戦後10年で現在日本の抱える諸問題の根っこができあがっていた(眼からウロコの事実!)北方領土、尖閣諸島、竹島、原発、沖縄基地など政府が頭を痛めている問題の根源は常に周辺諸国と火種を残して一体化しないようにとアメリカが策謀したものでそれを結果的に了承あるいは密約したのが吉田茂と外務省であった。
米ソの冷戦と朝鮮戦争がなかったらこんな経済大国にはなれなかっただろう。1945年9月2日、日本の無条件降伏以後、米国の占領初期には日本を再びアメリカの脅威とならないよう軍事力、経済力を破壊し生活水準は侵略国以下にとどめておき早期に占領を終わらせるのが基本方針だった。それが48年ごろから米ソ冷戦の兆しが表面化し占領方針が転換、日本を米ソ戦争の防波堤にすべく日本の基地と工業力を利用するということに傾いてゆく。この転換を予測した数少ない人間の一人が当時A級戦犯容疑で巣鴨の拘置所に拘留され、のちに妖怪と言われた元首相の岸信介(阿部総裁の祖父)であり、予測が的中、釈放され政界に復帰。
NHKドラマは第四回、日米両トップの家庭問題をからめながらリーダーの苦悩を表現。講和条約をどう結ぶか、アメリカ本国の意向をさぐるため池田、宮沢(二人とも元首相)をワシントンに派遣。米軍を日本に常駐させてもよいという吉田首相の意向を伝えさせる。朝鮮戦争が勃発、ソウル陥落の危機でマッカーサーが戦場へ。ソウル奪還に成功する。マッカーサーより国家警察予備軍75000人の創設指令がでる。現在の自衛隊の前身。憲法第9条、戦争放棄したのではないのかとの国民の反発。産業界は朝鮮特需、好景気に沸く。息子の反発で吉田茂苦悩、息子を罵倒。中国義勇軍が北朝鮮支援したとの電話が白洲次郎から入り吉田茂倒れる。理屈抜きの国外の動きの中で日本政府は翻弄される。さあ最終回はどうなるのか、興味津々だ。
あとがきで著者はこう述べている。
1、米国の対日政策はあくまで米国利益のため。TPPはもちろんそういうこと
2、対日政策は米国の環境変化で大きく変わる。米ソ冷戦であり、20年前のソビエト崩壊、さらには11年前の同時多発テロ。仮想敵国ソビエトがなくなったあと、日本の経済力が最大の敵とみなされ、CIAを使って一部経済首脳をとりこみ。マスコミをリードし、反米自主路線の政治家を放逐。対米追随派にすげかえるシステムとして検察特捜部と報道をとりこんだ
3、米国は自国利益のためにさらにさまざまな要求をしてくる。今あらためて日本は譲れない国益について主張しつづけないとアメリカに無茶苦茶にされてしまう。小泉内閣は一見国民に支持された首相に見えるが郵政民営化してしまい、国民のえいえいと築いた預貯金をうかうかするとアメリカ経済救済のために使われてしまう。すでにアメリカ国債3000億円を購入してしまっているとか。自衛隊をついにイラク戦争のために海外派遣してしまった。
素っ頓狂な首相と思っていた鳩山元総理は日米地位協定の改定を求め在日米軍の見直しとアメリカ抜きの東アジア共同体構想を打ち出し踏んではいけないアメリカのトラの尾を踏んでしまった。普天間は最低でも県外移設と表明、外務省も官邸も誰も支援せず、マスコミがたたいて首相を退陣におしやり、米国追随派の管、野田に挿げ替えられた。アメリカは自由に日本の領土を軍事のためにつかっていいよという協定はまだ生き続けているのである。カナダのように国をあげて総力でアメリカにいうべきことを言い続けないとえらいことになるというのが著者の警告である。
我々庶民はそんなことに気ずかず、自らの幸せを求めて戦後67年ひたすら働いてきた。現在もそうである。失われた20年、デフレから脱却できず給料の減少に甘んじている。アメリカの見えざる手で支配されている日本人、ノー天気であってはならない。このブログの読者のみなさん、ぜひこの本を読んでください。
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