浦和河童便り

埼玉・浦和のオヤジ(浦和河童)が「吹奏楽メインで、時々、オーケストラのコンサートに行ってみた」という話

陸上自衛隊中央音楽隊 第140回定期演奏会

2013-09-18 02:59:13 | 吹奏楽

約1ヵ月ぶりの演奏会となりました。
陸上自衛隊中央音楽隊の定期演奏会です。
いやあ、フラストレーションが溜まっていましたので、思いっきり楽しむぞというスタンスで当日は、会場へと向かいました。

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2013年9月8日、日曜日。
世の中は、2020年のオリンピックの東京開催が決定し、祝賀ムードにあふれる中、私は錦糸町へと急ぎました。
場所は駅前の「すみだトリフォニーホール」です。
以前より訪れてみたかったホールですが、タイミングが悪く、そのチャンスに恵まれませんでした。
日本で言えば、東京オペラシティコンサートホールのような長方形の形をしたいわゆるシューボックス型だとのこと。
最大客席数も1801と大きなホールです。
運営は、「公益財団法人 墨田区文化振興財団」というところがしているんですね。(実質、“区立”と同じでしょうが…。)
“東京オペラシティコンサートホール”が1996年、“みなとみらいホール”が1998年、そして、この“すみだトリフォニーホール”が1997年と、ほぼ同時期にシューボックス型の素晴らしいコンサートホールが出来ているのも非常に感慨深く思います。
どういう“響き”をするのか、非常に楽しみです。

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陸上自衛隊中央音楽隊の演奏を聴くのは、昨年10月25日に飯森範親氏の指揮により東京芸術劇場で行なわれたコンサート以来です。
今回は特に「ブックマークス・フロム・ジャパン(J.ジルー)」がプログラムに取り上げられているので楽しみです。
この曲は、今年7月に武蔵野音大ウインドアンサンブルの演奏会で世界初演の演奏を聴かせて頂きました。
浮世絵の世界を描いた日本情緒あふれる曲に、もう一度どこかで、聴く機会があればと思っておりました。
こんなに早く実現するとは、非常にラッキーです。

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会場に到着すると既に多くの人々でごった返していますね。
ホール内に入ります。
壁面の上部、天井はホワイトでその他の所はダークブラウンに染色された木材にて装飾されています。
なかなかシックな感じで素敵です。
それに舞台正面にパイプオルガンがドンと据えられている様子がとてもいい。
ただ、ひとつだけ。
私は、3階席のほぼテッペンに近い所だったのですが、舞台からの傾斜がキツいですなあ。
視覚的には少し辛いものを感じました。(多分、3階席の多くの方がそう感じるのではないでしょうか?やっぱり、“シューボックス型”では、東京オペラシティがイチバン好きです!)

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余計な話はこれくらいにして、以下がコンサートのプログラムです。

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[演奏]陸上自衛隊中央音楽隊
[指揮]隊長 1等陸佐 武田 晃(第2部)
    副隊長 2等陸佐 樋口 孝博(第1部

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● 国家「君が代」 (林 廣守 撰)

● 行進曲「祖国」 (黛 敏郎)

● 日本組曲 (G.ホルスト/arr.J.ボイド)
 前奏曲~漁師の歌〔Prelude-Song of the Fisherman〕
 儀式の踊り〔Ceremonial Dance〕
 あやつり人形の踊り〔Dance of the Marionette〕
 間奏曲~漁師の歌〔Interlude-Song of the Fisherman〕
 桜の木の下の踊り〔Dance under the Cherry Tree〕
 終曲~狼たちの踊り〔Finale-Dance of the Wolves〕

● 交響組曲「野人」 (渡辺 浦人/arr.松本 敏晃)
 第1楽章 集り
 第2楽章 祭り
 第3楽章 踊り

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【休憩】

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● 鳳凰が舞う~印象、京都 石庭 金閣寺 (真島俊夫)

● 日本民謡による幻想曲~砂山の主題による~ (S.R.ヘイゾ)

● 交響曲第4番「ブックマークス・フロム・ジャパン」 (J.A.ジルー)
   Ⅰ.凱風快晴(赤富士)
   Ⅱ.日本橋朝之景
   Ⅲ.神奈川沖浪裏
   Ⅳ.金龍山浅草寺
   Ⅴ.蒲原 夜之雪
   Ⅵ.箱根 湖水図

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いよいよ開演です。
ご覧になって、わかるように「和」テイスト満載です。
と言うか「和」しかないですね!
実に面白い選曲です。

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最初の曲はホール内にいる人間が全員、起立して「君が代」です。
このような形で「君が代」を聴くのは学生時代以来でしょうか?
身が引き締まる思いがしました。
次は黛敏郎先生の「行進曲“祖国”」。
陸上自衛隊中央音楽隊の創隊30周年を記念しての委嘱作品なのだそうです。
スネアドラムの音色から金管群のファンファーレにつながって曲が始まります。
現代のコンサートマーチとは違い、そこには昭和の「威厳」とか「格式」とかが表現されているような…。(黛先生の作品と知っているからの先入観がそう感じさせるのでしょうか?)
実にシンプルでいて、反面、重厚な曲。
THE“昭和のコンサートマーチ”ですね。
いい演奏だと思いました。
3曲目は、ホルストの「日本組曲」。
戦前、欧米でダンサー、振付師として活躍した伊藤道郎がバレエ音楽として依頼し、作曲された作品との事。
しかも驚くべきことに伊藤氏は、日本固有のメロディの数々を口述にて、ホルストに伝えたらしいのです。(「江戸子守歌」etc.)
全然知らない異国のメロディをここまで楽曲として広げることの出来るホルストの感性に感心しますよ。
中央音楽隊も素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました!
前半、最後の曲は「交響組曲“野人”」。
戦時中に作られた作品のようです。
題名からも推測できるように土俗的な雰囲気が満載の曲ですね。
昔の曲だけれど、新曲のような新鮮な気持ちで聴くことが出来ました。

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20分間の休憩です。
なかなか聴きごたえのある演奏に満足しております。
後半も楽しみです。
ただ…。
先程から申し上げておりますとおり、私が聴かせて頂いている席は3階席でホールの座席の、標高?が高い場所に位置しておりました。
言いかえれば、ステージから最も遠いブロックにいると言う事です。
だからなのか、少しだけ音が抜けてこない。
NHKホールほどではないにしろ、音がストレートに伝わってこない…。
3階席からの視界と同様に少し難を感じました。
久々の演奏会で私の耳がおかしかったのでしょうけど…。

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後半の部が始まりました。
最初の曲は「鳳凰が舞う」。
ご存知、真島俊夫先生の作品です。(アンサンブルリベルテ吹奏楽団の委嘱作品だった曲です。)
前半で演奏された曲も良かったのですが、さすがに現代に作曲された「鳳凰が舞う」は楽器の使い方が多彩で、曲自体がアカぬけています。
さすが真島先生ですね。
演奏も躍動感あふれる素晴らしいものでした!(なお、会場に真島先生がお見えになっておられました。)
次は「日本民謡による幻想曲」。
日本の童謡「砂山」を主題とした曲です。
まあ、「和」的感覚からすると実にベタな感じなんだけれど、やっぱり物悲しいメロディが流れてくるとウルッときちゃう、そんな曲なんですよ。(まあ、オヤジ世代以上の日本人にはうけるでしょうなあ。)
初めて聴く曲でしたが、演奏会で取り上げてみるのも面白そうだなと思いました。
さて、最後は私がこの日のプログラムでイチバン聴きたかった曲、「ブックマークス・フロム・ジャパン」です。
このブログ前半でも書いたとおり、今年の7月16日、東京芸術劇場にて行なわれた武蔵野音楽大学ウィンドアンサンブルの演奏会にて初めて聴かせて頂いた曲です。
この曲は、作曲者が日本土産の栞(しおり・ブックマーク)を見て感化され作曲したとのこと。
栞に描かれていたのは葛飾北斎と歌川広重の浮世絵でした。(Ⅰ,Ⅲが北斎、Ⅱ,Ⅳ,Ⅴ,Ⅵが広重。)
音楽と同様に素晴らしい作品にふれた時の感性は、時代や国に関係ないんだな、この曲を聴いているとそんなふうに感じました。(特に5曲目の「蒲原 夜之雪」。私は大好きです。)
そして、中央音楽隊の演奏は素晴らしかった。
しかし、本音で言うと1階席で聴きたかった…。

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さて、プログラムに載っている曲は全て終了です。
すると武田隊長の紹介と共に天井から横断幕風の看板がスルスルと下りて来ました。
看板に書いてあるのは、『祝 東京オリンピック2020』。(この日の朝、2020年のオリンピック東京招致が決定したのでした。)
これで東京オリンピック開催決定の祝賀ムードが会場を支配しました。
小野寺防衛大臣が来場されていたり、自衛隊員のロンドンオリンピック、レスリング66キロ級金メダリストの米満達弘さんやボクシング バンタム級銅メダリストの清水聡さんの爆笑トークで会場は大いに盛り上がりました。

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そして、アンコール。
当然、曲は「オリンピック・ファンファーレ」と「オリンピック・マーチ」。
昭和39年(1964年)の世界が甦ります。(と言っても、私の記憶にはありませんが…。ただ残念な?事に生まれてはおりました。幼稚園入学前の“幼児”でしたが…。)
武田隊長の「いつやるの…今でしょ!」の掛け声と共にファンファーレは始まりました。
ファンファーレトランペットの列が壮観です。(この日は武田隊長あてに東京オリンピック関連の曲をやってほしいというメールが山ほど来たそうです。)
アンコール2曲目は、古関裕而先生の名曲「オリンピック・マーチ」。
なつかしいですなぁ。
中学の体育祭の時、吹奏楽部員として演奏した記憶があります。

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最後は中央音楽隊の隊員の皆さんが日本国旗の小旗を振って演奏会の終了。
2020年に東京にオリンピックを招致できたという慶事も重なり、大変盛り上がった演奏会でした。
ただ、少しだけ言わせて頂くと会場が違ったり、座席の場所が私の好みでなかったせいか、昨年の東京芸術劇場の“ブラスウィーク”での演奏とは、少し印象が違う感じがしました。(もう少し、繊細なサウンドであったような…。きっと久々の演奏会で耳が慣れてなかったからでしょう。)
いずれにせよ、これからも陸上自衛隊中央音楽隊のご活躍に期待しております。
素晴らしい“音楽”を我々に届け続けて下さい…。

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蛇足①
演奏中にフラッシュをたいて撮影し続ける観客が複数いたのには驚きました。
しかも、会場係員の再三の注意も無視して。
他のコンサートでは考えられない事です。
そういう人間は来ないでほしいですね。
自衛隊の音楽隊と言う立場上、難しいのかもしれませんが、いっそ、そこそこの金額の有料コンサートにしてみては?
そういうバカは来なくなります。きっと。

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蛇足②
帰宅する途中、今回の演奏会プログラムの冊子をどこかに落としたらしく、紛失してしまいました。
泣きたくなりました…。


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