限界と希望―仙台戦観戦記。

2011-05-31 | 横浜F・マリノス

土曜早朝に仕事がキャンセルになり、その足で駅に向かった。
新幹線のチケットを購入し、仙台へ出発。
到着はどう急いでも開場時間直前。
我ながら、よく強行したものだ。

仙台へ到着。
1年前と変わらぬ街の姿に安堵する一方で、
ここから車で数分行ったところでは、全く違う景色が広がっているんだということに、ショッキングな想いに襲われた。
スタジアムも以前と何も変わらないように見えたが、ユアスタは空席も目立つ。
ここに来たくても来れない人が沢山いるのだろう。

ピッチに現れた選手達は、鹿島戦同様、まず仙台サポーター達の前に向かった。
仙台側からはFマリノスコールが巻き起こり、試合前とは思えない光景が広がっていた。

横浜の布陣は、前節と変更なし。
谷口をトップ下としたダイヤモンドで試合に臨む。
序盤からキツいプレスをかける仙台にやり難さを感じながらも攻撃を仕掛ける。
が、繋ぎの面で荒さが目立ち甲府戦のような流れは掴めないまま時間が過ぎる。
相手のプレスの早さ、そして球際の粘り強さが攻撃を自由にさせてくれない。
仙台のファールギリギリのプレーに当たり負けする場面も見られた。

そんな中前半20分、サイドからのクロスにニアで頭に当てたボールが不運にもゴール前の相手に合ってしまい先制弾を献上。
クロスの精度自体はそれほど良くなく、飯倉の守備圏内でもあったので、
結果論からいえば、そのまま飯倉が捕球すれば失点はなかっただろう。
後ろから声出しをしていけば防げたものだったように思う。
まぁそれにしてもゴール前で競り負けてもいるので、不運で片付けるには甘いけど。

失点は失点、すぐ追いつきゃいいのさ~。
今季の横浜はG裏もちょっとやそっとじゃ下を向かない。
常にそうでありたいと思うけど。
しかし試合と言えば、失点後もパッとしなかったなぁ。
仙台の勝利への執念か、ただただ横浜が悪いのか。
仙台の寄せの早さ、気持ちの強さに押されている感は否めなく、不要なパスミスの連続でリズムが掴めない。
前線の動きも封じられ、打つ手のない前半が終了。

ハトさんの350試合出場というメモリアル試合。
ハトさんも相当気合いが入っているらしく、いつになく高いポジションをキープし、果敢に攻め上がっていました。
が、それもあって前半はバランスが著しく悪かったように思います。
もちろんハトさんが悪いというわけではなくて、組織プレーという点で、
意思統一に欠けたのか、フォローができなかったなぁと。
相手のプレッシャー、ピッチとの相性、小椋の不調(苦笑)と様々な要因は考えられるけど、
今の横浜はバランスがほんと大事なんだなぁと感じさせられた。

そういえば前半終了後、兵藤が珍しく線審に何か言っている姿があって気になってた。
てっきり「この禿、ちゃんと見ろや」と凄んでいるのかと思ったが、
あれメイン側のボールボーイが機能してないことを意見してたんでしょうね。
メイン側に出ると、全くボールが入ってこなくて、両チームとも選手達が取りに行ってたもの(苦笑)
男の子達もお付きのお兄ちゃんもどっしり椅子に座ってました。

後半に入ると直後にチャンス。抜け出したかと思ったんだけどね、あそこはもっと強引にでも行かないと千真。
このプレーを皮切りに一気に攻勢か!と思ったが、やはり後半も思い通りにはプレーできない。
執拗なマークにあう俊輔がボールを失うことも多かった。
ダイヤモンドは谷口の良さを最大限に活かすとともに、ポストとして果たす役割とその効果も大きい。
その分、後ろに配す小椋と俊輔、兵藤の動きが大きく鍵を握る。
相手は当然のこと、ゲームメーカーである俊輔に2人、3人とマークを付けてくる。
俊輔が低い位置でプレーすることは、プレッシャーを受けにくいという利点があるというのが常識だが、
そこでボールを失うことが失点に繋がる決定的なミスになってしまうというリスクも抱えている。
この日は攻守において小椋が精彩を欠いていたところもあり、リスクはかなり高かった。
攻撃にも手詰まり感があったので、谷口をボランチに戻した方が・・・とも思えたが、ダイヤモンド継続を断行。

今季試合巧者ぶりを発揮する仙台は、しっかり守りながらもカウンターを狙う。
いやぁ危なかったね、2回くらいあったけ?決定的場面が。
飯倉が交わされた時は「もうダメだ・・・」と思ったけど、ハトさんが身を呈して守ってくれました。
前半は上がり過ぎか?とも思えた、波戸だけど後半は守備にどっしり腰を据え、スパープレーを見せた。
やっぱりDFの選手は守備で魅せてくれるのが、一番カッコいい。

ピンチの後にチャンスとはよく言ったもので、同点の場面はその後にやってきました。
俊輔もコメントに出していたように、仙台はやや運動量が落ちてきていた。それは目に見えて明らかでした。
そりゃ前半からあんだけ走ってたら、疲れるさ。
仙台の運動量が落ちてきたことで、サイドにスペースが空き始める。
そこを突いたのは、やはり俊輔でした。
やっぱり俊輔はフリーで前を向いた時、必ず決定的なチャンスを作り出す。
イメージ通りだったというパスは、ピタリとゴール前の谷口へ。
やっぱり今季の横浜は簡単には負けないね。

一気に攻勢に転じた横浜は選手を交代。
しかし点を取りに行くのに、決定力を下げた起用はどうなんでしょうか?
千真か大黒は残しときゃ良かったんじゃなかろうか。
何度かチャンスは訪れたものの、ゴールは決まらず。
決定力という大きな課題もあるが、
仙台を押し込んでいる中で、連続攻撃をもっと出来なかったかということが悔やまれる。
連続攻撃のチャンスも自らで切ってしまい、カウンターを受けるという場面が何度か見られた。
波状攻撃に押し込まれると堅守も綻ぶ。
それが分っていながら、そこを突き切れなかったことは大いに反省材料かなと。

結果は1-1。
試合内容を見れば妥当と言うべきでしょうか。
勝負強い今季の仙台に対して、先制をされながらも追いついたことは大きい。
でも決して勝てない試合じゃなかったよなーって思います。
不完全燃焼という感じがしました。
選手たちのコメントからも課題を見つけ、次に繋げたいという前向きな気持ちを感じたので、
次戦はスカッと完全燃焼を見せてくれると思います。


試合後は仙台駅に戻り、1年前塩釜に訪れ寄った『すし哲』さんの仙台店に行きました。
去年のブログにも書いたけど、塩釜では本当にお世話になりました。
今回の震災で漁港街である塩釜は大きな被害にあっていました。
震災があった時、真っ先に思ったのは『すし哲』さんのこと。
当時お店にいらっしゃった職人さんが今回訪れた仙台店にいらしゃったので、お話をしたんだけど、
なんと私たちのことを覚えているとのことでした。
『すし哲』さんはやはり全壊の被害にあったそうです。
それでもみなさんご無事で、すでにお店を再開されたそうです。
来年は絶対、塩釜本店に行くと約束をしてきました。

去年も仙台では行く先々で、人々の温かさに触れた。
そして今回も、あんな大きな震災にあいながらも笑顔で迎えてくれる仙台の人達の温かさに癒されてきました。
売店のおばちゃんとか優しいんだよね^^
1日でも早く、被災された方達すべてに笑顔が戻る日が来ることを願うばかりです。
ありがとう仙台!