映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「夜はいじわる」 山本富士子

2015-06-14 20:20:33 | 映画(日本 昭和35年~49年)
映画「夜はいじわる」は1961年(昭和36年)の大映映画。名画座で見てきました。


山本富士子主演作品でもDVD化されていない作品で気になっていた。仕事を切り上げてこっそり見に行ったが、悪くない。何より山本富士子が抜群にいい。七変化のように着物をきがえるのが艶やかだ。どれもこれもいい柄でよく似合う。
妹役である水谷良重の若き日のボリューム感ある肢体をみるのもいい感じだ。

日本橋で代々続くかつお節問屋土佐久が舞台、女系家族の家系で跡取り娘桂子(山本富士子)の母親の三回忌がおこなわれている。次女(水谷良恵)は銀行員の彼氏と結婚したくてたまらず、会長である祖母(北林谷栄)に懇願する。しかし、祖母は長女(山本富士子)が先に行かないとだめだと拒絶している。

一方で社長である父親(中村鴈治郎)は化学調味料の会社に投資して、そのために振り出した約束手形の支払い期限が明日に迫っている。それを銀行員から聞き驚く祖母だ。父親は資金繰りにまわっているが、うまくいかない。そこで祖母と入り婿の父親は対立してしまい、売り言葉に買い言葉で社長は辞める。祖母は資金繰りに旧知の坂田商事の社長(東野英治郎)のもとへ行き、結局お金を借りることができる。その代わりに土佐久に坂田商事から大熊(船越英二)の出向を受け入れることになった。


その後、祖母が体調を崩し、土佐久は跡取り娘桂子が社長代行を務めることになる。番頭山中(川崎敬三)とお得意様企業へ中元品の発注を受けるべく営業活動をはじめるが、丸の内の丸菱商事に行くと課長(多々良純)がなかなかウンと言わない。そこで桂子が自らお願いに行くが、食事を付き合わされた上に夜の付き合いまでさせられてしまい、挙句の果てに言い寄られる始末で、怒った桂子はピンタしてその場を去る。おかげで注文が取れないので業績は前年比マイナスになりそう。しかし、出向してきた大熊が活躍して、その埋め合わせができる見込みがたったが、肝心な鰹節の仕入れが不足する。土佐久はこまってしまうのであるが。。。

「夜はいじわる」なんて題名からはエロティックなイメージしか浮かばないが、その手の匂いはない。
多々良純、左卜全なんてお笑いの名優も出ていてコメデイタッチではあるが、テンポのいい現代劇である。バックに映る一時代前の東京の風景がなつかしい。鰹節のセリの場面なんていうのは生まれて初めてみた。なかなか粋だ。しかも、高知に買い付けに行くシーンもあり、映像的には実に楽しめる。でもこの映画は山本富士子を見せるための映画だ。

1.山本富士子
香港映画「花様年華」マギーチャンがチャイナドレスを10回以上着がえる。どれもこれもセンスのいい色合いだったが、この映画でも山本富士子の着物七変化も同様の色合いを感じる。他の映画でも感じるが、このころの大映映画に登場する女優さんはみんな着物が似合う。しかも、着物のデザインセンスが抜群にいい。大映衣装部のレベルの高さなのであろうか?映画の中の挿入歌は山本富士子自ら歌う。作詞佐伯孝夫、作曲吉田正の名コンビによるもの。2人の名前を見るだけで曲の中身が想像されてしまうが、まさにその通りなので笑ってしまう。


2.北林谷栄と中村鴈治郎
北林谷栄ほど長くおばあちゃん役を演じた女優もいないだろう。この映画の上映された時はまだ50歳、メイクもあるとは思うけど今どきの50でこんなに老けたおばあちゃんもいないよね。しかも、入り婿を演じる中村鴈治郎の方がこの時ははるかに年上で、こういうアンバランスもおもしろい。でもこの映画は東京日本橋が舞台なせいか、鴈治郎独特のアクの強さがかなり和らいでいる。ミスキャストなのかな?という気もするが、最後に向けて見せる父親のやさしさはこの人ならではと思ってしまう。



3.水谷良重(二代目水谷八重子)
昔はそのグラマラスな肢体をずいぶんと見せつけていたけど、母親の跡を継いで水谷八重子を名乗ってからは、新派の人というイメージが強い。そういった意味では22歳くらいの水谷良重をみれる貴重な映像と言えるだろう。この映画に出演した時はドラマーの白木秀雄と結婚していたころだし、紅白にも出ていた。最後に近いところで、仮面マスクをしたグラマラスな女性が「夜はいじわる」を歌う場面がある。特にクレジットになっていないけど、これって水谷良重じゃないかしら?ドレスで乳首がうっすら見えるのが妙にセクシーだ。

(参考作品)
夜の蝶
美貌の銀座マダム
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映画「新宿スワン」綾野剛

2015-06-14 17:48:06 | 映画(日本 2015年以降主演男性)
映画「新宿スワン」を映画館で見てきました。


東京に異動して以来、今までに増して夜の新宿を歩く機会が増える。歌舞伎町の中でもディープなゾーンへ行く回数も増えてきた。また、綾野剛、伊勢谷友介、山田孝之の主演3人の面構えも印象強くこの映画は気になる存在だ。

一文無しで歌舞伎町に流れ着いた白鳥龍彦(綾野剛)が町のチンピラたちにからまれてケンカしている横をスカウトマン真虎(伊勢谷友介)が通りかかる。1人で大勢のチンピラに立ち向かうきっぷのいい龍彦を見て、気に入った真虎は仲間にする。
スカウトマンたちは歌舞伎町を歩く女性に声をかけ、風俗、AV、キャバクラに紹介し、バックマージンをもらう。真虎は歌舞伎町内で幅を利かせるバーストというスカウト会社の幹部だった。


最初は真虎は声をかけるのに戸惑ったが、真虎の指導ですぐさまコツをつかんでくる。
歌舞伎町内で声をかけていると、むしろ相手側からスカウトマンである龍彦に店への紹介をおねだりしてくる女たちもいた。みんなわけありの女性だった。その女たちはそのまま働きにつくが、店から過酷な要求をされているケースが多い。龍彦は時にその女性の味方になることもある正義感の強い男だ。


ライバルのスカウト会社ハーレムとは常に歌舞伎町内で縄張りをめぐって争っていたが、次第にエスカレートしていった。バーストの幹部にハーレム側の縄張りの中でスカウト活動をしろと命令され、龍彦が女の子に声をかけていると、気がつかれボコボコにされた。相手側には南秀吉(山田孝之)がいた。秀吉は裏でクスリの売買に手を出していた。その秀吉は龍彦を見て、何か違う何かを感じたのであるが。。。


新宿と限らず、街でスカウトマンらしき男たちが若い女性に声をかけるのはよく見かける。キャバ嬢たちと話していても、ほとんどの子は町で声かけられた子がほとんどだ。でもスカウトマンやその所属する組織がこういう構成になっているとは知らなかった。キャバクラの店長とかは何回か顔を見ているうちに仲良くなったりすることもあるが、ある意味怖い筋とつながっているという感じはあまり持っていなかった。

その昔からこの手の愚連隊のように怖い筋の若者中心の下部組織を描いた映画は多い。大島渚の「太陽の墓場」もそうだし、70年代前半の東映のピンク路線でスケ番池玲子あたりと組んで町を荒らす愚連隊には、その上部組織のような組が存在する。ストーリーは異なるが、愚連隊が主役であっても、そこには必ず上部組織が関係するというのはあまり変わらない。


綾野剛「そこのみにて光り輝く」では大きく評価されたが、自分としては菅田のほうがよく見えた。ここでは真逆のキャラで、むしろあの映画における菅田のキャラである。むちゃくちゃケンカ早くて、ハチャメチャだ。暴力描写のエグさはいかにも園子温監督作品らしく、この映画の方が思いいれが強い印象を受ける。よく見えたのは山田孝之でこいつは非常に強そうに見える。ボーリング場のリンチには面食らった。面構えもよくいい出来だ。メイン通りでなく新宿の裏通りもきっちりロケハンティングしているので、バックの風景もいい。

新宿の夜が舞台で、園子温監督作品というと、いつも通りのエロティックな場面を想像するがそれだけは肩透かしかな?沢尻エリカの大胆なヌードを期待するとエッチ系の表現のソフトさに驚く人もいるかもしれない。

(参考作品)
そこのみにて光輝く
綾野剛が主演賞総なめ


恋の罪
園子温監督が描く夜の渋谷の風俗


ヘルタースケルター
スワンの沢尻よりも大胆なので推薦
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