「過去と現在は一本の糸のようにつながっている。現在を懸命に生きて未来を拓くには、過去に学ぶべきだ」(井上ひさし『ボローニャ紀行』229ページ)
この言葉は、ボローニャ精神の本質だとして紹介されているものです。
過去の建物を現在の必要に応じて使い、過去と現在が一つになったところから未来を拓いて行く知恵を探っていこうという考え方が定着し、さらに、この、歴史的建造物を壊すことをせずに、その中身は現在の必要のために使うというやり方は、「ボローニャ方式」と名づけられ、世界へ広まっていきました。つまりボローニャは都市再生の世界的なモデルになったのです。(同、229ページ)
都市再生の「いろは」を示してくれているこの言葉に、いつも原点に返る思いがします。
さらに、次のような一節は、現在の日本にとって、とても重要な視点だと思っています。
いつでしたか、ある高名な建築家に、「世界中からこの日本に、たくさんの観光客を集めるにはどうしたらいいでしょうか」と訊ねたことがありました。評判のよい建築物を世界のあちこちに次から次に発表していた建築家は、一と一を足したらいくつ、と聞かれたときのように、じつにあっさりと答えてくれました。
「東京のどこでもいい、あるいはあなたの故郷の山形の田舎でもいい、いま現にある建物や街並みを、そっくりそのまま百年間、保存してごらんなさい。日本の百年前を観るために、それこそ世界中から人が集まってきます。保証しますよ」(同、87ページ)
私は、井上ひさしさんの言葉の力にいつも学ばされます。
特に、この『ボローニャ紀行』から学ぶことはとても多いと感じます。
改めて、なぜ築地という場所にあれだけの人が訪れるのかを考えさせられました。築地市場を解体するというのは、歴史から学ぶということとはかけ離れていると思います。
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