映画とライフデザイン

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60歳のラブレター 中村雅俊

2010-02-09 07:14:58 | 映画(日本 2000年以降主演男性)
中村雅俊、原田美枝子夫妻を中心に3組のカップルで演じる話である。
3つの別々のカップル話が少しづつ接近していく。
中年を大きく超えようとしている自分にはこういった設定の話がつい気になる。
しかし、先を読ませてしまう脚本が物足りない。中村雅俊にかかわる仕事の話も現実にありえないような話でしらけてしまう。映画としてのビジュアル的な魅力もない。
個別にはイッセイ尾形夫妻、戸田恵子はそのなかでもがんばっている。

中村雅俊は建設会社の専務だった。60になり会社を退き、愛人が経営するベンチャー企業に職を変える。妻原田美枝子とはお見合い結婚、文句も言わず30年つきあった彼女だが二人は別れることになった。その原田が別れて家政婦として出た家が翻訳家戸田恵子の家である。
戸田は独身。今は医師井上順から依頼を受けて医療の論文を訳している。井上順は妻に先立たれた医師。現在は勤務医だ。井上は戸田に関心を持っている。
その井上のところに診察にきているのがイッセイ尾形夫妻である。尾形の魚屋は中村夫妻の所に 出入りしている。ビートルズ好きだった尾形が作っていたバンドのファンが今の妻である。二人は魚屋をやっている。尾形は糖尿の気があり、定期的に井上の検診を受ける。

そういった前提状況で映画の仕掛けがそれぞれにはいっていく。
その仕掛け自体はおかしくないのだが、こうなるだろうと思ったら本当にそうなってしまう。それがなんか物足りない。監督も脚本家も実社会を良く知らない人だと思う。映画はフィクションであるのは当然だ。しかし、綿密な取材があった上でその人物像を描くべきだと思う。例えば今村昌平監督はある一人の脇役の性格をつかむためにノート3冊分取材したという。そういう姿勢がまったく感じられない。稚拙さを感じる。

中村雅俊は普通。ビジネスでの設定があまりに不自然すぎるし、題名にあるラブレターの設定もありえなそうなこと。そこが残念。その妻原田美枝子は徐々にうまい役者になっている。我々の世代は肉感的だった彼女には若き日ずいぶんとお世話?になった。今は普通の主婦が無難にこなせる役者である。井上順はもう一歩。戸田恵子はいつもどおり個性的でうまい。
でもイッセイ尾形が妻のためにギターでビートルズのミッシェルを歌う場面はちょっとぞくっとした。心温まるシーンであった。

題材が多く映画としては長くは感じさせなかった。でもわざとらしさが物足りないなあ。

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