浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

第53回 埼玉県吹奏楽コンクール 大学・職場一般Aの部

2012-08-11 03:20:41 | 吹奏楽

今年の全日本吹奏楽コンクールの中学、高校の部は普門館ではなく、名古屋国際会議場で開催されるとの事。
何でも、普門館の耐震性に問題があるらしく、「吹奏楽の甲子園」として生徒さん達の目標になっていた建物ですので、関係者の皆さんのご落胆は、お察し申し上げます。
私も昨年、普門館で高校の部を聴かせて頂きました。
そして、今年も伺わせて頂こうと思っておりましたところ、前述のごとく急遽、会場変更なりました。
名古屋ですと諸事情ありまして、行けそうにありません。
そこで、今年はターゲットを一般の部に変えてコンクールを拝見させて頂くことにしました。
(地元、埼玉県はもちろん、関東近県、支部大会に行ければなと思っております。全国大会は宇都宮で開催されるようですので、必ず行くつもりです。)
2012年8月5日(日)は、その第一弾、「第53回埼玉県吹奏楽コンクール 大学・職場・一般 Aの部」にお邪魔いたしました。
場所は、お馴染み、南浦和のさいたま市文化センターです。
外もうだるよな暑さですが、ホールの中も吹奏楽にかける情熱という熱気にあふれています。

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課題曲は以下の5曲です。
Ⅰ さくらのうた (福田洋介)
Ⅱ 行進曲「よろこびへ歩きだせ」 (土井康司)
Ⅲ 吹奏楽のための綺想曲「じゅげむ」 (足立 正)
Ⅳ 行進曲「希望の空」 (和田 信)
Ⅴ 香り立つ刹那 (長生 淳)

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開会のあいさつ、審査員紹介に続いて大学Aの部から。

1.埼玉大学  (指揮)船越孝太 
    [課]Ⅲ [自] バレエ音楽「青銅の騎士」より (R.M.グリエール/石津谷治法)

課題曲は「じゅげむ」の躍動感は薄いもののコンパクトにまとまった良い演奏に感じました。
全体的にとてもやわらかいサウンドで聴きやすかった。
ただ、それが故に自由曲の盛り上がらなければいけない部分で目的を達成できなかったように思います。(特に金管)
しかし、私は非常に好みのサウンドでした。
[銀賞]

2.城西大学  (指揮)藤川敬典
    [課]Ⅱ [自] シンフォニックバンドのためのパッサカリア (兼田 敏)

これは、非常に懐かしい自由曲です。
全体的にピッチが気になった。
自由曲冒頭の低音部は入り方がもう少しハッキリしたらよいのでは。
木管(特にクラリネット)の音は、安定していたのでそれに負けない金管を作ればグッドです。
[銅賞]

3.東京国際大学  (指揮)稲垣征夫 
    [課]Ⅲ [自] タンタン -太陽の神殿- (D.ブロッセ/J.デ=メイ)

大学の部、最少人数23名でのコンクール挑戦です。
人数が少ない上、楽器の数のバランスが悪いので苦労されたと思いますがアンサンブルのまとまりが良かった。
大健闘だと思います。
ただ、課題曲のトロンボーンの割れた音が気になりました。
[銅賞]

4.駿河台大学  (指揮)岩渕重紀 
    [課]Ⅳ [自] 大海を翔ける翼の賛歌 (石川亮太)

指揮者の方が躍動的で良かった。
とても明るい音色で良く音が出ているように感じました。
演奏もリズム感にあふれ、はなやかでした。
しかし、オーバーヒート気味になる瞬間が何度かあったように思います。
[銀賞]

5.文教大学  (指揮)佐川聖二 
    [課]Ⅲ [自] トリトン・エムファシス (長生 淳)

指揮の佐川先生の指揮を見せて頂くのは、今年5月のパストラーレ・シンフォニックバンドの演奏会以来です。
自由曲は「トリトン・エムファシス」。
作曲者は、長生先生。
「トリトン・デュアリティ」なら知ってますが、この曲は初めて聞く名です。
しかし、曲を聴いて納得しました。
「トリトン・デュアリティ」と重なる部分が多く、多分、原曲の「トリトン」の別バージョンの新曲だと言う事が推測できました。
(「トリトン」は全3楽章で、その1楽章の大部分と2楽章の一部にあらたに少し付け加えたのが「トリトン・デュアリティ」だということです。)
少し、話が横道にそれたようです。
演奏の方はと言えば、素晴らしいの一言です。
課題曲、自由曲をとおして躍動感はこの上なく、いやあ、いいものを聴かせて頂きましたというカンジです。
[金賞・県代表]

大学の部については、全ての団体が演奏し終わった瞬間より文教大学の圧勝と確信した次第。

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さて、昼休みをはさんで(私にとってはメインである)職場一般の部のはじまりです。

1.青木フィルハーモニー吹奏楽団  (指揮)酒井 敦 
    [課]Ⅱ [自] 朝鮮民謡の主題による変奏曲 (J.B.チャンス)

課題曲はやわらかいサウンドで、丁寧に演奏しており、とても好感がもてました。
自由曲は、わが青春時代に非常に流行した「朝鮮民謡―」ですね。
出だしのクラリネットのユニゾン、とてもきれいです。
失礼な言い方かもしれませんが、最初はそんなに期待はしていませんでした。
(「朝鮮民謡―」だと古い曲だし、難易度の高い曲ではないので…。)
しかし、演奏を聴いてびっくりしました。
とても素晴らしい演奏でした。金賞に納得です。
(ただ、曲の最後の方の打楽器に、もう少し躍動感があると私の好みに近くなります。これは個人的意見です。)
[金賞・県代表]

2.杉の子吹奏楽団  (指揮)青柳和弘 
    [課]Ⅲ [自] アーサー王と三人の湖の乙女 (樽屋雅徳)

課題曲、出だしの打楽器の躍動感があったらいいなあと思いました。
そうすると「じゅげむ」の物語に近づいてくるような気がします。
自由曲はよくまとまって聴こえましたが、アインザッツの不揃いが気になりました。
しかし、最後の方は個々の音が溶けあっていて美しかった。
[銅賞]

3.アルス ノヴァ ウインドシンフォニー  (指揮)井山英之 
    [課]Ⅲ [自] 幻想交響曲より第5楽章 魔女の夜宴の夢 (H.ベルリオーズ/三井英健)

課題曲のリズムがはねていてよかった。
ただ、曲の中間部の音程やアンサンブルの乱れが気になりました。
演奏が自由曲に移ると同じ団体かと思うくらい“変身”しました。
クラリネットの音なんぞは幻想交響曲にマッチした深い味わいのある音に聴こえました。
なかなかの演奏です。
あきらかに課題曲と自由曲では練習量が違うような気がしたのは私だけでしょうか?
[銀賞]

4.所沢市民吹奏楽団  (指揮)原田元吉
    [課]Ⅲ [自] 復興 (保科 洋)

指揮者が原田元吉氏。
あのヤマハ吹奏楽団の指揮者だった原田先生でしょうか?
課題曲は、この曲の特徴である躍動感があり、中間部とのコンントラストにメリハリを感じ好感が持てました。
今年、流行っている曲を自由曲に選んだようですね。
安定した演奏でした。
ただ、全体を通じて細かいミスが気になりました。
[銀賞]

5.伊奈学園OB吹奏楽団  (指揮)宇畑知樹
  [課]Ⅳ [自] パガニーニ ロスト イン ウインド (長生 淳)

指揮の宇畑先生は6月の川口リリアでの東海大高輪台と伊奈学園総合高のジョイントコンサートで指揮しておられたのを拝見させて頂いた以来ですね。
課題曲が「じゅげむ」ばかり続いたのでⅣは、新鮮な気持ちで聴けました。
コンサートマーチらしい軽快なサウンド。
審査結果発表時の審査員の講評の中にもありましたが、マーチで音量の出しすぎの団体が多い中、ホールを意識した素晴らしい演奏でした。
自由曲は初めて聴く曲です。
そして、キチンと長生ワールドを作り上げています。
ppがとてもきれい。
アンサンブルにまとまりがあり、個人の技量の高さをうかがい知ることが出来ました。
[金賞・県代表]

6.越谷市音楽団  (指揮)佐々木幹尚
  [課]Ⅳ [自] 「交響曲第三番」より Ⅰ、Ⅲ、Ⅳ (J.バーンズ)

全体的に音を出しすぎだと感じました。
課題曲Ⅳは、特にダイナミクスを気をつけないと目立ってしまうと思います。
自由曲が躍動感あふれる若々しい演奏だっただけに支部大会に向けての修正が必要なのでは?
[銀賞・県代表]

7.桶川市民吹奏楽団  (指揮)雲井正浩
  [課]Ⅳ [自] 宮崎県民謡「いろは口説き」による変奏曲 (真島俊夫)

課題曲は、バランスのいいサウンドで耳にやさしかった。
しかし、少しリズムが重かったかも。
自由曲は民謡を素材にした面白い曲でした。
クラリネットは音色が揃っていて、とてもキレイです。
全体的にロングトーンの音程が気になりました。
それと、合奏になった時に楽器のパートによってズレのある瞬間が時々あるように思いました。
[銅賞]

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8.あおぞらハーモニー吹奏楽団  (指揮)阿部和博                           
   [課]Ⅱ [自] ラッキードラゴン~第五福竜丸の記憶~ (福島弘和)

やわらかいサウンドで心地よい課題曲でしたが、少しコンサートマーチを意識したリズム感があればいいのにと思いました。
自由曲は私自身、コンクールや演奏会で度々、聴いた事のある曲ですが、丁寧な素晴らしい演奏でした。
「ラッキードラゴン」の持つメッセージ性を十分、伝えてくれていました。
しかし、他の団体にも多々その傾向がみられたのですが課題曲と自由曲のデキに格差があるように思いました。
私もコンクール経験者ですので、気持ちはわかりますが課題曲を重視していれば、金賞をとれていたかも、と感じる演奏でした。
[銀賞]

9.埼玉県ユースホステル協会吹奏楽団  (熊谷一郎)
  [課]Ⅲ [自] 「イーストコーストの風景」より Ⅱキャッツキルズ山脈 Ⅲニューヨーク (N.ヘス)

全体的に音程が気になるところが多かったように思いました。
自由曲の「イーストコーストの風景」は、私の個人的な意見を言わせてもらうとコンクールには合わない曲だと思います。(演奏会で聴くと大変楽しい曲ですが…)
描写音楽って、聴かせどころを作るのが難しいですよね。
本日の演奏も自分たちの良さを表現するのに苦労されたのではないでしょうか?
[銅賞]

10.和光ウインドアンサンブル  (指揮)押味 剛)
    [課]Ⅱ [自] ルネッサンス―復興― ~大震災への鎮魂歌、そして復興への賛歌~ (真島俊夫)

課題曲。出だしの金管のピッチが…。
本来この曲の持つリズミカルなメロディをもっと表現できたら、より良かったのではと思いました。
自由曲。タイトルどおりドラマチックな曲だと思うのですが、平板な演奏に聴こえました。
もう少し、メリハリがあると良かったのでは?
[銅賞]

11.アンサンブルリベルテ吹奏楽団  (指揮)福本信太郎
   [課]Ⅴ [自] パッサカリアとトッカータ (福島弘和)

自由曲は定期演奏会で一度、聴かせて頂いたことがあります。
その時も思いましたが、アマチュアとしては非の打ちどころない演奏でした。
課題曲も多分、アンサンブルリベルテが選択するであろうと思ったⅤ。
難解な曲ですが自分たちの世界を作っているのがスゴイです。
私の個人的な意見として、本日の職場・一般の部の出場団体でNO.1の演奏でした。
[金賞・県代表]

12.大宮吹奏楽団  (指揮)永薗喜章
   [課]Ⅳ [自] 交響組曲「平清盛」 (吉松 隆/高木登古)

自由曲は大河ドラマからと面白い選曲です。
ホルンの咆哮が気持ちいい。
メロディラインの歌い方も誇張されていて楽しかった。
課題曲も軽快で好みのサウンドです。(少し音は出しすぎか?)
結果は残念でしたが…。
[銀賞]

13.本庄ウインドシンフォニカ  (指揮)萩原定夫
   [課]Ⅰ [自] 「吹奏楽のための組曲」より Ⅰ、Ⅳ (兼田 敏)

本日、唯一の課題曲Ⅰです。
この曲はメロディも美しいし、抒情的な曲ですが課題曲として演奏するとコンクールで不利になるような気がしてなりません。
ソロや少人数でメロディラインを演奏するフレーズが多いので、バンド全体のカラーを出しづらいのでは?
素人なりにそんなふうに思いました。
だから、今回も個人個人のアラが目立つ結果になってしまったように感じました。
自由曲は、“わが青春の”兼田敏先生の曲でしたが全体的にこじんまりとしすぎてしまったところが残念でした。
[銅賞]

14.与野吹奏楽団  (指揮)森田新一郎
   [課]Ⅳ [自] 交響詩「ローマの祭り」より (O.レスピーギ/森田新一郎)

課題曲。もう少し、音量をおとしたほうが良いと思う。
それに尽きます。
自由曲は「ローマの祭り」。
定期演奏会の時も聴かせて頂いたのですが、その時より驚くほど修正されています。
各パートがパワーをきそっているような演奏だったのに実にバランス良くなっていました。
この団体も課題曲と自由曲の練習量の違いを感じますね。
[金賞・県代表]

15.浦和吹奏楽団  (指揮)山田昌弘
   [課]Ⅴ [自] 科戸の鵲巣―吹奏楽のための祝典序曲― (中橋愛生)

課題曲は何曲を見事なアンサンブルでこなしていました。
聴きごたえのある演奏です。
ただ、もう少し細かい表現力があれば完璧だったように思います。
自由曲の「科戸の鵲巣」は何度も生演奏を聴いたことがありますが、迫力の点では、今まで聴いた中では上位の方でした。
が、勢いがありすぎた感があります。
少し、メリハリが欲しかった。
[金賞・県代表]

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これでコンペティション部門の全団体の演奏が終了しました。
全体的な感想としては、課題曲と自由曲の練習量の差も感じましたし、マーチの音の出しすぎが気になりました。
(審査員の全体的な講評も同じような事が言われていました。)
そういう団体が多々あったので少し、くたびれたのも事実です。
それと、成績上位の団体と下位の団体の実力差を非常に感じました。
(昨年、高校Aの部の地区大会を聴かせて頂きましたが、あまり感じなかったのに…。)

最後に三出団体(三年連続全国大会に出場すると四年目は出場できないという大会規定)の招待演奏です。

16.招待演奏 川越奏和奏友会吹奏楽団  (指揮)天野正道
   La suite excentrigue (天野正道)
   Viva! KAWAGOE (天野正道)

天野先生の指揮で招待演奏です。
指揮者ご自身の曲とは言え、コンクールのプレッシャーがないせいか、ド迫力、圧巻の演奏でした。
川越奏和奏友会吹奏楽団の生演奏を初めて聴きましたがブラボーです。
アンコールに応えて欲しかったくらいですね。

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今年の大学、職場・一般の部の埼玉県大会が終わりました。
大学1団体、職場・一般の6団体は山梨で行われる西関東支部大会に進まれるわけですが、県代表として思う存分、実力を発揮して頂きたいものです。
最後にいろいろ書きましたが、関係者の皆様には、素人のオヤジの戯れ言と思い、ご容赦下さい。

次は気になる団体が一つありますので、大学、職場・一般の部の神奈川県大会に行ってまいります。
 


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2 コメント

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私もコンクール聞きに行きました。 (アドルフ)
2012-10-01 15:37:37
私もコンクール聞きに行きました。
大学の部しか聞けなかったのですが、文教大学のサウンドや表現の豊かさには驚きました。
埼玉大学は学生のみで仕上げたにしてはとても頑張っていたと感じました。
駿河台大学の演奏は駿河台大学生の力と言うよりは賛助の力で勝ち取った銀賞だと思いました。
賛助を抜いたらほとんど表現豊かさそれぞれがないに等しいと思いました。
とても少ない編成で出てきた大学はやはり人数が乏しいのでどうしても迫力に欠けてしまっていた部分が見受けられましたね…。
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浦和河童です。 (浦和河童)
2012-10-02 20:53:48
浦和河童です。
そうですか、県大会に行かれてたんですね。
ところで、「賛助」というのは、いわゆる「トラ(エキストラ)」の事でしょうか?
いろいろあるんですねぇ、人集めも。
また、人数の少なさのハンデはおっしゃるとおりです。
ただ、今年、東関東大会で支部代表になって全国大会に進んだ流通経済大学はスゴかった。
たった、24人で50名、60名いるバンドを凌駕していました。
人数の少ない団体は音量はごまかせても、音の厚み、ハーモニーの豊かさはごまかせません。
しかし、この団体は違った。
編曲によるものなのか、どこをどうやったのか素人の私には、わかりませんが人数の倍いる学校以上の迫力がありました。
びっくりしました。
それなりに工夫すれば、できるんだなあと感じた次第。
(私は、今年、頑張って大学の部に限っていうと県大会は、もちろん、神奈川県大会、東関東大会と行かせて頂きました。)
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