2人のファンタジスタ・・・名古屋戦観戦記もどき

2010-09-21 | 横浜F・マリノス
半ば諦めていた名古屋遠征。
それでも何とかしてやろうと粘って粘って試合2日前に力でねじ伏せ勝ち取った名古屋行き。
「チケット取ろうぉ~♪」
いつもの感覚でチケットサイトに飛ぶと「予定枚数終了」の文字。。。

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ」

瑞穂に何が起きた・・・あっ・・・あそこ今、首位か・・・
完全に油断をしていました。

例年の感覚で鷹揚に構えていたが、まさかのチケット完売。
それでもやっぱり諦められるわけもなく、指定席をおさえ新幹線をおさえ、名古屋へ。

指定席なんて何年ぶりだろうか・・・(苦笑)。


ナゴヤ暑い。
そう聞いていたが、新幹線を降りると爽やかな風。
なかなかいい。
指定席ということで、時間に余裕があるので名古屋駅をぷらぷらするも、
気持ちは瑞穂に向かっちゃっていたので、身体も瑞穂へ向かう。

まったく指定席の意味が無ぇ。

道中、前記事にも書いたが道を訊かれた。
わざわざトリコロールに訊くこともないだろうに・・・
後ろのおじさんがニタニタ笑っていた。
答えられなくてすみません。
余談だが、私は普段から道を訊かれることが多い。
一日に2件ということも珍しくない。
スタジアムでもマリサポ老夫婦に席を訊かれた。
そんなに道訊きたくなる顔してるだろうか。
それでなくても、地方遠征はよく声掛けられるよね。
それが一つの楽しみでもあるけれども。
今回の名古屋では「今日はどこと試合なんですか?」と
サッカーを知らなそうなおねぇさんになかなかセンスのいい質問(笑)を受けたので、
名古屋に来てんのにガンバですとかはねぇしと思いながら、
「中日ドラゴンズです」と答えた。本気にしてなきゃいいが。


瑞穂に到着すると何とかDayというスポンサーDayらしかった。
チケット完売は名古屋首位ということでもあるだろうが、
何やらばら撒き臭いという気もしてくる。
だって日本代表のユニフォームの人がやたらと多いんだもん(笑)

指定席に着く。
ああトリコロールが遠い・・・
寂しくなって人ごみに紛れてコンコースに出ると、男くさい絶叫がこだましている。
アップ中の選手達の声だった。
マツ・・・声やたらとデカイ・・・

いよいよ名古屋との試合が始まる。
川崎戦で負傷した小野くんにかわり、アーリアが先発。
それ以外に変更なし。

序盤は案の定のスロースターターっぷりで押し込まれる展開が続く。
とはいっても名古屋も選手間の呼吸が合わず、横浜は救われる。
小野にかわって、アーリアの起用ということでタイプの違う2人だが、
どのような使い方をしてくるのか、そこがこの試合の大きなポイントでもあった。

序盤から前線への縦パスを何度か見せる横浜、
ここ数試合結果が出ている攻撃スタイルをこの試合でも貫くようだ。

ただやはり違う。
それもそう、小野とアーリアはタイプが違う。
小野は前線を掻き回し、そして前を向いてボールを引き出し走るタイプ。
同タイプの功治と息の合ったコンビネーションを見せる。
一方アーリアはDFを背に抑えながらボールを受けに行くタイプ。
ポストとして大きな役割を持つが、
前を向くには多少時間がかかり、時間的ギャップが出てくる。

この日のアーリアのプレーはアーリアらしさを見せていたし、
決して悪いものではなかった。アーリアはいいプレーをしていた。
しかし時間的なギャップが出る分、ここ最近の試合と比較してしまうと、
スピード感に欠けたことも否めない。
またボールを受けた時にもたつくこともあり、相手に狙われ処ともなってしまった。
もっと球離れを早くしたいが・・・
その分、兵藤が低い位置でプレーすることが多いように感じた。
好調時は、兵藤が高い位置でプレーしていることが多いため、
やはり名古屋戦では攻撃に苦戦していたのかなという印象を受けた。
アーリアにはもっと相手DFを引っ張る、釣るような動きを見せて欲しい。
そこんところは監督からどのような指示を受けたのかはわからないので推測ではあるけれど。
小野と同じ役割を担うべきだったのか、
アーリアとしてのプレーをしてチームとしての攻撃スタイルを変えれば良かったのか・・・
そこの曖昧さが少し出てしまったのかなと思う。

名古屋はボランチが出場停止ということもあり、
中盤ではある程度フリーの状態でパスを出せる場面が多かった。
つまり俊輔がいい状態で前を向いてパスを出せるチャンスは前半には多くあった。
しかし前線の動きが少なく、チャンスを活かしきれない。
功治もこれまでのような動きは出来ないでいた。
俊輔もこの試合ではサイドで孤立する場面が多かったように思います。
改めて”汗かき役”の存在の大きさを感じる試合でもあった。

それでも先制点の場面は、狙い通りに俊輔からのピンポイントクロスに天野が合わせてゴール。
練習でも行われていなかったプレーらしいが、
繰り返し行われてきた練習の中で身についた感覚から生まれたゴールであり、
チームとしての攻撃ビジョンの共有から出たプレーなのだと思う。

しかしながら、中盤が自由にプレーできたことからも、
この前半で勝負を決めるくらいの思い切った攻撃を仕掛けてもよかったのではないか。
暑さの中の14時開催という状況で運動量がそれほど上がらなかった両チーム。
そんな試合の中で、首位・名古屋と言えども、勝つチャンスは確実に横浜にあったと感じた。

後半に入ると展開は一変し、主導権は名古屋。
その勢いのまま、ひとつのミスから同点弾を許した。
確実に決めてくるところは、首位を走るチームの勝負強さか。
ただひとつ感じたのは、攻勢と言えども、名古屋の攻撃が一辺倒であったこと。
今後対戦するチームにも十分付入る隙はあるのではないだろうか。
試合中、元母国語で喧嘩してる人もいたしね(苦笑)

不思議と負ける気はしなかった。
正直これがピクシーのチームなのかと思うほど。
でも優勝を狙うチームはこういう戦い方になるのはしょうがないのだろう。
勝利を追求する戦いは自然とこういう戦い方になる。
それはよくわかっている。

横浜は勝ち越しに賭け、選手交代。
しかし、交代のタイミング、チョイスがイマイチで、チームのバランスを欠き、
結局交代選手の力を活かせないまま。
一方守備は、名古屋の攻撃を受けるも、
組織的守備と飯倉の好セーブでゴールは割らせない。
両チームとも決め手を欠き、試合は1-1のままで終了。
功治や、千真のいいプレーもあったんだけれど、
名古屋の守備はうまく審判の癖を利用していたという印象があった。
ピンチの場面ではうまく”見せる”ことで、ファールを取って凌いでいたなぁと。
こういう”したたかさ”は強さの象徴でもあると思います。

試合が終わってみれば、
満員のスタジアムには寂しい試合であったかなと思います。
横浜にとっては、前対戦で完敗をした相手、首位を独走する相手に引き分けたということで、
前向きに捉えたいところでもあるが、
この試合、内容を見ても勝てる試合だっただけに悔しさの方が大きい。

またジャッジも試合に水を差してしまったことは残念でしかたない。
ミスジャッジもさることながら(メインスタンドからはよく見えるのよね)
あの止め方は試合を退屈にさせるだけ。



首位・名古屋のリスクを最小限に抑えた手堅い試合運びと、
ゲームの中に見せる”したたかさ”に横浜は勝ち点1を獲るに止まった。
今の名古屋は強いのだろう。

でも・・・

首位・名古屋に対して前半からリスクをかけても自分達のサッカーを、
”楽しいサッカー”で勝ってやろうとする姿勢を最後まで貫いた横浜。
本当に勝ちたかった。でも、監督になったとしてもなお、
ファンを魅了しようとする日本のファンタジスタ・木村和司のチームに
誇りを感じた名古屋での試合でした。