映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

リリーシュシュのすべて

2012-06-26 06:12:07 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
感情映画「リリーシュシュのすべて」は岩井俊二監督による青春ものだ。

いじめに遭っている一人の中学生と彼を取り巻くいじめっ子やそのグループとの関わりの話だ。
リリーシュシュは架空のミュージシャンの名前である。劇中には少年犯罪、いじめ、セックス、自殺といった問題が登場してくる。新藤兼人監督が得意だった領域だが、インターネット上での会話の文字を全面的に画面に出すことで現代的な匂いがある。


北関東の栃木と群馬をまたがる両毛地区が舞台だ。
カリスマアーティスト・リリイ・シュシュに憧れた中学2年生が主人公だ。ネット上にリリイの掲示板を張って、見知らぬ人たちとチャットをする。その中でも青猫というハンドルネームのリリイ・ファンとのチャットに心癒されていた。

その彼が仲間の中学生とつるんで集団万引きをするシーンが出てくる。そこには親分格の少年がいる。主人公は自ら望んで盗みを働いているわけではない。ある日主人公はCDショップでリリイ・シュシュのCDを盗もうとして、店員に捕まる。先生が迎えに来たあと母親が迎えに来る。
仲間は自分たちのこともばらされたのではないかと主人公をつるし上げる。

映像は主人公が入学したてのころに戻る。剣道部員として入部した仲間に星野という同級生がいた。秀才の誉れ高き彼の家に遊びに行き、歌手リリイ・シュシュの存在を知った。2人は普通の同級生だった。夏休みに仲間とともに沖縄旅行へ行った。その時までは楽しい日々が続いていた。これで終わっていればと主人公はいう。
帰ってきた後、同じクラスで羽振りを利かせていた悪ガキを星野が打ちのめす。そこからすべてが変わった。子分を従え、万引きで得たお金を上納させたり、同級の女の子に援助交際をさせてお金を巻き上げたりするようになるが。。。。

かなり重い映画である。中学生時代は精神的肉体的にアンバランスになる時期である。その中で登場人物がみんな彷徨っている。主人公だけではない。不良の親分も彼に翻弄される女の子たちもみんなだ。その彷徨う少年たちが一人のアーチストを追いかける。そしてネット上でつながりを持つ。ネット上で気持ちをあらわにするが、現実逃避に近いかもしれない。

岩井俊二というとlove letterの透明感があふれる映像美を思い出す。自分自身大好きだし傑作であったと思う。この映画で取り上げる映像はちょっと違う。ビックリすぎるくらい大胆だ。印象深いカットが幾つか見つかる。特にどぶ川に入り込んでいくシーンは制服とともに汚れてしまう。人気女優蒼井優にとってはデビュー作である。この映画のオーディションで岩井俊二監督から認められて一気にスターになった。


不思議なくらい感情移入してしまった。
何でかというと、主人公の少年が顔も性格も何もかも自分の中学時代に似ているのである。弱々しい主人公の風貌は頼りない。おばあちゃんにかわいがられて身のまわりのことは何でもやってもらった自分も同じような感じだった。あこがれの少女はいるんだけど、告白なんてことは到底できない。おませな女の子にいろいろなことを教えてもらうけど、自分では何もできない。

ロックが好き、音楽が好きで、そのアーチストのファンクラブに参加する。銀座山野楽器やヤマハでよく開催されるロックアーチストのファンサイトによくいったものだ。中学生にもかかわらずシカゴやサンタナのコンサートにも行ったっけ。一緒に行ったのは不良の親分だったなあ。別にこの映画のような話は一切なかったけど。。。


運よく自分は犯罪に手を染めることはなかった。不良グループに近い所にはいたが、それ以上にはならなかった。高校に入ってから麻雀とかは一緒にやったがそれくらいの付き合いだった。よかった。中学の時ある奴にいじめられた時、体育の先生がこいつのこと棒で殴っていいといわれ、腹立ててむちゃくちゃなぐったこともある。主人公の気持ちはよくわかる。
映画をみて妙に中学時代の自分の姿が頭にこびりついて離れない。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« アウトレイジ ビートたけし | トップ | テルマエ・ロマエ 阿部寛 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(日本 2000年以降主演男性)」カテゴリの最新記事