10月5日付の新聞に1頁全面広告が掲載された。まさか本紙だけではあるまいと思い琉球新報、沖縄タイムスを確かめた。2紙とも同様な広告が掲載されている。沖縄県の異例ともいえる広報広告だ。行政の広告は通常手続きの案内とか何らかの募集が普通だが今回の広告はそれとは異なる
▼知事選挙を控えて、普天間基地の辺野古移設論議が過熱する中でのあえてと思える県の広告だ。普天間基地の危険性は復帰以前から指摘されていて移転が具体的に論議されるようになったのは復帰後である
▼1996年日米両政府は普天間基地の返還に合意し代替地として辺野古が持ち上がった。論議は熾烈(しれつ)を極めたが2006年には当時の名護市長も辺野古移転を受け入れて、日米両政府は14年をめどに普天間基地を辺野古に移設することに正式に合意した
▼ところが、06年の衆議院議員選挙で鳩山民主党代表がマニフェストにも上げていない普天間基地の移設先を「最低でも県外」と発言したことが政治公約と受け止められ、普天間の辺野古移設論議がふたたび迷走して今日に至っている
▼12年12月安倍政権が発足して、翌年の日米首脳会談で普天間基地の辺野古移設の早期実現にむけて意見が一致した。辺野古移設は既成事実として日本政府が本格的に動き出した時期である▼13年12月安倍首相と仲井真知事との会談で、安倍首相は沖縄の基地負担軽減と経済振興策を明らかにした。今回の県広報広告はその基地負担軽減と経済振興の具体的な取り組みとして立案した「21世紀ビジョン」をすべての県民に知ってもらうための新聞広告だと思える。(凡)