映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

マージンコール  ケヴィンスペイシー

2012-02-15 06:53:40 | 映画(洋画 2010年以降主演男性)
「マージンコール」は突如巨大損失を抱えて崩壊するウォール街の証券会社の一夜を描く作品だ。
日本では公開されなかった。比較的地味だからだろう。俳優を見ると超豪華だ。え!何で非公開?とも思わせる。ヒッチコックでも「ロープ」という室内劇があったが、おもしろくなかった。この映画も80%以上はニューヨークマンハッタンの街をを見渡せるビル内での動きだ。映画は動きのある背景があってこそ面白くなるというのを再認識した。

ウォール街の投資会社で大量解雇が発生した。その一人であるリスク部長のエリックは、別れ際に意味深な言葉と共に後輩のピーターにUSBメモリーを託す。その晩、USBメモリーに記録されたデータを調べた工学博士号をもつ数字に強いピーターは、会社倒産にも繋がる衝撃の事実を知る。
その後ファンドで多額の損失がでることが目前という、その事実を知った上司、部長から役員、そして社長も集まる。夜を徹して対策が練られるという話である。。。


ケヴィンスペイシーにデミムーアという高給取りに、オスカー俳優ジェレミー・アイアンズが加わる。彼ならではの役だ。それに最近の映画で活躍するポール・ベタニー、ザカリー・クイント、サイモン・ベイカーも出演している。見慣れた顔が並ぶDVDのジャケットをみて思わず手に取ってみた。


殺人事件が起きるわけではない。派手なアクションはまったくない。ひたすら室内での動きだ。演劇のようでもある。昼間に突如解雇になって、すぐさま退社しろと言われたリスク部長がリスクに気が付いていた。その内容をUSBにして後輩に帰り際に渡した。でも内容を伝えようと会社から外に出てみると携帯は停止されていて、事務所に電話できない。典型的なウォール街の金融マンの解雇の模様を語る。
内容は不動産ファンドのパフォーマンスが急激に悪くなって多額の損失が突如表面化されるということだ。要はファンドの前提が一定の範囲の価格変動内に収まるのならいいが、それを超えると大きな損失をだしてしまい。一気に会社で支えられる範囲を超えてしまうというのだ。



リーマンブラザースをモデルという話だが、ちょっと違うと思う。もしそうなら個人的にはこんな話は起こり得ないのではないかと思う。
解雇というのは、アメリカの投資会社では日常茶飯事のことである。しかし、それが大量となると、それまでに自分たちのリスクについてもう少し慎重に吟味されるはずである。
しかも、一晩で一気にということになると、「911」事件のようなブラックスワン的事件が起きるわけでなければ、ヴォラティリティが異常に高くなることはないだろう。でも、2008年のリーマンショック後の異様な証券価格降下の場面には確かに急激なヴォラティリティの上昇がみられていた。この一夜の動きが金融危機のあとの「リーマン」以外の別会社が舞台ということならわかるけれど、DVDジャケットのように「リーマンブラザース」がモデルとするなら矛盾がある。DVD販売会社の勇み足かもしれない。

そんなことよりも、ウォール街の高給取り金融マンの実像を描きたかったのであろう。びっくりするような高額の報酬の話が会話に出てくる。それをもとにどういう生活をしているのかという話も語られる。社会勉強にはいいだろう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ドラゴンタトゥの女 ルーニ... | トップ | 「円高の正体」とバーナンキ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

映画(洋画 2010年以降主演男性)」カテゴリの最新記事