和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

お世辞の毒を入れてみた。

2011-12-17 | 詩歌
杉山平一著「希望」に、詩「処方」というのがありました。

   処方

 本当の心を注射して
 絆創膏のように切手を貼って
 送ったが
 効かなかったらしい
 お世辞の毒を入れてみた

 元気が出てきました
 と返事がきた



さてっと、ボンヤリとしていると、詩の余白に思い浮かぶのは、
杉山平一著「詩と生きるかたち」(編集工房ノア)にあるところの
「竹中郁氏の手紙」という文でした。
なあに、切手からの連想で、手紙つながり。
そこには、こんな箇所がありました。

「以後、竹中さんはお便りに、よく私の詩の欠点を指摘して下さった。大戦後でも、若い人から贈られた詩集の受取りに、欠点苦言を書き添えるといっておられた。歯に衣をきせぬそれを怨みに思った人もかなりいたらしい。」(p302)


それにしても、ふだん手紙を書かない者としては、
たまに、貼る切手はぶきっちょな感じになります。
「バンソウコウのように切手を貼って」
というのは、何だか手紙を出しているなあと思うのですが、
「お世辞の毒を入れてみた」
というのが、何だかどのようなものか、
読んでいるうちに、わからなくなってきて、
うん。毒がまわってくるようです。


もうひとつ、別の詩を。
詩集「希望」に「木の枝」というのがあります。
最初の3行は省略して

   若いときは
   背のびをすると
   本当に高くなることがあります

   読んでもいない本を
   友だちの前で読んだふりをしたため
   帰ってから本当に読み
   少し賢くなったことがあります

うん。今年の私のブログ
休まず続けるぞ。と言っていたのに
けっこう休んでおりました。
最後まで読まずに、読もうという
希望ばかりを書いておりました。

ちょうど、師走ですが、
97歳の杉山平一氏の詩集「希望」には
「約束」という詩もありました。

  約束

 遠い土地からの電波に応えて
 わが家のチューリップも
 赤の花を着けた

 北の国へ白い鶴も
 翼をひろげて旅立った
 仲間を連れて

 忘れていた
 忘れていた
 私にも約束があった
 応えねば
 急がねば
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする