国覇権主義は今後更に大きな軋轢を生んでいくだろう。

イラク問題に関して言えば、状況はイスラム教シーア派、スンニ派、クルド人間の民族紛争に向かいかねない状況になっており、アメリカの強大な軍事力によって抑えこまなければ、いつ内戦に突入してもおかしくないと思う。内戦というよりは、イランに代表されるシーア派、シリアなどイスラム教の主流派であるスンニ派、イラン・トルコなどにも存在するクルド人などによって、国境を越えた民族再編にまで発展しかねない。事実、もし自分がイスラム教徒であれば、今のイスラム世界に欠けているのは、50の州を束ねたアメリカ合衆国、大きなまとまりになろうと模索するEUの様に、より統一されたイスラム国家だと考えると思う。現状の、欧米による植民地支配の後で、欧米に都合がいい形で細かく分断されたイスラム社会は、欧米、特にアメリカにとっては、都合がいい。昔のオスマントルコの様に、大イスラム国家を作ろうという動きは、今後でてきはしないのか。現在、各国の支配階層(王族を中心に)は、多大なる既得権益をもっており、このような動きには基本的に否定的であろうが、逆に勢力が分散されているために、イラクで起こったように個別にアメリカの実質的な植民地になるリスクが目に見えている以上、そうとばかりはいってられないだろう。中東民主化を唱え、中東の石油の支配をより完全なものにしたいアメリカの鉾先は、当面の標的であるイランが片付いた後は、サウジアラビアの王族など、今はアメリカを味方と思っている特権階級に対しても、向けられる可能性は多分にあると思う。

アメリカの世界戦略について その1

2005-01-22 00:24:37 | 中東問題


新聞によると、1月20日、ブッシュは米国大統領就任演説で、「我が国の自由を守るには、ますます他国で自由を成功させなければならなくなってきた。平和への最短の道は自由を世界全体に拡大することだ」と述べ、またすべての国に対し「選択は抑圧か自由のどちらかだ」と迫り、第1期と同様、ブッシュ政権の価値観に同調するかで敵味方を色分けする姿勢を貫いたという。一方、チェイニー米副大統領はテレビ番組で「世界の潜在的な問題地域を見回せば、イランがリストのトップにある」と述べ、ブッシュ政権がイラン問題を最重要課題と認識していることを明らかにした、という。

今後の世界情勢を見定める上で、アメリカの世界戦略を理解することは大変重要だと思っているので、私なりの私見を、今日から数回に分けて書いてみたいと思う。

私が最近読んだ本の中で、アメリカの政策に関する日高義樹レポート「アメリカ世界戦略図」と言う本がある。まるで、ブッシュの回し者かと思うくらい滑稽なほどに、プロ・ブッシュの主張で貫かれた本ではあるが、ブッシュの本音の様なものは伺えて中々興味深かった。

「アメリカ世界戦略」によれば、ブッシュの世界戦略とは、圧倒的な軍事面における優位性を背景に、一国覇権主義を達成するというものの様である。いかにもアメリカ中心の一人よがりの戦略に満ちているが、アメリカの自信(傲慢さ)の表れともいえるであろう。ただ、「剣をとるものは剣にて滅ぶ」という格言の通り、短絡的な武力による問題解決を図ろうとするブッシュの政策は、結果的に世界中を制御不能な地域紛争、暴力が荒れ狂う世界にするリスクがあると思っている。具体的な例を次回以降に書きたいと思う。