映画とライフデザイン

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映画「モンキーマン」 デヴ・パテル

2024-08-28 22:14:03 | 映画(アジア)
映画「モンキーマン」を映画館で観てきました。


映画「モンキーマン」はインド系俳優デヴ・パテルの初監督作品である。アカデミー賞作品「スラムドッグミリオネア」以来天才数学者ラマヌジャンを演じた「奇跡がくれた数式」をはじめデヴパテルとは相性がいい。前英国首相のスナクは同じくインド系で英国生まれのデヴパテルとよく似ていると思っていた。殺された母親の仇をうつ復讐劇だが、強烈なアクション映画だ。これまでのデヴパテルのイメージを一掃する作品で長年構想をあたためてきたのがよくわかる脚本だ。

キッド(デヴ・パテル)は幼い頃に故郷の村を焼かれ、母を汚職警察官のラナ(シカンダル・ケール)に殺された。孤児として生き抜いた彼は地下格闘技の世界で猿のマスクを被った「モンキーマン」として暮らす。
ある日、キッドはラナが高級秘密クラブに出入りすることがわかり、無理やりクラブの女性経営者に頼み込んで厨房の皿洗いとして潜り込む。現場を仕切る男と仲良くなりVIPルームのウェイターとして上客と接触する機会を持つ。復讐するチャンスを淡々と待つ。


インドテイストが充満する大画面での迫力あるアクションに圧倒される。
モンキーマンと言っても、類人猿が出てくるわけではなく、ルール無用の地下格闘技で猿のマスクをしたレスラーというわけだ。強くはなく、コテンパンにやられるが、平気な顔をしている。いかにもハングリーだというのを示す。でもギャラはアップくれない。


きっとデヴパテルがこれまで観てきた映画のアクションシーンの良いとこどりをしてきたのではと思わせる格闘シーンやカーチェイスが続く。カメラはアップを多用しているので、大画面で観ると迫力が増す。カメラワークがよく、加えてたくさんのカットを連続的に繰り出す編集も適切でスピード感を感じる。手ブレカメラでの緊張感も出す。序盤戦にスリのシーンがあって、その財布が次から次へと猥雑な街の中を手渡しで渡って行って最後に主人公が手にするスピード感あるシーンに思わずうなる。

最近は日本でもインド人と思しき観光客を見ることが多い。きっとリッチなんだろうなあという連中も目立つ。そんな富裕層と下層階級の両方がでてくる。高層ビルが立ち並ぶすぐ横で猥雑なスラム街がある。金持ちが集うVIPルームインテリアもゴージャスでセンスがある。一方でごちゃごちゃした細い路地が連なる街角得体の知れない雰囲気を持つ。その街でのインド独特の軽自動車でのカーチェイスも見応えがある。インドだけでなくインドネシアでもロケしたというが、高層ビルが立ち並ぶ街はどこなんだろう?ムンバイ?

自分は宗教面特にヒンズー教には疎いが、その昔世界史で習ったような固有名詞がいくつかでてくる。神秘的な雰囲気も漂うシーンも多い。ウェイターとして侵入して仇討ちしかかって失敗した後に、助けてくれたのはヒジュラのコミュニティーだ。男女のどちらでもない両生類でも、男性を去勢している状況だ。戦闘力は持っていて主人公をかばう。


スタントは使っているだろうが、デヴパテル自らのアクションは多い。けがも絶えなかったのでは?監督も兼任のハードワークに思わず大丈夫?と言ってあげたくなる。ただ、映画も最後まで来ると、ちょっともうアクションはお腹いっぱいと思ってしまう。
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