映画とライフデザイン

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映画「惡の華」 玉城ティナ&秋田汐梨

2019-10-11 05:43:27 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「惡の華」を映画館で観てきました。


押見修造の漫画を井口昇監督が映画化したもの。もちろん原作は未読。ボードレールの「悪の華」といえば誰しもが名前を知っていても、中身を知っている人は少ない。クリームのプロデューサーだったフェリックス・パパラルディがロックバンド「マウンテン」を結成した時に「悪の華」という名前のアルバムがある。そんな連想しているうちに、日経夕刊シネマ欄5点満点を始め映画評を見たら絶賛である。青春映画の傑作という響きに引かれて見に行ってしまう。これが想像以上にすごかった。

地方都市の中学校に、普通の男子中学生春日と強烈な個性の女子中学生仲村を放つ。男子生徒はボードレールの「悪の華」が好きだという文学青年。この女子中学生仲村が普通じゃない変態ぶりだ。映画では仲村がからんでいくつものヤマを作る。中高生を描くにはきわどいシーンもある。単なる起承転結に収まらないストーリーだ。漫画で長期にわたって連載されたものを130分あまりに凝縮する。内容は当然濃くなる。時間軸を巧みに飛ばした脚本のうまみも冴えている。

ある地方都市、春日高男(伊藤健太郎)はボードレールの詩集「惡の華」が好きな読書家の中学2年生だ。かわいくて勉強もできるクラスメイト・佐伯奈々子(秋田汐梨)にあこがれていた。ある放課後、春日は教室に忘れ物を取りに行った際、佐伯の体操着袋が落ちているのに気づく。


袋を開け、思わず体操着とブルーマーの匂いを嗅いでいたら、物音がする。あわてて体操着をもって飛び出してしまう。翌日学校に行くと、担任の先生が佐伯の体操着がなくなっていると騒いでいる。春日は知らん顔をするしかない。しかし、クラスの問題児・仲村佐和(玉城ティナ)が春日に声をかける。体操着を持ち帰るのを仲村が目撃していたのだ。そして、体操着のことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まる。


その一方で、春日のパフォーマンスを男らしいと感じた佐伯は春日に急接近する。二人で会うようにもなるし、コクッテしまう。


しかし、その一部始終は仲村に監視されている。春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されていくのだ。

1.秋田汐梨
清楚で人気者の少女佐伯(秋田汐梨)がかわいい。かわいいだけでなく、勉強もできる役柄だ。自分の中学時代にこんなかわいい子がいたらとつい思ってしまう美少女である。


ブルーマー姿が思わず青春の香りを感じさせる。体育の時間に、女子生徒のブルーマー姿にはそそられたものだ。カメラが中学生男子の好奇心あふれる視線を巧みに捉える。性に関心を持ったときの自分を思い出す。秋田汐梨は出演者の中ではかなり年少である。かわいいけど、途中からの変貌の姿はもう大人の演技だ。15歳から16歳でこんな大胆になっていいの?という演技は関根(高橋)恵子の再来だ。将来が楽しみである。


監督が彼女しかいないとオーディションで言ったらしい。その気持ちは目線を中高生の自身に置き換えれば、誰しもがよくわかるであろう。

2.玉城ティナ
強烈なのは玉城ティナだ。昨年映画「響」を見た。ここでの平手友梨奈が圧倒的な存在感を示した。響は文才があるという役柄で、この映画とは若干違う。でも、メガネの下の眼光の鋭さに同様のものを感じる。

春日を手玉にとる。文学青年ぽく気取る春日に対してお前は変態だ。変態を自覚しろとばかりに詰め寄る。宗教に入り込むが如く春日も悪魔的な仲村に惹かれていく。SMの女王を思い浮かべさせる激しさだ。いくつかの山を作るが、なかなかここまでは演じられない。この子も逸材だ。最終に向けての海辺のシーンが好きだ。


3.桐生
お祭りのシーンで桐生が舞台ということがわかる。栃木に5年すんでいるころ、隣県とはいえ桐生の町は何度か行った。桐生、太田、栃木県だけど足利は3つで上毛エリアでワンセットという感がある。川沿いを自転車で走るシーンが多用される。渡良瀬川だろう。森高千里がこの歌で舞台にした渡良瀬橋は下流の足利だ。何もない町だというけれど、地方都市独特のムードを持った場所である。

仲村は両親が離婚して父と祖母と3人で暮らす。その祖母役が名優佐々木すみ江である。映像で観ていてそうかなと思ったけど、亡くなったはずだから出ているわけないだろう。そうしたら、エンディングロールで佐々木すみ江の名前をみて思わず合掌した。長い間脇役で頑張っていたもんね。
コメント
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