和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

暮しの余白。

2011-12-29 | 短文紹介
KAWADE夢ムック「花森安治」。
そこに掲載されている茨木のり子の文
「『暮しの手帖』の発想と方法」を、
私ははじめて読みました。
この文は、筑摩書房・筑摩文庫にある「茨木のり子集言の葉」1・2・3の収録作品一覧を検索してみても(本を持っていないので検索のみ・実際に手にして確認はしておりません)、その題は見あたらない。ということで、私にとって、この文と出合えたのは、ひとえに、別冊文藝の夢ムックのおかげ。
ありがたや。
ありがたや。

この文で、茨木さんはご自身の考えかたを述べて
「淡々として抑制のききすぎたくらいなのが散文としては美しいという考えかたがこちらにある・・」(p134)とありました。
うん、この文も抑制をきかせて書かれております。
最後の方に、さらりと、こんな箇所。

「一見、美しく確かなものの追及という、何気なさを装いながら、『暮しの手帖』がその底に絶えず持続させてきた【したたかさ】と【しぶとさ】は相当なものだが、読者はそれをどう読み、受けとめてきたか、これも大いに関心をそそられるところである。・・・・1969年から一年三か月かかってまとめられた【テレビの困った番組、読者投票】によれば教養・報道の部の、最悪番組第一位は、NHKニュースと出たことは、その一端をわずかに垣間みせてくれたような気がしている。
NHKは政府の放送局ではないかという不満を持って、42%の人びとが最悪番組第一位に選んだ。この結果は編集部としても意外で、予想もつかないことだったらしい。NHKニュースに漠然とした不満を持っていた人びとに対して、この数字のデータが投影されて、ますますしらじらしいものとして形をとって感じられ、波及していったことはまだ記憶に新しい。」

奥ゆかしくも、こういうテーマを文の最後にもってくる茨木のり子さんでした(うん。この箇所の引用は、書き漏らさないようにしなくては、読んだ甲斐がない)。
そして、「『暮しの手帖』も、長くついてきた読者も、戦後の世代をひっくるめて今、交替期にさしかかっている。」ことをすこし述べておわっておりました。この文は昭和48年掲載とあります。

さてっと、今日、古本屋から雑誌が届きました。
『暮しの手帖』のバックナンバーです。

第27号 昭和29年12月号 
第83号 昭和41年2月号

広島の尾道書房(画文堂)へと注文してありました。
先払いでしたので、ちょい日数がかかりました。
それが、今日とどいたというわけです。
どちらも、この茨木さんの文で触れている冊子。
(ちなみに、第28号はなかった)
値段はどちらも525円で
合計1050円+送料285円=1335円でした。

第83号が写真撮影の表紙です。
きれいだからって、最初にひらいた83号。
各文章の題と文との余白が、まぶしい。
まるで、胸元の白い衿(えり)が、
肌と着物の柄とをひきたてるように、
きりっとして見えました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする