ブリッツ フィルハーモニック ウィンズの演奏会に伺うのは、2回目です。
最初は、昨年、5月16日に杉並公会堂で行なわれた第18回定期演奏会でした。
http://blog.goo.ne.jp/urawa_kappa/e/b4e380e03ad6e277b4d35a27c5474010
(よろしかったら、ご覧下さい。)
とても、楽しめる演奏会ではありましたが、その後、諸事情で聴かせて頂ける機会に恵まれませんでした。
今回は、久々ですので、数日前から、とても楽しみにしておりました。
ここのところ、初めて行かせて頂くホールが続きます。
この日の会場は、「渋谷区文化総合センター大和田 さくらホール」。
地図を確認すると渋谷駅の方から見て、セルリアンタワーの裏あたりですね…。
以前、仕事で頻繁に訪れていた地域なので、詳しいはずなのだけれど、そんなのあったかなぁ…。
“246(国道246号線、三宅坂~渋谷が「青山通り」、渋谷~二子玉川が「玉川通り」、通称「ニイヨンロク」”)に掛かっている歩道橋を越えて桜丘町方面は、完璧な上り坂です。
あった、ありました!
あとで考えてみると私がこの地域を訪れていたのは、8年以上前のこと。
この施設は2010年に開館しているようなので、知らなくてあたり前だったのでした…。
「渋谷区文化総合センター大和田」のHPを拝見すると施設紹介にこのような文章が載っています。
『渋谷区文化総合センター大和田は、文化、教育、健康、福祉の区民活動の拠点として、多様な文化活動の発表、鑑賞、参加の場を提供していきます。』
今回のコンサートは、この「渋谷区文化総合センター大和田」の中にある“さくらホール”で行なわれたのですが、この紹介文にあるようにセンター内には様々な施設があります。
ホールや練習室は、もちろん、プラネタリウム、生涯学習施設、図書館、健康センター、保育園etc.…。
しかも、渋谷駅のすぐそばに、こんな文化施設があるなんて素晴らしいですね。
少し、脱線したようなので話をもどします。
この「渋谷区文化総合センター大和田」の“さくらホール”は、客席定員735席と言う中規模のホールです。
ホール内の壁は、木材で覆われており、色も落ち着いた感じのダークブラウンなので、とても雰囲気がよかった。
それと何よりも申し上げたいのは、“ホールの響き”のことです。
後でも、お話させて頂きますが、よく響くホールでした。
クラシックコンサートには最適ですね。
ブリッツ フィルハーモニック ウィンズは、もちろん演奏は素晴らしいのですが、様々なコンセプトで演奏会を行う意欲的な団体です。
今回の第21回定期演奏会のテーマは、「指揮者のいない吹奏楽」。
いわゆる指揮者なしでの演奏会のようです。
プログラムで曲目を確認しますと、プロだったら出来そうな曲もありますけど、これはチョットと思える曲も…。
どのような事になるのやら、非常に楽しみですね…。
それでは、演奏の方に話を移しましょう!
[演奏]Blitz Philharmonic winds
ブリッツ フィルハーモニック ウィンズ
オーバーチュア・ザ・ブリッツ(三澤 慶)
Overture “The BLITZ!!” / Kei Misawa
カンタベリー・コラール(ヤン・ヴァンデルロースト)
Canterbury Chorale / Jan Van der Roost
クラリネット協奏曲(マーティン・エレビー)
Clarinet Concerto / Martin Ellerby
第1楽章 回転木馬 Carousel
第2楽章 カメオ Cameo
第3楽章 キャラバン Charabanc
[Clarinet Solo]渡邊 一毅(ブリッツフィルハーモニックウインズ コンサートマスター)
【休憩】
マードックからの最後の手紙(樽屋 雅徳)
The last letter from Murdoch / Masanori Taruya
吹奏楽のための第1組曲(グスターヴ・ホルスト/伊藤 康英 校訂版)
First Suite for Military Band / Gustav Holst : Rev. by Yasuhide Ito
第1楽章 シャコンヌ Chaconne
第2楽章 間奏曲 Intermezzo
第3楽章 行進曲 March
ダンス・ムーヴメンツ(フィリップ・スパーク)
Dance Movements / Philip Sparke
まず、舞台上では、演奏会の始まる前に音楽監督の松元宏康氏によるプレトーク。
今回の「指揮者のいない吹奏楽」の趣旨を説明して頂きました。
本来であるならば、“指揮者”として、演奏会の中心にいるはずの松元氏がこの日の演奏会、最初で最後の登場でした…。
続いては打楽器セクションの方、3名の登場。
トークと笑いを交えたスネアドラムによる“超絶技巧”を見せて頂きました。
そして、いよいよ演奏会が始まりました。
当然、“指揮者”は登場しません。
今年度よりブリッツ フィルハーモニック ウィンズのテーマ曲となったと言う「オーバーチュア・ザ・ブリッツ」が最初の曲です。
この曲は、作曲家の三澤慶氏がブリッツフィルの“ミュージックパートナー”に就任された記念として委嘱された作品です。
たまたま、私が前回の演奏会の折に作曲者自身の指揮で聴かせて頂いた曲です。
前に聴いた時も華やかな印象がありましたが、今回も明るく透明感のあるサウンドでキラキラした演奏に大満足!
それにしても、この“さくらホール”は良く響くホールです。
なかなかステキな“器(うつわ)”ですね。
次は「カンタベリー・コラール」。
私、この曲、好きなんですよねぇ。
ゆったりしたテンポ、優雅な旋律は、とても心に沁み入ります…。
ブリッツフィルの演奏も曲をよりノーブルに仕上げてあって、とても良かった!
ただ美しいだけではなくて、“心地よいナイーブさ”が非常に穏やかな気持ちにしてくれました…。
早くも前半、最後の曲。
イギリスの作曲家、マーティン・エレビーの「クラリネット協奏曲」。(エレビーは1957年生まれで、吹奏楽の演奏会でも時折、楽曲を聴かせて頂く機会がありますね。)
そして、クラリネット・ソロは、ブリッツフィルのコンサートマスター、渡邊 一毅氏です。
渡邊氏は、舞台袖より和服で登場。
なかなか似合っています。(落語に出てくる“若旦那”的な…。)
1楽章と3楽章が早いテンポで2楽章がゆったりとした曲でしたが、渡邊氏のテクニックが冴えわたり、それぞれの楽章をテーマとした絵画をみているように思えました。
艶っぽいクラリネットの音色がとてもステキでした…。
前半を終わって。
指揮者がいないことによって、100%音楽に影響がないかということは、素人の私には、よくわかりませんでした。(演奏自体は満足のできるものばかりでした。)
ただ、“居るべきものがいない”ことによって、視覚的に“違和感”を感じたのは私、個人としての偽らざる気持ちです。
まあ、慣れたら気にならないのでしょうが…。
後半が始まりました。
最初は、「マードックからの最後の手紙」。
人気作曲家、樽屋雅徳先生の作品です。
コンクールや演奏会でも頻繁に聴く機会がある吹奏楽曲です。
この曲は、あのタイタニック号の1等航海士ウィリアム・マクスター・マードックを題材にして作られたようですが、アイリッシュ調の優しいメロディを丁寧に表現した演奏は、とても良かった。
いい意味で今まで聴いてきた「マードックからの最後の手紙」とは違う曲のように感じました、個人的に。
次はホルストの「第1組曲」です。
今回は、伊藤康英校訂版を使用し、“出来るだけホルストの意向に添うべく、最少人数で演奏”するとのこと。
舞台上では、20名くらいの方がスタンバイ。
少人数ながら、イギリス民謡のメロディが際立っていました。
素朴で上品な感じがします。
悪くない…、と言うか、とても雰囲気があって良い。
きっと、このくらいの人数のアンサンブルで聴くのが最良なのだと確信しました。(そうなると以前、100名近い人数で聴いた演奏は何だっただろうと思ってしまいます。こんなに名曲なのに「また、ホルストの組曲かよ。」と思ってしまっていたのは(私個人の意識として)、ここに原因があったのではないかと…。)
最後の曲は、ご存知、スパークの「ダンス・ムーヴメンツ」です。
このブログを読んで下さっている方は、もしかして、お忘れになっていらっしゃるかも知れませんが、この演奏会の特徴は、「指揮者がいない」と言うこと。
でもね、この曲を指揮者なしでやるのは…。
見事な演奏でした!
およそ指揮者がいないとは思えないくらい、リズムが統一されていて気持ちがよかった。
この複雑な曲をアインザッツも乱れず演奏したのには感服いたした次第。
「ダンス・ムーヴメンツ」で盛り上がり、そのままアンコールへ。
演奏の途中で二人のコンサートマスター(田村真寛氏、渡邊一毅氏)が鬼のお面をかぶって再登場。
舞台から客席に降り、観客に“豆”を配ってまわりました。
そう言えば、この日は、2月3日、節分だったのでした。
とても楽しめた演奏会でした。(いいホールにも出会えたし。)
『ブリッツ フィルハーモニック ウィンズ』。
素敵な団体です。
また、演奏会に伺いたいと思います。
「指揮者のいない吹奏楽」。
とても興味深い企画でした。
でも、私としては…、指揮者はいた方がいいかな…。