久々に上野駅に降り立ちました。
昨年5月の東京文化会館、都響の定期演奏会以来ですね。
上野駅公園口から、出て横断歩道を渡ると目の前に東京文化会館が見えるはず…、あれ?
見えませんね。
というか白いパネルに覆われてますなぁ。
どうも改装中のようです。
2014年(平成26年)7月3日、木曜日。
改装中の東京文化会館を左手に見ながら上野公園の中を北に向かってしばらく歩きますと左手に重要文化財「旧東京音楽学校奏楽堂」が姿を表します。
現在は、改装中のようですが(平成30年まで)、クラシカルな外観を見ていると今まで数多くの音楽家が奏でた演奏の響きが聴こえてくるようです。
明治23年に創建の日本で最初に建てられた本格的西洋式音楽ホールに想いを馳せながら、歩を進めます。
次は現代の「奏楽堂」へ向かいます。
上野駅を出て約10分、ようやく東京藝術大学音楽学部に到着。
この中に目指す奏楽堂はあります。
既に入口のところには、開演を待つ人々の列が出来ています。
誘導にしたがって歩いて行きますと、奏楽堂の外観が見えてきました。
当然のことですが、近代的な佇まいです。
中に入ります。
ホワイエもきれいで美しい。
客席数1102のホールには、続々と観客がのみ込まれていきます。
この日は、自由席でしたので私も、急いでホール内に入ります。
側面に若干、バルコニー席のようなものがありますが、基本的に一階席のみで舞台から、一番後ろの席までは結構、勾配がありますね。
“響き”はどうでしょう?
楽しみです。
開演の10~15分くらい前あたりから、ステージに団員の方々が少しずつ入って来て、おもいおもいに練習を始めました。
その数は、どんどん増えて行きました。
スケールをさらう方、いろんな曲のフレーズを練習する方、様々です。(ホルンの方なんぞは、マーラーの1番の“かっこいい”ところを吹いたりして…。ステキだった…。)
普通は、開演後、楽団員の皆さんがまとまって出てきて、最後にコンサートマスター、指揮者の順に舞台に登場し、演奏会が始まります。
ところが…。
舞台上の皆さんは、開演時間となっても、練習をやめる素振りはありません。
と言うか、ますます音量が大きくなっていく。
おやおや、アンサンブルを始めるパートも現れ始めましたよ。
ある意味、“喧騒”の中で、開演のアナウンス。
指揮の山本先生が登場!
でも、練習をやめる方はいません。
舞台袖から、足早に登場された山本先生が飛び乗るようにして指揮台に上がると、そのまま演奏が始まりました。
そう、サプライズ“演出”だったのです…。
[演奏]東京藝大ウィンドオーケストラ
[指揮]山本 正治
◆◆◆ プログラム ◆◆◆
夢のような庭/清水 大輔
Welcome to the Imagination World:Daisuke Shimizu
三つのジャポニズム/真島 俊夫
Les Trois Notes du Japon:Toshio Mashima
ⅰ La danse des grues 「鶴が舞う」
ⅱ La rivière enneigee 「雪の川」
ⅲ La fête du feu 「祭り」
― 休 憩 ―
カンタベリー コラール/ヤン・ファン=デル=ロースト
Canterbury Chorale:Jan Van der Roost
交響詩「ローマの祭り」/オットリーノ・レスピーギ arr.森田 一浩
Feste Romane:Ottorino Respighi/arr.Kazuhiro Morita
(マンドリン演奏:十亀 正司)
Ⅰ.チルチェンセス Circenses
Ⅱ.50年祭 Il Giubileo
Ⅲ.10月祭 L'Ottobrate
Ⅳ.主顕祭 La Befana
こうして、演奏会は始まりました。
指揮は、日本クラリネット協会会長で東京藝大教授の山本正治先生。
プログラムに目を通してみます。
うーん、好きな曲ばかりなのだけれど、目新しい曲はない。
“初演”曲のようなものないし…。
個人的な好みから言うと“意欲的”なプログラムが好きなんだけど…。
と、素人のオヤジが身勝手な意見を思っておりましたが、演奏を聴いてそんな思いは、どこかに吹っ飛んでしまいました…。
サプライズで始まった最初の曲は、清水大輔氏の「夢のような庭」。
2008年の「なにわ《オーケストラル》ウィンズ」公演の委嘱作品です。
明るく快活な曲ですね。
それにしても藝大の音は“艶っぽい”。
非常に驚きました。
(会場には、作曲者の清水先生もお見えになっていて、舞台上でご挨拶されました。)
次は、吹奏楽ファンならお馴染みの「三つのジャポニズム」です。
様々な機会にこの著名な曲を聴かせて頂きましたが(私が聴いた中では)、間違いなくトップ3に入る演奏だったと思います。(個人的な意見です。)
今まで、合奏としての表現力の高さを感じた団体は、よくありました。
しかし、藝大の演奏は、それに加えて個人のレベルの高さを実感した次第。(ソロ楽器のメロディの歌い方にはゾクゾクしました…。)
あっという間に休憩時間です。
前半の演奏を聴いて東京藝大W.O.の素晴らしさに感激したのと同時に奏楽堂にも驚かされました。
よく響きますねぇ。
いいホールです。
と、ここで突然、舞台の後ろの壁がブラインドのごとく、スルスルと持ちあがっていきました。
そして、その壁の中から姿を現したのは…、パイプオルガンです。
次のステージで使用されるようですね。
後半最初の曲は「カンタベリー・コラール」です。
これも、私が大好きな曲であります。
曲目の解説を読みますと、もともとは、ブラスバンドのために作曲されたようですね。
英国国教会「カンタベリー大聖堂」をイメージしただけあって荘厳な曲ですが、今回はめずらしくパイプオルガンも加わって、より一層、格調高い演奏になりました。
非常に感銘を受けました!
早いもので、いよいよトリの曲です。
「ローマの祭り」。
吹奏楽でも、かなりの人気曲です。(“解説”によりますと全日本吹奏楽コンクール第30回大会(1982年)から、昨年の61回大会まで、途切れることなく全国大会で演奏されているとか。)
壮大な第一楽章「チルチェンセス」で曲が始まりました…。
サウンドが厚くて、とても迫力があります。(バンダの金管楽器の皆さんが素晴らしかった。)
特に第3楽章で十亀正司氏の奏でるマンドリンの音色は郷愁を誘う美しかった。(十亀正司氏は、東京交響楽団首席クラリネット奏者で東京藝大クラリネット科非常勤講師もされています。ところで十亀先生と言えば、2011年12月、アンサンブルリベルテ吹奏楽団の定期演奏会でステキなバグパイプの音色を聴かせて頂いたのを思い出します。いろんな楽器を演奏することが出来るのですね。)
さあ、最後はド派手な「主顕祭」です。
この部分は下手なバンドがやると、観客にとっては、ただの“騒音”、演奏者は“スッキリした!”で終わるパターンが多いんですが、この日の演奏は、オーケストラに負けぬ迫力で楽しませて頂きました。
素晴らしかった!ブラヴォーです!
アンコールは以下の通りです。
対称的な2曲でしたが、優れた技量で“キカセテ”くれました…。
演奏を濃い密度で、堪能させて頂きました。
あの…、非常に個人的な意見なんですけれども…。
音大の吹奏楽団で、ここのバンドがイチバン好きかも知れません………。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます