とりあえず、はじめてなのですが、
守屋洋著「 中国古典百言百話6『老子・荘子』 」を読む。
守屋洋には「決定版・菜根譚」(PHP 研究所)というのがある。
こちらもつづけて読んでみたい。けれども、そのまえに、
魚返善雄著「大地の心 新訳菜根譚」(国民教育社・昭和25)を読むと、
これがめっぽう面白い。魚返善雄(おがえりよしお)とは、何者?
という興味がわいてくる。この本の目次のまえには
絵がありました。ずいぶん前の本のなので、かすんでいますが、
キュウリやナスに足をつけて、その上に人が乗っている図です。
絵の上には、著者の言葉がありました。
「 おさなき日のわれに
雅と俗とを教えたまいし
祖母のみたまにささげまつる
この命日、8月26日
庭のナス一つみのる 」
そういえば、20年より以前に買ってあった文庫本に
魚返善雄著「漢文入門」(教養文庫・昭和41年)がありました。
読まずに、あとがきだけ読んで本棚に置かれてそのままでした。
その文庫あとがきは、娘さんが書いておりました。
そこに一読忘れがたい箇所があったのを思い出しました。
今回は、そこを引用しておわります。
「とにかく彼は、いつも、どの本も姿勢を正して書いた。
身も心もである。読む人にはどれほど面白おかしく
書き飛ばしたように見えても、実は苦吟に満ちている。
だから、本ができ上がった時の喜び方は、
無邪気と言おうか、素朴と言おうか。
その日、食卓は白いテーブルクロスでおおわれる。
ビニールは厳禁。そしてささやかな花。可能ならば野の花。
私にもなめられる、ワインか、ベルモットで乾杯。・・・
乾杯がすめば新しい本の贈呈式である。
第一冊めは彼を育てた、彼の『おばあさん』の写真に贈られる。
第二冊めは、この前の著書に、一番心をこめた返事を下さった方に。
第三冊めは自分の校訂用に。
たとえ、それが50冊めの著者であろうと、
60冊めであろうと、この行事には、
いささかの変更もなかった。 」(p218~219)