栃木県矢板市には寺山鉱泉、赤滝鉱泉、小滝鉱泉の三つの歴史ある鉱泉がある。
すべてが宿泊可能となっているが、一番アクセスしやすい寺山鉱泉に泊まってみた。
本当にこの先にあるのかと思うほど細い道をくねくねと走り、ところどころにある小さな看板を頼りにたどり着いた先に立派な建物の一軒宿、寺山鉱泉があった。
玄関を入って声を掛けても誰もいなくて、待っていたら日帰り利用らしい人がお風呂から出てきたので聞いてみたら、そのうち帰ってくるからと言われ、その人と話し込んでしまった。
寺山鉱泉はそのような田舎の気さくな宿だった。
部屋に通されてすぐにお風呂に入った。
この日は他に泊まり客がいないようで、ふたつあるお風呂のどちらでも好きな方に入っていいからと言われ、一人でお風呂を堪能した。
温泉ではなく鉱泉のため源泉は熱くないので、加温している。
ぬるかった場合は奥の壁のボタンを押すように言われたが、入った時は適温になっていた。
前に日帰りの人がいたためかもしれない。
鉱泉は無色透明だが、沸かすと鉄分が多いので赤茶色になって、さまざまな効果があるので「奇跡のお風呂」と言われているらしい。
小さな家庭用のお風呂のような感じで入るときと出るときは自分で蓋をするようになっていた。
食事は部屋に運んでくれた。
地元の有機野菜を使った素朴な家庭料理で、季節のものをふんだんに使ってあった。
帰り際、水を汲みに来ている人に会った。
昔から高原山に湧き出る清水は体に良いということで多くの人が汲みに行ったらしいが、山の反対側にあるこの宿の庭にも清水が湧き出ていてそれを汲みに来ているらしい。
遠くから来ていると言っていた。