翁長雄志元沖縄県知事の県民葬が行われました。
「保革を越えて」「イデオロギーよりアイデンティティ」──翁長知事が、発信してきた言葉に多くの人が心揺さぶられました。私もその一人です。
翁長知事は、政治家一家に生まれた「保守の政治家」です。玉城デニー新知事の式辞の中でも「幼い頃から政治家になることを志し、那覇市議会議員に初当選した昭和60年から、本格的に政治の道を歩み始めました」ということが述べられています。
翁長知事が県内外に及ぼした影響の大きさを象徴する一つに、「米国や国連に足を運び、沖縄に米軍基地が集中している現状を国際社会に訴えるとともに、全国知事会を通じて日米地位協定の改定を国に求めるなど、基地負担の軽減にご尽力なさいました」(玉城デニー新知事の式辞)ということがあります。
全国知事会で「日米地位協定を抜本的に見直し」を含む「米軍基地負担軽減に関する提言」を全会一致で採択するイニシアチブをとったのが翁長知事です。
この「提言」では、「沖縄県をはじめとする在日米軍基地に係る基地負担の状況を、基地等の所在の有無にかかわらず広く理解し、都道府県の共通理解を深めることを目的」として、「米軍基地負担に関する研究会」 を設置し「日米安全保障体制と日本を取り巻く課題、米軍基地負担の現状と負担軽減及び日米地位協定をテーマ」にして意見交換やヒアリングなど、共通理解を深めてきたと記されています。
そして次の、5つの現状や改善すべき課題を確認しています。
- 日米安全保障体制は、国民の生命・財産や領土・領海等を守るために重要であるが、米軍基地の存在が、航空機騒音、米軍人等による事件・事故、環境問題等により、基地周辺住民の安全安心を脅かし、基地所在自治体に過大な負担を強いている側面がある。
- 基地周辺以外においても艦載機やヘリコプターによる飛行訓練等が実施されており、騒音被害や事故に対する住民の不安もあり、訓練ルートや訓練が行われる時期・内容などについて、関係の自治体への事前説明・通告が求められている。
- 全国的に米軍基地の整理・縮小・返還が進んでいるものの、沖縄県における米軍専用施設の基地面積割合は全国の7割を占め、依然として極めて高い。
- 日米地位協定は、締結以来一度も改定されておらず、補足協定等により運用改善が図られているものの、国内法の適用や自治体の基地立入権がないなど、我が国にとって、依然として十分とは言えない現況である。
- 沖縄県の例では、県経済に占める基地関連収入は復帰時に比べ大幅に低下し、返還後の跡地利用に伴う経済効果は基地経済を大きく上回るものとなっており、経済効果の面からも、更なる基地の返還等が求められている。
全国知事会が、こうした現状認識で一致するのことは、大変な努力と時間を要したと思われます。基地の有無によっても認識が違う中で、うまずたゆまず取り組んできた結果が「提言」に結びついています。
そして、次の4つの点を提言しました。
共産党都議団は、この「提言」を引いて小池知事にもオスプレイの配備撤回など、地位協定の見直しを含め全国の自治体と協力して国や米軍に強く迫ることを求めました。
最後に、玉木デニー新知事が式辞で述べた、印象深い一文を掲載します。
『芯や天冠(てぃんか)みてい、枝や國廣(くにふぃる)ぎ、根(ふぃじ)や地(じ)の底(すく)に、果てぃん無(ねぇ)らむ(幹は天にも達し、枝は国中に広がり、根は地の底に果てしなく張り巡らされている)』
生前、翁長雄志さんは、毎朝、知事公舎にあるガジュマルの木の前で、根元に置かれた石板に刻まれたこの琉歌を口ずさみながら、深呼吸することを日課とされていました。「この琉歌の木のように、誇りある豊かな沖縄にしたい。そして、自分自身も、この木のような存在でありたい」。そう、胸に刻みながら、県庁に向かわれていました。
翁長雄志さん。あなたは本当に、この木のように大きな、大きな存在でした。
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